YuNi初のリアルライブ「UNiON WAVE – 花は幻 – Supported by SPWN」ライブレポート
世界初のバーチャルシンガーとして活動中のYuNiちゃんが、2019年3月16日(土)池袋HUMAXシネマズで初のライブ『UNiON WAVE – 花は幻 – Supported by SPWN』を開催した。
ライブにはアニソンやボーカロイドなど幅広いジャンルの楽曲を手がけるヒゲドライバーさんと、YuNiちゃん初のオリジナル楽曲「透明声彩」の作詞作曲を手がけたYUC’eさんが登場した。xRエンターテイメント3Dスペース「SPWN(スポーン)」でVTuberがライブするのは響木アオに続いて2人目となる。
映画館で体感する圧巻のパフォーマンス
オープニングDJを務めたヒゲドライバー氏は、「映画館でDJするのは初めて！」とは言っていたものの、堂々のパフォーマンスで会場を沸かせた。自身が手がけたゲーム曲やアニソンなど近年を代表する名曲ぞろいのオンパレード。贅沢すぎるようなセットリストに会場は大盛り上がりで、終盤には「回レ!雪月花」で全員でタオルを回し、会場全体が一体となった。
ヒゲドライバー氏のパフォーマンスにより温まった会場にYuNiちゃんが登場。映画館の大画面に突如現れたYuNiちゃんの神々しさ、「尊い」以外の言葉が浮かばなかった。ファンからのフラワースタンドを背景に少し緊張した様子でトークを展開していくYuNiちゃん。存在もそうだが、立ち振舞も当然「尊い」のだ。
YuNiちゃん登場に続いて、YUC’eさんも登壇した。YUC’eさんはYuNiちゃん初のオリジナル楽曲「透明声彩」を手がけたトラックメイカーで、今回のライブでは、YuNiちゃんとYUC’eさんによるスペシャルトークセッションが行われたのだ。YUC’eさんの明るい立ち振舞とYuNiちゃんのふわふわとした雰囲気がユニゾンを起こし会場全体が幸せムードで溢れた。
トーク内容のメインとなったのは、『透明声彩』の制作秘話。作り手と歌い手ではそれぞれ曲に対して感じることや意識したことが異なる部分があるはず。そういう視点から『透明声彩』を解剖していく展開は非常に興味深かった。例えば
──『透明声彩』というタイトルにはどんな意味が込められているのでしょうか
YUC’e：透明だけど見えないだけじゃなくて、本当は力があるものであって、YuNiちゃんの歌声には世界を変えていくような力があるなと思ったので、それを全面的に出していけたらなっていう意味合いを込めて『透明声彩』というタイトルをつけました。
YuNiちゃんの歌声は透明のように透き通っている。しかし透明と言うと、繊細さは際立つものの力強い印象はない。YuNiちゃんの歌声は透明のように透き通っているが、その中に力強さを秘めている。『透明声彩』、このタイトルを初めて見た時、力強さというイメージは沸かなかったが、YUC’eさんの話を聞いて、YuNiちゃんの歌の特徴を完璧に捉えた上で、アーティストに対する願いや思いなどタイトル1つで様々な意味合いが込められているものなんだと非常に感心した。
透明声彩が映画館に響き渡る
スペシャルトークライブが終えると、そのままYUC’eさんのライブがスタート。「Night Club Junkie」など自身の楽曲をメインにしたセットリストに加え、おめがシスターズの「Don’t say “lazy”」も披露された。こちらはVTuberのコンピレーションアルバム『IMAGINATION Vol.1』に収録されており、YUC’eさんがアレンジを担当している楽曲だ。個人的には、YUC’eさんの楽曲も相まってか、YUC’eさん独特の空気感に魅了された。かっこよさとかわいいさがミックスされたパフォーマンスで、ヒゲドライバー氏とはまた違った雰囲気が会場を沸かせた。
最後はついにYuNiちゃんのライブ。2曲目のオリジナル楽曲「Winter Berry」を披露した。サビになると2人のYuNiちゃんが登場し、バックダンサーを務め、曲の艶やかさだったり、迫力に拍車が掛かった演出を目の当たりにした僕は、「今日のYuNiのライブはすごい！」と確信した。
YuNi MV 「Winter Berry」 version Red
続いて披露したのは、以前歌ってみたでも披露した「太陽曰く燃えよカオス」。オーディエンス総立ちで行われた「うー！」「にゃー！」のインパクトは凄まじく、YuNiちゃんの後ろに映し出されたデカ文字の演出も盛り上がりに拍車を掛けた。
そして次は、オリジナル曲を除けばYuNiちゃんの代名詞と言っても過言ではない「シャルル」を披露した。こちらもシャルルの歌詞に合わせて文字が飛び交うなど、曲の雰囲気に合わせたライブ演出は非常に感動した。
太陽曰く燃えよカオス 歌ってみた
シャルル 歌ってみた
続いては、今回のライブのタイトルにもなっている3曲目のオリジナル楽曲「花は幻」を披露。これまで歌ってきた3曲とは打って変わって切ない雰囲気が会場を漂う。個人的に「花と幻」は、VTuberのオリジナルソングの中でもトップクラスに好きな楽曲。演出とYuNiちゃんの生「花と幻」は正直最高だった。「太陽曰く燃えよカオス」からの「花は幻」、本当にYuNiちゃんの歌う振り幅はすごい。どんなジャンルも聞いて歌詞さえ覚えれば歌うことはできるが、歌いこなすことは難しい。YuNiというシンガーは、歌いこなすどころか”YuNiの曲”に変えてしまうのだ。
「花は幻」が終わり、オーディエンスも「そろそろ透明声彩くるのか、、、！」と、ピリピリとした空気が漂っていた。するとまさかの「変身！」からの新衣装がお披露目された。
いやちょっとまってください。可愛いすぎる。
そもそも透明声彩が配信された時を覚えていますか。昨年10月の頭に突如Twitterの更新が止まり、そして11日間の沈黙のあとオリジナル曲を匂わせる動画投稿からのオリジナル楽曲配信、MV投稿というサプライズ。そして今回の新衣装。
やはり『透明声彩』は最高だ。
今回の新衣装はとにかく可愛いくて女の子っぽさが全面に押し出されたような印象を持った。
演出も飛び抜けてすごかった。過去の動画たちが映し出される演出、エモすぎるし普通に泣きそうだった。まさにこれまでの道のりを表した演出で、特に昔から彼女を見守ってきたファンにはたまらないだろう。
YuNi MV 「透明声彩」
最高の『透明声彩』の余韻に浸るのもつかの間、重大発表が行われた。1つはVRアプリ「cluster」上にて単独VRライブ「さよなら平成カウントダウンライブ UNiON WAVE – clear -」の開催（関連リリース）。そしてもう1つ、自身初となる2枚組ミニアルバム「clear」「CoLoR」を4月24日にリリースするという内容だ。待望の初アルバムはオリジナル曲とカバー曲をそれぞれ収録した2枚組ミニアルバムになっている。
今回のリアルライブでは、リアルとバーチャルのアーティスト共演がなされた。僕はそういう垣根を超えた視点で、最高クラスのアーティストが同じ舞台で最高のパフォーマンスを行ったライブだと感じた。今や音楽をする上でバーチャルだからといって特にハンデはないと思う。最高の演出家たちが映画館という最高の舞台で最高のパフォーマンスを行うポテンシャルと環境が整っている。それを身にしみて体感できたライブだと感じた。
