コミュニケーションが苦手でも大丈夫!? 「ユメノグラフィア コンセプト体験会」に行ってきた
2019年4月19日、都内某所にて、にじさんじを運営するいちから株式会社が発表した新規プロジェクト「ユメノグラフィア」のコンセプト体験会が開催された。
本サービスでは、バーチャル空間上のカフェにアバターの姿で入店し、一対一でキャストと会話を楽しんだり、一緒にゲームで遊べたり、バーチャル世界の日常を体験できるのだ。メディアとして呼ばれて「ユメノグラフィア」を存分に楽しんできた筆者が、どのようなサービスなのかその全貌に迫る。また、同社COO 岩永太貴氏に今後の展開についてお話を伺えたので、そちらも併せてお届けする。
※体験会の内容はテスト版であり、正式リリース時の内容とは異なる場合があります
「ユメノグラフィア」でのコミュニケーションはラクラク!?
「『ユメノグラフィア』の体験会に参加してくれない?」と編集部から連絡を受け、指定の場所までやってきたが、そのときはそこそこ緊張していたのを今でも覚えている。VTuber相手なら活動内容を知っているので話を広げやすいが、今回は初対面。しかも女性と一対一で交流なんて『ドリームクラブ』でしか体験したことがないぞと。
幾ばくかの不安を抱えながらバーチャル空間上のカフェに入店できるという1室に入ると、そこには「Oculus Rift」があった。これを被ることで入店できる仕組みとなっているようだ。さっそく被ってみると、目の前には制服姿の女の子がっ!!
「キヌガサマコトです、初めましてー! お名前を教えてくださいっ!」
「あべです!」
「あべさんですか。なんて呼べばいいですか?」
「あべさんでも、あべくんでも、あべちゃんでもお好きなの選んでください」
「じゃあ、あべちゃんで! 私はキヌちゃんとかおキヌって呼ばれてるんですけど、なんて呼びたいですか?」
「じゃあ、キヌちゃんって呼びます!」
男女問わずファーストコンタクトでは話すことが苦手な筆者でも、最初からスムーズに会話できていた……。
後々、なぜコミュニケーションをしっかり取れていたのか考えてみたのだが、リアルの自分が相手に見えていないのが要因として大きかったのかもしれない。
「ユメノグラフィア」では、自分の外見が均一化されている。そのため、見た目で印象が変わらないのが安心感を与えてくれていたのだろう。その後もバーチャル空間でできることを余すことなく、キヌちゃんにレクチャーを受けながら遊んでいった。
コーヒーを手に持って二人で乾杯! 口に近づけて飲むとしっかり減ってくれるので、バーチャル空間にいるという感覚をなくしてくれる。
ピコピコハンマーとヘルメットを使って遊んだ「叩いてかぶってジャンケンポン」では、白熱した戦いを繰り広げた。負けたのにハンマーを持ってしまったり、ちょっとしたハプニングで和気あいあい。
お題がランダムで表示されるパネルでお互いが質問をぶつけあったりもした。ちなみに、おはぎを作るのが好きだと教えてくれたが、おはぎを手作りすることに驚きを隠せなかった。
楽しく盛り上がったが、いよいよ別れの時。最後にキヌちゃんへ挨拶をして「Oculus Rift」を外した。すると、スタッフからは30分ものあいだバーチャル空間にいたことを伝えられた。正直、体感ではその3分の1程度だと思っていたが、かなりの時間が経過していたようだ。もしかすると、会話が盛り上がりすぎて何時間も利用するお客さんも出てくるかもしれない。それほどまでに熱中できるコンテンツとなっていた。恐るべし、「ユメノグラフィア」……!
これまでのVTuberを代表するバーチャルコンテンツと言えば、一対多数、多数対多数でのコミュニケーションがほとんど。「ユメノグラフィア」のように一対一でバーチャルな存在とやり取りを楽しめるイベントも「ニコニコ超会議2018」の「バーチャルYouTu”BAR”」や、「東京ゲームショウ」で行われた「ゲーム部プロジェクト」との交流など、大きなイベントでの催し物が大半を占めている。
そのため、フラっと気軽に自宅からアクセスし、バーチャル空間で誰かと一緒に楽しめるコンテンツは貴重なのかもしれない。想像の数だけ遊びが見つかりそうな予感のする「ユメノグラフィア」。今後どのように展開していくのか注目していきたいところだ。
「ユメノグラフィア」の今後は? いちから株式会社 COO 岩永 太貴氏に聞いてみた
——「ユメノグラフィア」はいつ頃リリース予定なのでしょうか?
岩永太貴氏(以下、岩永):今はローカル通信でやっているので、オンライン同士でどれだけ安定するかやってみないと分からないところがあります。改善を続けている段階ですので、ゲーム業界でいう春にリリースできたらいいなと(笑)
これまで一対複数人でのVTuberイベントは多くありましたが、その対応する人数が少なくなればなるほど、細かなところが気になってしまうんですよ。たとえば、ちょっとしたリップシンクの動きですとか。そういった点をリリースまでにブラッシュアップしていくのが今後の課題ですね。
——利用料金などのサービス面での方針はもうすでに決まっていますか?
岩永:一対一のコミュニケーションという形でしたらキャストには時給が発生する形になると思いますので、ユーザーさん向けには時間課金になるかもしれません。ただ、15分ごとなのか、30分ごとなのか、それが果たして自動延長なのか。そのあたりは自宅でキャラクターとコミュニケーションができる体験を損なわない形で仕組みとして調整していきます。
——「ユメノグラフィア」を体験してみて、まだまだ遊びの幅が広げられるなと思いました。
岩永:そうですね。バーチャル空間ならではの付加価値的な体験を提供できたら面白いと考えています。VR空間で卓球ができたり、リアル野球盤みたいな形で遊べるようにしてみたりだとか。接客をするというよりかは「バーチャル空間で一緒に遊べるよ!」ぐらいのイメージを持ちながら開発していますね。
ただ、こういったアイデアはなるべくユーザーさんからも積極的に募って実現していきたいと思っています。なぜなら新しい使い方をいち早く見つけてくれるのがユーザーさんなので。そのため、色々なアイデアを実装しやすいような拡張性のあるプロダクトにしていく予定です。
——キャストはどのような形で募集をかけるのでしょうか?
岩永:アルバイト募集といった形で働きたい方を募るかもしれません。でも、選ばなくてはいけないぐらい応募をいただいた場合は、実質オーディションのような形式になってしまう可能性も……。いきなり100人に働いてもらうことは難しいですから、まずは2、3人ぐらいでサービスをスタートしようかなとは思っています。
——にじさんじに所属するライバーとも「ユメノグラフィア」で遊べるのでしょうか?
岩永:にじさんじとは完全に別事業なので、今のところ予定はしていないです。出るとするなら、TGSなどの大きなイベントでPRとしてライバーを起用するかもしれません。というのも、このプロジェクトは働き方改革の側面もありまして、時短勤務や自宅勤務、遠隔地での勤務といった取り組みも支援していけたらと。先ほどの拡張性のあるプロダクトにしたいというのも、そういった意味で幅広い用途に対応していきたいという思いからです。
近々ユメノグラフィアのバーチャル広報さんも募集する予定でして、ぜひ応募いただけるとうれしいです!
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