【連載】神足裕司 車椅子からのVRコラム VR ZONEで激流川下りに挑戦! 編
VR ZONE SHINJUKUはいつ行ってもきっと日本一のVR系アトラクション施設なんだろうなあと思う。何回もいうけど施設全体に命がかかってる感がいい。「半端なものをつくるんじゃないぞ」そう入る前から感じる。今回は新作の「冒険川下りVR ラピッドリバー」を体験しにいってきた。
4人乗りのゴムボートに乗ってVRのなかの“川下り”に挑む。各自がパトルを漕いで進む方向をきめる。
コヤ所長が直々に川の冒険方法を教えてくれた。
①「いちに、いちに!」と乗り合わせたメンバーで声をかけて漕ぐ
②「右、右」「左、左」と声を掛け合う
③右に曲がりたければ左側の漕ぎ手が、左に曲がりたければ右にいる漕ぎ手が漕ぐ
よし! わかった必死に漕ぐ‼︎ HMDとパドルになるトラッカー付きスティック、ヘッドフォンを装着。そしてシートベルトをカチリとはめれば準備完了! ボクはボートの上で出発を待っている。恐る恐るVR空間上の川のなかにパドルつけてみると「ピチャピチャ」と水をはじく。パドルは結構重い。このぐらい重くなければ必死に漕ぐのは不可能だろう。あたりまえだがよく考えられていると感心する。
ボクは左手に多少麻痺が残っているが握らせてもらって左側に座りほとんど右手の力で漕いでいたが「あ、あぶない右、右!」なんていわれたって右の人が漕ぐのか右に曲がるかわからない。しかも、もうそこは激流のなかにゴムボートに乗っている4人なのだ。身体が川の水の流れの中で揺れる揺れる。急流のなか落ちる。「きゃ~~~~」「ううううっ」ボート上からはあまりの激流でコントロールできず、大木に激突したり滝つぼに落ちていったり、自然と声があがる。
たしかに4人(同じボードに2人〜4人まで搭乗可能)の息が合って、ターンがうまくいって中州への激突が免れたときは大変気分がよかった。そこをクリアする達成感がある。まあほっと一息のまもなく次の難所が襲ってくるわけだけど。
岩が迫ってくればおもわず眼をつぶってしまうし、上下左右に身体が動く。VRのなかの激流も乗っているマシーンもかなり激しく動いているが不思議とVR酔いは一切なかった。後から聞いたのだが、この「冒険川下りVRラピッドリバー」はVR酔いしないよう新しい仕掛け(搭乗者自体を動かしてVR上での動きとのズレをなくす)を研究して搭載したらしい。日々進歩している。
HMDのなかは、アジアのどこかの急流か、中南米のどこかをモデルにつくられた秘境らしい。いつも思うのがVRは、自分の行けないところに連れて行ってくれる。そしてそこにいる自分は皆となんらかわらない自分だ。そこでボクはいつも冒険に出かける。
©BANDAI NAMCO Amusement Inc.
●著者紹介
撮影:石川正勝
神足裕司(こうたりゆうじ)
1957年、広島県出身。黒縁メガネ・蝶ネクタイがトレードマークのコラムニスト。「金魂巻(キンコンカン)」をはじめ、西原理恵子との共著「恨ミシュラン」などベストセラー多数。2011年にクモ膜下出血発症。1年の入院生活を送る。半身マヒと高次脳機能障害が残り、要介護5となったが退院後、執筆活動を再開。朝日新聞をはじめ連載も多数。最新刊は「一度、死んでみましたが」「父と息子の大闘病記」などがある。
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