VRChatの住人に聞く「現実は不便」のリアル(前編) バーチャルはリアルと置き換えられる
「リア充」ならぬ「バーチャ充」
最初に話を聞いたのが、メディアアーティストの坪倉輝明(@kohack_v)氏。以前、PANORAでも3Dスキャンしたアバター同士でVRChat内でVRオフ会を開いた際に紹介し、2月末の「VTuberハッカソン」ではVRChatで使える動画撮影スタジオのワールドを制作した人物だ。
VRChatでYouTube Liveをコメントと共に見る仕組みが完成しました!
これでワールド間カメラも実質可能だし、「おうち de VTuber」スタジオでの生放送も盛り上がりそう。#VRChat pic.twitter.com/Urcd0mDC1B— 坪倉輝明@メディアアーティスト (@kohack_v) March 7, 2018
「ズーム機能付きカメラ」に「手ぶれ補正機能」も付けてみたのでその比較動画。
最初のはわざと大げさにガクガクさせてるわけじゃありませんw
This is a stabilized camera in #VRChat pic.twitter.com/1w4pCdxvWD— 坪倉輝明@メディアアーティスト (@kohack_v) March 7, 2018
YouTube Live配信しながら映像もコメントも確認できるようになった「おうち de VTuber」スタジオ。
昨日5時間配信してたけどついにチャットリプレイ機能も使えるようになってコメント見返せるようになりましたー! #VRChat https://t.co/UL2XRO1Ktc pic.twitter.com/bYAfFzBoER— 坪倉輝明@メディアアーティスト (@kohack_v) March 8, 2018
VRChat内の動画配信スタジオ「おうち de VTuber」に新しい機材を導入しました!なんと…【ビデオミキサー】!!!
一気に自由度が広がって、かなり本格的な配信が可能になりますよー??
I made video mixer system in #VRChat pic.twitter.com/RojfIFAEHW— 坪倉輝明@メディアアーティスト (@kohack_v) March 9, 2018
ほかにもVRChat内に自分の事務所をワールドとして開設して、作品を展示したり……。
フリーランスで時間の制約も無く、VRChatによって物理的な移動の制約からも解放された。無駄のない生き方。
お仕事のご相談はVRChat上の僕のVRオフィスでお待ちしております。 pic.twitter.com/Fcmjf0fi9n— 坪倉輝明@メディアアーティスト (@kohack_v) February 19, 2018
自分のアバターをVR空間に出現させてラジコンのように操作するなど、まさにアートな試みを展開している。
VRChatでヤバいカメラのアイディアが降ってきたので実装してみたけどヤバい。
VR空間内でVRHMDを被ってもう一人の自分をラジコンのように操作。
自分を遠隔操作できてVR空間の自分は動き回らなくてもいいんだけど、そもそも現実の自分も動いてないし、VR内HMDも立体視に対応してるしヤバい。#VRChat pic.twitter.com/m5dqg2hklu— 坪倉輝明@メディアアーティスト (@kohack_v) March 2, 2018
そんな坪倉氏に聞いて出て来たのが、「リアルが不便になる」という言葉だった。
坪倉氏が、VRChatを知ったのは先のインタビューでもピックアップしたねこます氏がきっかけだったという。昨年12月にバーチャルYouTuberでねこます氏がブレイクし、彼がVRChatを強力に押したので興味を持った人々が数多く流れ込んで来たという経緯がある。
坪倉氏は、それよりも前からTwitterでねこます氏をフォローしていた関係でVRChatの存在は知っており、すでに3Dスキャンした自分の全身データがあったので、「バーチャル空間にリアルアバターで入ってみた」ネタをやりたかったとか。しかし、いろいろあって放置していたところ、12月の大ブレイクで危機感を覚えて本腰を入れて参加するようになった。
最初の2、3日は、ハブやワールドをめぐるだけで特に何もせず、何をしていいかもわからなかったが、日本人に会えたことをきっかけに話しかけたら遊びかたを色々紹介してもらえた。
「今でこそアバターやワールドを制作していますが、最初はつくれることすら知らなかった。そこでまず惹かれたのが、独自の文化だったんです。カワイイキャラがいっぱいいて、非日常的なところもあり、何もしなくても楽しい。キャラと戯れているだけで満たされるものがあって、癒された」(坪倉氏)
VRChatの彼(彼女?)らは、とにかくカワイイの研究に余念がない。VRゴーグルとセットで使うハンドコントローラーに割り当てている表情の出し方、耳やスカートのキレイな動かし方など、細部に渡って考え抜かれている。
「やってることが新人類なんです。この前、Twitterでアンケートをとったら、300人中4割以上は毎日4時間以上VRChatにログインしているとか。みんなで一緒に寝る『VR睡眠』や、スポーツ大会を開いてみたりとか、新しい文化がここで生まれている」(坪倉氏)
一般の人には理解できないであろうVRChatの凄さは「毎日ログインする人」の多さだと思う。
そこでほぼ毎日インする人に質問。
1日平均で何時間VRChatしてますか?#VRChat— 坪倉輝明@メディアアーティスト (@kohack_v) March 4, 2018
最近では「リア充」ならぬ「バーチャ充」なので、生活の軸をVRに移したいという。
「VRは現実と置き換えられる。世界が三次元で見られるうえ、手足もきちんと動くので、スキンシップが取れたり、普通に手でものを持ったりと、ネットゲームをデスクトップ上でやるのと感覚が全然違う。今では現実よりバーチャルの方が充実しているので、全部バーチャルに移せないかと思っている。食事や排泄さえなんとななったら、ログアウトする必要がなくなるなと。現実というワールドが不便になってきたので、みんなバーチャルで過ごそうよと」(坪倉氏)
MMORPGなどのネットゲームや、「Second Life」に代表されるメタバースで夢見られてきたバーチャル世界への移住が、身体性を伴うVRで今、現実味を帯びてきている。
*中編の「女の子の寝顔がカワイイ『VR睡眠』の魅力」はこちら。
(TEXT by Minoru Hirota)
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