台湾で「台灣VTuber聯盟」が発足 東南科技大學がVTuber育成の場を提供
台湾北部の新北市にある東南科技大學は11月28日、国内複数の高専や大学などと提携して、バーチャルタレント育成に向けたつながりを強化する連盟「台灣VTuber聯盟」の発足を発表した。動画、声優、プロダクションなどを手掛けるクリエイターと企業をつなげる試みであり、将来的には日本と台湾のVTuberコラボを通じて国際的に台湾のVTuberをアピールする。
東南科技大學は、国際アニメーション、ディズニー映画の原画、オリジナル3Dアニメーションなどの分野で、動画制作の人材を育成している大学だ。台湾の国立図書館においてVRを使った3DコンテンツやARアニメーションを手がけるなど、動画・コンテンツ制作で重要な役割を担っている。今後、同大学はデジタルメディアデザイン設計部門において、VTuber参入を希望する学生や社会人に向けて、キャラクターデザインやアニメーターなども含めた研修の場を提供する。
台湾では、元々日本のアニメやマンガ、ゲーム、ネット文化などの人気が高く、現地で同人イベント「FANCY FRONTIER」が開かれるほどアマチュアで二次創作を楽しむ人も多い。VTuberにおいても、日本でムーブメントに火がつく前の2017年7月からYahoo!台湾が「虎妮」(フニー)ちゃんの投稿を始めるなど、一部から注目されていた。
会見に参加したソフトウェア会社・甲尚(Reallusion)副社長の陳封平氏は、「台湾では過去、新しい事業においてメディアや産業が流行っている際、会社同士のつながりが弱く、各々の企業は生き延びるのに精一杯だった。研修や訓練などを受けた人材が足りず、情報交換もあまりなかったので、国際的に進出するのが難しかった」と、発表の背景を解説した。
その上で陳氏は、今年10月まで6000名のVTuberがデビューし、ボトムアップで成長していることなど、日本におけるVTuberコンテンツの盛り上がりを補足。この日本の状況を学んで台湾でも優位性を確保し、例えば東南アジアからの台灣新住民(Taiwanese new immigrants)をターゲットにしてコンテンツを生み出していきたいと語った。
フニーなどをプロデュースし、VTuber動画事業を手掛ているYahoo! TVの許朝欽氏は、「弊社はAR/VR、モーションキャプチャーといった新しい技術を応用して、最新のコンテンツを開発している。これらは視聴者とのコミュニケーションをリアルタイムで行えるのが特徴で、国内では刷新的な試みだった。今回、この連盟に参加できることを素晴らしく思っており、同じ学会や産業内でもっと情報交換を活発に行っていきたい」とコメント。台湾国内のIP(知的財産)やコンテンツを創造し、盛り上げていこう」と発言した。
新北市からは副市長の葉惠青氏が登壇して、「VTuber産業の発展はあまりにも早くて、視聴者数は以前の15万人から800万人に増えた。現在の台湾における外注産業から変革するために、新北市では『林口新創園』(林口スタートアップテラス)を用意した。デジタル技術を発展させて、オンライン・オフラインに限らず、国際的な産業コラボレーションに発展することを望んでいる」とコメント。現在、新北市では組織を準備中で、将来的にはデジタル創造産業に補助金を支援して、人材育成やマーケティング、宣伝声優などを垂直統合していくことを明かした。
台灣VTuber聯盟では、2019年に学生限定のイベントを手掛けることも発表した。2019年2月1日から6月30日で集計し、YouTube、Vimeo、Facebook、Twitchといった台湾のネットサービスにおいてチャンネル登録者数、視聴者数が多い上位の配信者に賞金と企業スポンサーなど記念品を贈ることを予告した。このイベントにより100人以上のVTuberが国内に生まれることを期待している。
(文/Azreta、翻訳/Sora、編集/Minoru Hirota)
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