映画「ザ・ウォーク」のPlayStation VRコンテンツを体験 高さ411mの綱渡りは半端ない怖さ
VRゴーグルといえばゲームが話題になりがちだが、映画やアニメなど映像作品の中に自分が入ってしまえる用途でも活躍が大いに期待できる。
映画「ザ・ウォーク」もそのひとつ。昨年9月に米国で公開された際、ソニー・ピクチャーズがPlayStation 4向けのVRゴーグル「PlayStation VR」(PS VR)を使ったプロモーションコンテンツを作成して大いに注目を集めた。10月にフランス・パリで開催した「Paris Games Week 2015」でも、ほかのVRゲームに並んで紹介されるなど、表舞台に何度か立っている(関連記事)。
その映画が、ついに日本でも1月23日から上映開始! 公開に合わせて、プレス向けにVRコンテンツのデモ機会が設けられたので体験してきました。
体験機種はもちろんPS VR。
半歩しか進めなかった……
映画の主人公はフランスの大道芸人、フィリップ・プティ。高層建築物にワイヤーをはって、無許可で綱渡りするというチャレンジを繰り返している実在の人物だ。
彼は23歳だった1974年に、当時世界一の高さであった米国ニューヨークのワールド・トレード・センターに目をつけた。ツインタワーの間にワイヤーロープを渡して、高さ411m、地上110階の上空を命綱なしで進む——というチャレンジを映像化したのが本作品になる。
ワールド・トレード・センターは、2001年にアメリカ同時多発テロで崩壊してしまったこともあって映画ではCGを用いているが、そのCGをベースに今回のVRコンテンツが生み出された。
というわけで早速体験してみました。PS VRの装着方法は、まずヘッドバンドをつけて背面のダイヤルで固定し、ヘッドマウントディスプレーの右下にあるボタンでディスプレーを前後させてピントを調節する。メガネを付けたままでも利用可能。ヘッドホンで耳を覆って、バーチャル世界にダイブする準備完了。
オープニング画面はシンプル。
暗転からデモが始まると、いきなりツインタワーのへりに立っているシチュエーションに早変わり。主人公がフランス訛り?の英語でなにやらつぶやいています。
左を向くとハドソン川。本当に平面だと伝えづらいのですが、一言で言うとまー怖い!!!!!
そのまま後ろを見るとワールド・トレード・センターの屋上が見えます。
右を向くと、映画のキービジュアルにも使われているむき出しの鉄骨が……。
そうこうしているうちにVR内の自分が勝手に少しだけ動いて、鉄骨の端まで来てしまいました。えっ、これ渡れってことなの!?
デモルームの床にはロープが固定されており、バーチャル世界内と位置が同期されています。靴底を通じて伝わってくるわずかな突起が、あちらの世界にいる感覚を強めます。
いやー、怖い!!! リアルでは安全圏にいることがわかっていても最初の一歩が本当に踏み出せない!
下を見ると米粒のような街並みが。だって、東京スカイツリーの天望回廊(450m)に近い高さを命綱なしですよ。カイジの鉄骨渡りだって8〜10mなのに……。扇風機などを使って風まで再現したら気絶するかも。
2分ほど経つと自動で終了。比較的高所がダメな筆者なこともあって、最初のトライでは半歩しか動けませんでした……。あまりにも残念すぎるので2回目をお願いしました。
今度は歩けましたが、まーロープから足を外すこと外すこと。5回ぐらい落ちました。スペランカーか。
遠くの眺めはすごくいいのですが、目を足元に移すと……。なんでまたプティさんはこんな挑戦をやろうと思ったんだ。そしてよく落ちずに歩けるなぁ。
体験を進めていくうちに、だんだんと心が適応して、神経を研ぎ澄ました「無我の境地」になっていくのが不思議でした。
「ザ・ウォーク」の監督は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「フォレストガンプ/一期一会」のロバート・ゼメキス氏。フィリップ・プティ役は、「ダークナイト ライジング」でジョン・ブレイク、「インセプション」でアーサーを演じた、ジョセフ・ゴードン=レヴィットが担当している。
残念ながら今のところ国内でこのVRコンテンツが提供される予定はないが、その恐怖の一端は映画で味わえるはず。ぜひスクリーンにてチェックしてみよう。
現在の大作映画はVFXを活用したものも多いため、今後も劇中のCGを活用したVRコンテンツが期待できそうだ。Blu-ray特典としてVRで作品の世界に入れることが当たり前になる時代が来るかも!?
2016年1月23日(土)全国ロードショー(IMAX3Dも上映)
・原題:The Walk
・原作:「TO REACH THE CLOUDS」 by フィリップ・プティ
・監督:ロバート・ゼメキス
・出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ベン・キングズレー、
・シャルロット・ルボン、ジェームズ・バッジ・デールほか
・上映時間:2時間3分
・配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(文/Minoru Hirota)
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