遂に発表された「HoloLens 2」! MWC19のMicrosoftブースで実機体験レポ
マイクロソフトはスペイン・バルセロナで開催されたMWC19 BARCELONA(旧Mobile World Congress)にてプレスカンファレンスを行ない、MRデバイスの最新モデル「HoloLens 2」を発表。ブース出展もしており、HoloLens 2の体験コーナーも用意されていた。
▲MWC19のマイクロソフトブース
発表会にはマイクロソフトのCEO、Satya Nadella氏も登壇。同社のトップがわざわざスペインでの発表会に来場するというのは、マイクロソフトが今回の「HoloLens 2」に注力している証拠。またブースはMWC19のイベントの中でもいちばんの盛況。体験デモには大勢の来場者が並んでおり、1時間待ちはざら。「4時間待ち」と告げられた来場者もいたほど。幸い筆者は体験デモに参加でき、5分ほどのデモではあるが「HoloLens 2」の進化具合を体感できた。
▲MWC19の開始前日に発表会を行なったマイクロソフトのCEO Satya Nadella氏
▲HoloLens2のフロント
▲カーボン素材を採用し軽量化が計られている
▲Kinectの技術を投入して、手や指をトラッキングできるようになった
▲内側から見た様子
「HoloLens 2」が進化したポイントはいくつかあるが、最初に気がつくのが装着性能の向上。頭にかぶって位置を合わせながら、後頭部に当る部分あるダイヤルを回すだけで固定できる。本体にはカーボン素材が採用され重量バランスなども考慮されているので、前モデルよりもかなり軽く感じる。ちなみにメガネをかけていても問題なく装着できていた。
▲本体背面のダイヤルを回してサイズを調整
▲装着を横から見た様子
▲ディスプレー部は跳ね上げ式になった
デモでは装着すると、まずキャリブレーションを行なう。といっても細かな操作は必要なく、ARで空間に表示されるアラートのOKボタンをエアタップ。すると四角い立体がARで表示、頭を動かさないで視線で追っていく。今回のHoloLens 2には、アイトラッキング機能がついているので、この作業で視線のキャリブレーションを行なうわけだ。HoloLens 2では手の動きを指までトラッキングできるが、指の動きの細かなキャリブレーション作業はなかった。
ものの1分ほどでキャリブレーションは完了。今回はインフラストラクチャの設計、建設、運用を提供しているBentley社が開発したデモを体験したが、キャリブレーション完了後、デモの順番を待っている間は、発表会でも登場したハチドリのARが画面に登場。手のひらを上に向けるとハチドリがそこにとまり、指を立てて動かすと、それに合わせてハチドリが飛び回るデモも体験できた。
▲筆者の視点ではこの手のひらの上にハチドリがいる
▲発表会で紹介されたハチドリのデモ。まさにこのように見えていた
この段階で視野角の広さと、解像度の向上を実感。前モデルでは特に上下の視野角が狭く、まさに目の前だけの表示という感じだったが、HoloLens 2では上下に目線を動かす範囲でもコンテンツの表示が可能。発表会でアナウンスされた「2倍の解像度、2倍の視野角」は伊達ではなく、ARのハチドリが実際に自分の前で飛んで回っているような感覚を実現していた。
Bentley社のデモは、スタジアム工事現場のミニチュアをARで表示するというもの。二人一組で体験でき、二人が同じコンテンツを見たり操作できるようになっていた。たとえば、建設の工程がスライダーを動かして時間軸の変化が見られるようになっているのだが、片方の人がスライダーを動かすと、相手のコンテンツもそれに合わせて変化する。またミニチュアに配置されているパーツを手で持ち上げると、相手からも持っているように表示されており、しかも持っているパーツを相手に渡したり投げたりもできる。
▲Bentley社のデモの風景
手に持ったパーツは両手で持って拡大縮小などにも対応。実際に触った感触があるわけではないので、ボタンを押すといった動作も含めてある程度位置合わせのようなことは必要だが、それでもなかなか触れるポイントに手がいかなくてイライラするといったことはなかった。触感を除けば非常に「リアル」だ。
▲ARパーツを両手で持って広げている様子
映像表示も解像度が上がってリアル感がアップ。CPUがインテルからクアルコムのSnapdragon 850へと変わっているが、動画処理などにもたつくことはなさそうだ。ただ後頭部にあたるユニットにCPUなどが配置されているようで、触ってみると若干の発熱はあった。
このようにちょっとデモをするだけでも、前モデルから格段に進化していることが感じられた。前回のHoloLensが開発者向けで、今回のHoloLens 2は商用向け。まだまだ「コンシューマー向け」の製品ではないが、「空間コンピューティング」の世界へ確実に進んでいる、そう感じさせるデバイスだった。