「大規模配信できるインフラを作りたかった」 岩城氏が語る小林幸子VRライブへの思い
こちらの発表会終了後に、ドワンゴの岩城さんにインタビューしてみました。
── VRライブ配信、お疲れさまでした。今回のソリューションって、自分の中でいうとどれくらいのバージョンなんでしょうか。
岩城 プレーヤーのバージョン番号と同じ「Version 0.01」ですね。本当はもっと高品質な映像でお届けする予定だったんですが、実装上の問題があってこうなってしまった。フレームレートなどは、数ヵ月以内に向上していきたいです。
── 今回、視聴プレーヤーの公開がライブの直前でしたが、結構制作が大変だったという。
岩城 そうですね。基礎技術はもうできてて、じゃあ小林幸子さんでスタートしようという話が出て急仕上げでつくった感じです。タイムシフトで残ってる映像はもっと高品質なので、今後、プレーヤーのアップデートでもっといいものを見せられると思っています。
やりたかったのは、大規模配信できるインフラだったんです。デモンストレーションだったり、一発だけの「打ち上げ花火」だったら、専門のインフラを用意して配信しちゃえばいいんですが、今後継続してやっていくためのインフラをつくりたかった。だからニコニコ生放送のシステムに結合する必要があった。
そうするとニコニコ生放送のシステムはFlashベースで3Dが弱く、Oculus Riftで見ようとするとレンダリング能がと全然足らない。なので映像の受信はFlashで、レンダリングにはUnityを使うという、かなりアクロバティックなことをしてる。
さらに部分的に高画質配信をするために、フラッシュ上で合成を実装し直しているのですが、その辺りで想定外の挙動に出くわして、時間が来てしまった感じです。もう少し頑張りたかった。
── でも最初から最後まで、問題なく放送できましたよね。
岩城 なんとか放送はできたという。でも放送が終わってみたら、タイムシフトで高画質に切り替わらないという想定外のことが起こっていて、今頑張っています。すいません。
── 放送を見て面白いなと思ったのは、360度映像内の足元に、通常の生放送を置くというアイデアです。どういった経緯でつくったものですか?
岩城 あれは絶対必要だと思っていました。全天球の配信はみんな夢が膨らむんですが、空気感を楽しむものであって、映像自体は普通の生放送の方が面白いんです。だから空気感に加えて、より楽しんでもらうために普通の生放送も入れています。
── なにか過去のコンテンツで参考にされたのはあったとか?
岩城 いや、特に参考にはしてないですが、THETAも含めてよく全天球のコンテンツを見てて、もうちょっと面白くしたいなと思っていました。
少し分かりにくいが、両目用の映像の右下にサービス用の映像があるのがわかる。
── 4月にも「ニコニコ超パーティーIII」で、ウェブプレーヤー上で見られる全天球配信をやってました。あのときはサービス映像が入ってました?
岩城 いや、入ってなかったです。入れたかったんですが、あのときはまだ本当に実験だったので。
── 今回からじゃあスタートという。
岩城 そうですね。
── 今後の課題は?
岩城 アプリの改良にくわえて、今、配信側のシステムも大掛かりなので、そのシステムもできるだけコンパクトにしていきたいです。
── ちなみに幸子さんのVRライブでは、予備の360度カメラで二重化してたりしたんでしょうか?
岩城 いや。なので、トラブルが起こったときへの対処も準備していました。生放送の配信システムを用意するというのは、ただ映像の送り出しがあるだけでなく、そういう運用のことを考えないといけない。結構頑張ったんですよ。
── でも可能性がいっぱいあるのでやってて楽しそうですね。
岩城 まぁ大変ですけどね(笑)。今後はライブもできるだけ配信していきたいですが、360度は空気感が伝わるのでイベントも見せられたらいいですね。当面は公式生放送向けのツールですが、VR配信インフラとして呼ばれればどこにでも行きます! 今後もぜひ注目してください。
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・岩城さんのTwitter(MIRO)