よむネコ開発中のVRアクション「ガルガンチュア」を先行体験 鍔迫り合いがアツい!【GDC 2018】

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3月19〜23日に米国サンフランシスコにて開催していたゲーム開発者向けイベント「GDC 2018」。毎年、モスコーニセンターに数多くの企業が出展するだけでなく、その周囲にあるホテルや飲食店でもプライベートデモが行われるのが恒例だ。そんな中からgumi傘下のよむネコが、開発中というVRアクション「ガルガンチュア」を披露してくれたのでレポートしていこう。

 
 

支配者である巨人に争う人類の物語

よむネコといえば、店舗でロケーションVRとしても展開していた脱出ゲーム「エニグマスフィア」を手がける企業だ(関連記事)。ガルガンチュアは同社の第2弾VRタイトルとなり、最大4人で協力プレーで遊べるVRアクションとして年内にSteam/Oculus Storeでリリース予定となっている。

ゲームにおけるキーワードは「巨人」。世界は最初の巨人によって創造され、現在はガルガンチュアと呼ばれる2代目の巨人が支配している。人間はその中で支配に反抗しており、ワールドに散らばるマナを得ることで、なんとか生きながらえている。しかし、マナを手元に置くと巨人たちの手下が寄ってきて狙われることに──。

今回のデモで利用していたのは、Oculus Riftだった。プレイヤーが洞窟の中からスタートして周囲を見回すと、床に剣や斧などを見つけられる。ワープで武器に近づいていって、目線を合わせてトリガーを引くとピックアップが可能だ。そうして装備を整えて先に歩みを進めると、壁際に生えた緑色に光るマナを発見! 剣を伸ばしてつつくとゲット、といった具合にチュートリアルになっている。

さらに扉を開くギミックなどをこなして進むと、空が開けた場所に行き着く。鬱屈とした洞窟とは真逆の澄み渡った青空や流れ落ちる滝に癒されるが、ワールドの一端まで行くと地面が抜け落ちており、自分が空中城のようなところにいることがわかる。

 

写真は滝に剣を突っ込んで、岩をキンキン鳴らして楽しんでいる筆者。

 

他に行き場がないので道なりに進むと、コロシアムに到達して、ここで初めてモンスターが出現! 筋肉質の彼らがにじり寄ってきて、大剣を振り回してくるのは、身体性をともなうVRではやはり恐ろしい。こちらもタイミングを合わせて剣を出して敵の攻撃を受けたり、スキを見て相手に斬りつけたりと必死の反撃を試みる。

 

ある程度攻撃を受けたりしていると武器が壊れてしまうので、床に落ちている別の武器を探すことになる。盾を拾えば、より効率的に防御が可能だ。

 

さらに写真のように武器を持ったコントローラーを頭の後ろまで振り上げ、しばらく待ってパワーを貯めると大ダメージを与えられるスペシャルアタックを繰り出せる。そうこうして3ウェーブぶん雑魚モンスターを倒すと、王座にいるボスモンスターが動き出していよいよラストバトル、という流れだ。

 

近距離での当たり判定にこだわった

体験した率直な感想は、「いい運動になったー!」という気持ちだった。

通常のゲームならコントローラーのスティックやボタンを押すだけのところ、身体性を伴うVRゲームでは、モンスターの攻撃を避けるために大きく体を左右に振ったり、攻撃を当てるために両手を振り回したりと予想以上に体を動かすことになる。そのいろいろ体を動かした上で、目の前にある課題をクリアーしていくことで、身も心も爽快感を覚えるわけだ。

 

よむネコ代表取締役の新清士氏によれば、ガルガンチュアではあえて体を動かすような仕様にしたとのこと。

「激しく運動するゲームは受けないんじゃないかと言われていますが、すごく体を動かす『Sprint Vector』がヒットしている状況もある。色々なレビューを読んでみても、『VRらしさ』というのはむしろ体を動かせることとして捉えられている」(新氏)

実際、過去作のエニグマスフィアでも、体を動かしてもらうことで没入感が高まっていたそうだ。

「ハンマーを投げたりして、明示的に体を動かしている方が没入感が高まるんです。ガルガンチュアでも『剣を振るのが面倒だからワンボタンでできるようにしたらいいのでは』という声もあったが、実は体をダイナミックに動かしている方が没入感が高まる。前にデモを展示した会場でもアンケートでも同様な意見だった」(新氏)

そうした体を動かす上で、ガルガンチュアでは戦闘の当たり判定に特に力を入れている。

「90fpsという高いフレームレートで表示しているVRでは、近いものほど当たり判定が大変なんです。プレイヤーも敵も動いていて、何かの攻撃が当たっらすぐにエフェクトを出さなければいけない。銃なら撃ってから到達までコンマ何秒あるのでその間に計算できますけど、剣などの近いものを正確に物理演算するのは難易度が高いんです」(新氏)

しかし、一度しっかりとした当たり判定の仕組みができると、戦闘の幅を広げて作っていくことが可能になるそうだ。

「既存の家庭用ゲーム機ではできない、VRならではの剣での戦いの面白さは、敵の剣の軌道を読んで、的確に反応して防御したりすることができるといった点にあると思っています。ただ、固定アニメーションだと、決まったモーションを避けられるかどうかになってしまう。それで敵の攻撃の動きを自動生成するようにして、相手がどのパターンで攻撃してくるかきちんと軌道を読まなければいけないように、戦術性が高まるように改良していく予定です」(新氏)

 

実は特に剣のゲームで、VRで当たり判定の仕組みがきちんとできてないと、ゲームバランスが簡単に崩れてしまう傾向があるそうだ。

「さまざまな方向から攻撃されて、近距離できちんと当たり判定をつけているVRの戦闘システムが全世界を見てもあまりないんです。だから剣を突き出して、先端をプルプル震わせていれば、当たり判定が取れて敵に簡単にダメージを与えてクリアーできてしまう。その問題をどうやって解決するかというのがわれわれのこだわりです」(新氏)

よむネコでは現在、大作ゲームに携わったスタッフも加わって20人体制で開発しており、こうした技術的な課題に挑戦できるようになったという。なお、最終的には剣だけではなく、遠隔で攻撃できる魔法も使えるようになるそうだが、攻撃力は弱くバランスされそうだ。

 

VRアクションというとスピーディーな移動でVR酔いしがちだが、ガルガンチュアではそうならないように移動中だけ視野が狭く見える効果などを入れていた。

ちなみに「ガルガンチュア」という名前は、16世紀にフランスで書かれていた風刺小説から取っている。

「英語圏の人にとって覚えやすいし、響きがミステリアスな感じ。それに『ガンダム』じゃないですが、Gがつくと巨人のようなデカい感じがするでしょ?(笑)」(新氏)

リリース版では、マップは同じで敵の位置など自動的に変わる2、3ステージを用意し、その後、どんどんステージを追加していく予定だ。持ち帰ったマナは、アビリティーに割り当てるなど成長要素も用意する。ガルガンチュアは、日本では4月14、15日に開催するインディーゲームイベント「TOKYO SANDBOX」にて展示予定なので、興味を持った人はぜひ体験してみよう。

 
GDC 2018の記事まとめはこちら

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
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