【VR×教育】香川大学、離島での特別支援教育をVRで援助する研究開始
香川大学と富士通は、小豆島地域で障がいがある子どもたちの教育に携わる教員などを対象に、VR技術を用いて特別支援教育の専門性向上を目指す実証研究を、1月31日から3月31日まで実施する。
本実証研究は、特別な支援を必要とする子どもたちの授業の様子を教室内に設置した全天球カメラで撮影し、専門家が遠隔からその様子を360°のVR映像で確認。
教員や支援員の子どもたちに対する指導の仕方などを、専門家が実際の現場に近い状況で共有することで、小豆島などの離島/僻地にある教育現場へより的確なアドバイスが可能になる遠隔支援システムの構築するというものである。
近年、教育の現場では、障がいの有無にかかわらず誰もが共に学べる「インクルーシブ教育」の実現を推進しており、日本政府は、すべての教員が特別支援教育に関する一定の専門性を有する必要性を挙げている。
そのため現場では、教員や支援員に対する特別支援教育の専門家による指導のニーズが高まっているが、離島や僻地の学校では、地理的な制約によりそうした支援が十分に受けられないという課題があり、本研究はそれを解決するためのものとなっている。
本研究に関し、香川大学と富士通は、全国の教育機関などに対して今回の遠隔支援の有効性について成果を広く公開する予定としている。
●実証研究概要
目的:
特別支援教育の専門家がICTを活用して離島や僻地の教員や支援員を遠隔から支援することで、専門性向上につなげる。
期間:
1月31日~3月31日
対象者:
小豆島地域において、特別な支援を必要とする子どもたちの教育に携わる教員、支援員など約40人
協力機関:香川県教育委員会、小豆島町教育委員会、小豆島町立苗羽小学校、ほか
内容:
教室に高画質の全天球カメラを設置し、特別な支援を必要とする子どもたちの授業の様子を撮影。その様子を、遠隔にいる専門家がヘッドマウントディスプレイなどを装着して実際の現場に近い状況で確認し、教員や支援員の教え方や子どもたちへの対応についてアドバイスを行う。
専門家の教員や支援員への指導には、テレビ電話会議システムを使って画面越しに対面で行うことで、スムーズな意思疎通を図る。
また、授業ではタブレット端末に表示されたイラストを選ぶことで特別な支援が必要な子どもたちが自分の気持ちを簡単に伝えることができるアプリケーションを活用。
撮影した映像と照らし合わせることで、その時の子どもたちの気持ちの解釈や必要な支援など、専門家から教員へのより高度な指導を可能とする。
システム構成:
・ネットワークサービス「FUJITSU Managed Infrastructure Service FENICSII ユニバーサルコネクト」
・テレビ電話会議システム
・文教向けタブレット「FUJITSU Tablet ARROWS Tab」
・MRヘッドセット対応パソコン「LIFEBOOK(AHシリーズ)」
・子どもたちの感情表出を支援するアプリケーション「FUJITSU 文教ソリューション k-12 コミュニケーション支援 きもち日記」
・全天球カメラ、バイノーラルマイク、など
(TEXT by 高橋佑司)