日本の音楽市場は世界2位 Amazonのデジタルコンテンツ配信戦略【コンテンツ東京2019】

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東京ビッグサイトで開催された「コンテンツ東京2019」にて「デジタルコンテンツの配信最前線」をテーマとした特別講演が4月5日に行われた。登壇者はSHOWROOM 代表取締役社長 前田裕二氏と、アマゾンジャパン デジタル音楽事業本部事業本部長 レネ・ファスコ氏のふたり。

講演では映像産業振興機構(VIPO) 専務理事事務局長 市井三衛氏を迎えトークセッションも行なわれた。残念ながら前田氏の公演内容については取材禁止のアナウンスがあったため、今記事ではレネ・ファスコ氏のプレゼンについてレポートする。

 

▲アマゾンジャパン デジタル音楽事業本部事業本部長 レネ・ファスコ氏

ファスコ氏はアマゾンジャパンでデジタル配信を担当しており、9年ほどドイツに赴任し、日本には着任したのは6ヵ月前からとのこと。約10年間、世界の音楽配信を見続けており、その観点から現在のコンテンツ配信について語った。

まずファスコ氏は、RIAJの日本国内の音楽売上推移を提示し、60年代のレコードからカセット、CD、着メロ、ダウンロード、ストリーミングと主要のメディアは変わってきたが、CDまでは「新しいテクノロジーが登場すると、新しい成長が音楽業界に生まれてきた」としている。そして日本の現状としては売り上げこそ98年がピークで下降傾向にはあるものの、規模で言えば世界第2位と世界的にも有望な市場だとしている。

 

▲日本の音楽市場の売上推移

ただし日本の場合、CDの売り上げは全体の約70%をしめており、世界の平均だと25%なので、かなりCD依存した市場だという。「日本はストリーミングの売り上げが10%から13%しかありませんが、世界的には50%をしめている国もある」と、世界的にはCDではなくストリーミングへと音楽コンテンツ市場にすでに移っているとファスコ氏は説明する。

アマゾンの音楽サービスは2010年の「Amazon MP3」からスタート。いわゆるミュージックストアという形態から始まっているが、現在は「Amazon music Prime」や「Amazon music Unlimited」といったストリーミング型のミュージックサービスという形態に移行している。ファスコ氏はAmazonミュージックの戦略として「差別化されたプロダクト」と「簡単な操作」、「新たなカスタマー」の3つをピックアップし、ストリーミングビジネスの成長ポイントだと話す。

 

▲Amazonが手がけてきた音楽サービス

 

▲Amazonが重要視する戦略の3つのポイント

「差別化されたプロダクト」としては、PrimeとUnlimitedという2つのサービスを用意。「プレミアムサービスだけとか、無料サービスだけを提供するのではなく、少し違う差別化したプロダクトにしようと考えた」とのこと。また「簡単な操作」ではユーザーが曲を探すのではなく「オススメの品をどんどん提示して、そこからユーザーが好きな曲を見つけてもらう」といった工夫をしている。

「新たなカスタマー」としては、「日本のAmazonユーザーは、年齢的に見ると非常に若い新しいテクノロジーをどんどん吸収していくアーリーアダプターが多い。そういう人たちにストリーミングという新しいテクノロジーを使えるようにしてもらうと考えた」と話した。

ファスコ氏はストリーミング配信では、音楽消費の流れも以前とは変化していると指摘。以前は、ラジオやテレビから流れていたり友人などから教えてもらって楽曲を見つけ、リアル店舗で購入しプレーヤーを使って楽曲を楽しむというステップを踏んでいた。これがストリーミング配信では、すべてのステップをサポートしているという。

 

▲CD以前の音楽消費の流れ

 

▲ストリーミング時代はすべてのステップを配信サービスが担う

さらにファスコ氏はボイス機能によって楽曲のリクエストなど検索方法も変わってきていると指摘。これまでは楽曲名やアーティスト名だけでリクエストしていたものが、「ランニングに合わせた曲」など状況や気分に合わせたリクエストも可能となっている。「アーティストはこれまでにないような形でオーディエンスに手を伸ばすことができる。新しいオーディエンスを見つけ、そしてオーディエンスと今以上にユニークな形で関わることができるようになる」とした。

 

▲ボイス機能で楽曲へのリーチが増えている

前田氏とファスコ氏のプレゼン終了後には、VIPO(映像産業振興機構)の専務理事 事務局長 市井三衛氏を交えたパネルセッションがあり、市井氏から3つの質問がふたりに投げかけられ、それぞれ回答するという形式で行われた。こちらもファスコ氏の回答のみレポートする。

 

▲パネルセッションに登壇したVIPO(映像産業振興機構)の専務理事 事務局長 市井三衛氏(左)とファスコ氏

ひとつ目の質問は「動画、ゲーム、音楽などサブスクリプションの配信サービスが次々と登場している中で、どのような展望を描いているか?」というもの。これに対しファスコ氏「まず新しいテクノロジー、ストリーミング、インターネットを受け入れて欲しい。プレゼンテーションでも話しましたが、それによって新しいオーディエンスが開かれていく。新しいテクノロジーを積極的に活用することで全体としてのメリットになる」と回答した。

ふたつ目の「事業拡大の為に、日本のクリエイター・コンテンツホルダーに期待すること」に対しては、「オリジナルコンテンツというのが重要になってくると思う。ビデオ配信サービスはいくつもあるが、その映画やテレビ番組はほとんどがオリジナルコンテンツになっている。一方音楽の場合はフルカタログが重要です。それが私たちのいちばんの優先事項となっている。ただAmazon music Unlimitedで6500万曲をラインアップしているが、まだストリーミングに参加してないアーティストもいる。そういったアーティストにも加わってもらいたい」と、参加アーティストの拡充にポイントを置いた。

最後の「配信プラットフォーム内で、今後どのようなオリジナルコンテンツを手がけていくか?」については、「国際市場というのは日本のアーティストにとって大きな機会だと思う。地域とかローカルな音楽の発見から、グローバルサービスへ移行して、世界の何百万のユーザーに対してリーチできるようにしたい。たとえば日本ならJ-POPやアニメ音楽、ビデオゲームの音楽は世界でも局所的な人気はあるが、さらに世界的に受けられると思うので、国際的な成功を収めてもらう手伝いができれば」と語った。

 
 
(文 中山智/編集 花茂未来
 

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