【連載】集英社 ジャンプVRが行く! 特攻野郎 VRチーム Z ‼︎ インド編
皆さんこんにちは!ジャンプVRの武田です。
皆さん、インドというと、どんなイメージを抱きますか?
武田は「インドの山奥で修業した○○○○―マン」とか、「インド人もびっくり!」でおなじみのカレールーとか、そんな漠然としたイメージしかもっていなかったんですよね。とはいえ一方で、IT先進国とか、インド式計算方法で鍛えられて、ものすごく頭が良い、などの情報も入ってきていて(仮にも出版業界人ですんで)、国としての実態が想像できなかったんです。それと、突然歌って踊りだす、というイメージもありましたね。これは「踊るマハラジャ」のせいなんですが。
事前にこんな話も聞いてました。「インドでは英語が通じる、でも喋れる人は10数パーセントしかいない」。なんだ10数パーセントかよ、と思った瞬間、でもそれって日本の総人口と同じくらいいるんだよね、すげぇ~、と。まあ、武田はもともと英語が喋れないので関係ないんですが。
そんな様々な思いが交錯しつつ、インドに行ってまいりました。
今回はマンガ形式ではなく、武田のリポートという形で、1月中旬に行ってきたインドのゲーミングショーの模様をお送りしたいと思います。ここから先は武田ではなく、マンガの登場人物タケダとして進行します。あくまで演じているだけですので、本気にしないように。
2018年の西遊記
今回のインドゲーミングショーへの出展はJIIPAさん(特定非営利活動法人 日印国際産業振興協会、いわゆるNPO法人)と、あのゴールデンボンバーを擁するユークリッドさんの招聘で実現したのだが、我々(ジャンプVR)の活動も、随分と国際的になったものよ。まあ、スーパースターのタケダ一人いれば十分なのだが、下僕も必要と思いスタッフのファンタジスタ・タカノも一緒につれていくこととした。さらに、とても情け深いタケダは、講談社の松下なるちょっと面白い若者もつれていくことにした(会社の枠組みなどタケダにとっては小さい小さい)。言うなればタケダが三蔵法師、松下が孫悟空、タカノが猪八戒といったところか。沙悟浄は……うん、ユークリッドの近藤氏がまさにうってつけではないか。できた!これで天竺(インド)を目指せるぜ!
ドラマ版西遊記の夏目雅子…もとい三蔵法師一行がそうであったように、今回の旅は苦難の連続であった。まずトランジットしたタイのスワンナプーム国際空港で、何の手違いか知らん間に搭乗ゲートが真反対の一番端に変更されていたのだ。それに気がついたのが、なんと搭乗15分前であった。もはや全員で走るしかない。まあ、風よりも速く走れるタケダとしては、1キロは10秒もかからないのだが、あえて途中から歩くことにした。俺様を走らせるとは何事か!
そこから3時間かけて、今回の目的地であるインドのバンガロール国際空港に飛んだわけである。しかし、1月とはいえ、インドって暑いんじゃないのか? 寒い! とてつもなく寒い! 思いこみとは怖ろしいもので、半袖しか持ってきてないぞ! どうすりゃいいんだ! 恐るべしデカン高原。ただし、冬のデリーはもっと寒いらしいのだが。
滞在中のホテルは、とてつもなく立派ですばらしいところであった。出発前、さんざんタケダを脅していたやつら。虫が出る、飲み物は100%あたる、買い食いしたら命にかかわる……etc。そんなことは全っ然なかった! 飯はうまい、部屋は広い、何の文句のつけようもない。ただし、インドの人でもうかつな店に入って飯を食うとあたるそうだ。だから自衛のため、現地の人も安全な店とそうでない店を吟味しているという。一見汚そうな店でも、人がたくさん集まっている店は大丈夫なのだとか。実践はしなかったが。
あと牛。それと猿。牛は「野良牛」というのがたくさんいて、労役を免除された年老いた牛は街中に放たれて、悠遊自適の老後を過ごすそうな。街の人々全員で面倒を見ているらしい。
昼日中、のっそりと牛が歩いているので、あの牛はどこを目指しているのかと尋ねると、「友達のところに遊びに行く途中」だそうだ。友達のところて。牛友達。かわいい。
猿は、ナンディーヒルズに行ったら、やたらめったらいた。種類はわからぬが、何となく日本猿に似ていて、人に慣れている。慣れているといってもなついているわけではなく、隙あらば食い物をかっぱらう、そういった意味。
「なんか今のところ観光しかしてないんじゃないの?」というあなた。浅い!浅すぎる!インドでVRを展示するにあたって、インドの人々の趣味嗜好を探るのは当然のこと。戦うにあたって敵を知ることは兵法の常道。己のことはもうよく分かっているので、100戦危うからずや、ってなもんだ。というわけで、いよいよ1月19日からゲーミングショーが始まるわけだが、大成功でしたよ、そして大盛況。以上!マル。
……ダメ?いや、でもね、インドのシリコンバレーといわれるバンガロールにおいても、まだVRは名前が知られてきたばかりというところで、市場としては、これから形成されていくという感じなのだ。
OculusやGear VRの展示よりも、ムック「ジャンプVR」の付録として付けた紙製のHMDにスマホを挟んで、YouTubeからDLした360°映像を眺めて歓声を上げるといった具合。何もかもまさにこれから、といった感じ。でもこれって、後進性を笑っているのではなく、逆にものすごい伸びしろを感じたということ。
日本と比べて確かにVRにおける知識や技術はまだまだかもしれないのだが、まずそれらを吸収しようとする意欲がすごい。現に、タカノは何人にも「VRの技術を教えてくれる講師はいないか」と相談というか商談を持ち掛けられていたし、タケダも松下も展示したVR作品を売らないのかと随分迫られたし。インドでの商機を見出そうとする日本人にも随分会った。講談社の古賀氏やDNPの清水氏などがそうだ。むろん、まだ本格的な商売には結びついていないと、口をそろえて言う。だが、それでもインドには計り知れないポテンシャルがあるとも。そう、インド人は日本人と比べても格段に吸収力が高い。好奇心が旺盛とも言い換えられるかもしれない。何かと保守的になりがちな今の日本人は、ひょっとすると10年後にはひっくり返されているかもしれぬ。
現に今回VRを展示するにあたって通訳を買って出てくれたボランティアの人たちの日本語は、マンガを一刻も早く読みたくて、マンガの吹き出しの中の日本語を独力で訳しているうちに身に着けたものだという。向上心と好奇心、完全に負けているよね。
かつて三蔵法師は天竺に仏教の経典を取りに行ったのだが、2018年の西遊記は、探求心という名の経典を、手に入れたのかもしれない。
う~ん、美しくまとめきったぜ!
完
というわけで、タケダならぬ武田でございます。全くリポートになっていないタケダの駄文にお付き合いいただいてありがとうございました。上記文章中のタケダはフィクションであり、文中お名前をお借りした方々、どうぞお許しください。
なお、最後に二つだけ補足をさせてください。
※補足1 インドでご一緒させていただいた、歌手の池田彩さん。大変お世話になりました。アルバム「SHAMROCK」予約しております。
※補足2 冒頭「苦難の連続」と書きましたが、本当の苦難は、日本に帰ってきてからで、成田に着いたのが1月22日午後5時。そう、あの記録的な大混乱を巻き起こした大雪の日でした。電車は止まる、バスもない、ホテルは満室。死ぬ思いでつかまえたタクシーに乗って家にたどり着いたのが午前1時。6時間以上もタクシーに乗っていたのです。成田―さいたまは、バンコクー成田よりも遠かった。それではみなさん、ナマステ~~。
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