USJとディズニー出資のティフォンによる「エンタメ×VRの最新活用事例」 【コンテンツ東京2019】

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4月4日、東京ビッグサイトで開催中の「コンテンツ東京2019」にて「エンタメ×VRの最新活用事例」をテーマとした特別講演が行われた。登壇者はユー・エス・ジェイ マーケティング部 ブランド・マーケティング課長 御園ジェリー研策氏とティフォン 代表取締役 深澤研氏のふたり。

 

「クオリティー」と「スケール」低コストで実現する「XRライド」

ユー・エス・ジェイの御園氏は、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが語る!「世界最高」を届けるための先端エンターテイメント」をテーマに、大阪で運営しているユニバーサル・スタジオ・ジャパンで来場者に好評の「XRライド」などについて講演。

御園氏によると、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは開園初年の2001年こそ来場者数は好調だったものの、翌年からは成長が鈍化。そこで、来場者のターゲットを家族連れや母親向けに方針を転換。後ろ向きのジェットコースター「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド〜バックドロップ〜」や、「特に決定だったのがウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターのオープン」と新しいアトラクションの導入で来場者数を伸ばしてきたとのこと。

 

▲ユー・エス・ジェイ マーケティング部 ブランド・マーケティング課長 御園ジェリー研策氏

御園氏は「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJ)は『世界最高を、お届けしたい』をメッセージとしており、有り得ないスケールとクオリティーに巻き込まれて、自分の殻を破ってくれるワクワクとドキドキの体験。世界最高の体験を提供することを目指している」とし、そのうえで世界最高体験を提供するためには「クオリティー」と「スケール」の2つの要素だと指摘する。

クオリティーに関しては、「細かな所までディテールを詰めていきながらというのは、お金もかかるし手間もかかるが、非日常を体験してもらうためには絶対外せないポイント」と解説。さらにスケールについては「街や村が表現されている大きさのスケール感が重要。ほかの場所では達成できないようなスケール感を目指しており、ここが他社との差別化にもつながっている」と話した。

来場者を増やす、特にリピーターを作るには、この2要素をクリアした新しいアトラクションを絶えず提供していくことが重要だと御園氏は話すが、一方で「大がかりなアトラクションは何十億、何百億円かかる」とコストの壁が立ちはだかる。この壁を打ち破っているのが「XRライド」だ。

「XRライド」とは、USJがVR導入に際して、VR体験の売りをどう消化させるかを考えて作り出したもの。御園氏は「USJは高い入場料をいただいているので、その理由付けが必要」とし、ただHMDを装着しただけのアトラクションではリアルな体験は得られず理由付けに値しないという。そこで体感を提供しやすいコースターとコラボすることで、ほかのVR体験と差別化を図ったという。

XRライドの導入にはいくつかの課題点もあり、いちばんのポイントは「映像による酔い」の解消だったという。映像とライドがリンクしていないと酔いやすいため、正確に同期させるとともに、「映像で目の前にあまり動かないものを置くと、目の逃げ場ができ酔いにくくなる」といった工夫を凝らしているとのこと。

御園氏は「360度に広がる圧倒的な没入感はブランド価値を上げる」とXRライドを評価しており、今後も積極的にUSJで提供していくと話した。

 

これからの100年はスクリーンから空間に変わる

ティフォン 代表取締役 深澤氏は、同社が提供している没入体験型アトラクション施設の「ティフォニウム」(レポート記事)などについて紹介。

ティフォンは2014年にディズニーアクセラレータープログラムにより、アメリカのウォルト・ディズニー社から出資を受け、ディズニーのアプリを開発するなど、ディズニーに縁のある企業。そもそも代表の深澤氏が「子供の頃に訪れたディズニーランドのホーンテッドマンションがきっかけ。小さい子供だったこともあって、別世界に入り込んだ。これを自分でも作ってみたいと思った」と現在提供しているサービスの原点がディズニーにあることを説明。

 

▲ティフォン 代表取締役 深澤研氏

スマートフォンのアプリなどで経験を積んだティフォンは、イメージスケッチなどでアイディアを固め、「リアルな空間が変形して怪物になる」ホラーアトラクションをVR、MRで再現することを目指し開発をスタートした。

「当初は電動車イスのようなデバイスを制御して体験させることも考えた」というが、最終的にはバックパックPCを使って移動可能なHMDでのシステムを採用。4m×8mのスペースを効果的に使って、仮想空間を作り上げていった。

ちなみにHMDにはHTC VIVEを採用したが、HTC VIVEのベースステーションは推奨スペースが対角線5mまでとなっており、想定した4m×8mはスペックオーバーとなる。深澤氏は「限界に挑戦した事例としてHTCが紹介していました」と、ティフォンの高い技術力をアピールしていた。

さらにプレーヤーの手にはコントローラーではなく、トラッカーを取り付けたランタンを使用。これによりリアルな感じを味わえるだけでなく、トラッカーの動きによって、搭乗するクリーチャーなどの動きも変えられるようになっている。「体験者の行動によって違うので毎回違い、いつも新鮮な体験ができる」というわけだ。

ティフォンが運営するアトラクション施設「ティフォニウム」は、現在お台場のダイバーシティ東京と渋谷の喜山ビルで常設している。さらに今年中にロサンゼルスへの出店も決定しているとのこと。

深澤氏は「これからの100年はスクリーンから空間に変わる」とし、「新しい世界観を提示していきたい。空間をベースにしたエンターテイメントの最先端を走って行くことで、新しい時代のディズニーを目指していく」と語った。

 
*訂正:撮影可能とアナウンスがあった講演でしたが、イベント運営側の手違いにより撮影不可ということが判明し、初出時に掲載していた講演スライドを削除いたしました(2019年4月9日23時53分)

 
 
(文 中山智/編集 花茂未来
 

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