「頑張ってきてよかった…」MonsterZ MATE1周年記念ライブレポ
2019年5月5日に活動1周年を迎えた音楽系男性VTuber2人組のMonsterZ MATE(モンスターズメイト)が、5月18日に池袋HUMAXシネマズで1周年記念ライブ「MonsterZ MATE 1st Anniversary Live〜 俺らがやらねば誰がやる 〜」を開催した。
-ライブセットリスト-
1.hero_ |
「最初に言いたいのは、まだライブパートじゃないんで座ってください(笑)」、MZM登場で思わず立ち上がった会場に向けてコーサカ氏が最初に放った言葉だ。池袋HUMAXでのライブはかなり見てきたが開幕演者の登場で全員が立ち上がるのは初めてかもしれない。1周年を迎えたMZMがこの日に掛ける思いは尋常じゃないのは確かだが、その活動を見守ってきたファンにとってもこの日は特別だ。登場しただけで思わず立ち上がってしまった姿を見て僕はそう感じた。
そして”間違って来てしまった”と、同じバルスに所属する銀河アリスちゃんも一緒に登場し、トークパートを一緒に盛り上げた。MZMの2人と銀河アリスの3人で行われた5つの動画の中から1番人気の動画を当てる選定戦では、会場や配信を見ている人がSPWN DIVEというwebアプリを使って5つの動画の中から好きな動画を選択肢し、それをMZMと銀河アリスが当てるという所謂、誰が1番ファンの気持ちを理解しているかを競う企画が行われた。
当初優勝者には名誉だけが与えられる予定だったが、バルス代表の林さんから”高級焼肉のプレゼント”があると発表され、各々が真剣に予想をしそれぞれ発表した。その結果、3人共1位の予想が同じでMZMに関しては回答がまったく同じという結果に。そして最初は優勝者が焼肉と言われていたがコーサカ氏のルール改変提案により、1位を当てれば焼肉という展開になり無事に3人共焼肉をゲットすることに成功。
アンジョー氏の「どこの焼肉?叙々苑?」に対して「サイゼリヤ!!!!」と答える銀河アリスはさすがだと思った。
ここでサプライズ。高級焼肉券のプレゼンターとしてVTuberの東雲めぐちゃんが登場した。高級焼肉券のプレゼンターを今年の春で高校2年生になったばかりの女子高校生がやっているのだ。最初は東雲めぐの登場にテンション上がって考えていなかったがよくよく考えると面白すぎる。しかもコーサカ氏の「簡潔に紹介します。俺らの推しです。」というあまりにも簡潔すぎる紹介に笑わずにはいられなかった。高校2年生の女の子に高級焼肉券を贈呈される異質の光景がこの1周年の大舞台で見られるのもMZMらしいというかバルスらしいというか、この独特のゆる~いノリは彼らにしかできない芸当なんだなと改めて認識した。
ライブパートに入る前、突然コーサカ氏から会場に向けて1つの質問が投げかけられた。「夏のライブ来た人っています?」、だいたい会場全体の3~4割が手を挙げただろうか。夏のライブに参加したファンが1周年のライブにかなりの人数来ていることも素敵なのだが、逆に夏のライブに参加していないファンが7割程もいるのだ。思わず「頑張ってきてよかった…」と素の声がコーサカ氏から漏れていたのが印象深かった。
「僕たち音楽系のユニットなんでここからは音楽系だぞってところを見せていきたいんですけど準備はいいですか!」、待ちに待ったライブパートの始まりに会場の熱気が更に上がった。正直これはいい意味で、音楽以外の分野、特にトークに置いてはポテンシャルがあまりにも高すぎて、動画など2人のトークを見ていると音楽系だということをついつい忘れてしまうことがある。エンターテイナーとして完成度が高すぎるんだよ、MZMは。
MZMの楽曲の中でもメッセージ性の高いライブ初披露の「hero_」がライブパート1曲目を飾った。VTuberのみならず何かを挑戦している人、何かを成し遂げたい人は是非聴いて欲しい。開幕、会場は希望に溢れ、2曲目「トロピカ☆ナツオーレ」はライブにはもってこいのロックチューンで会場を揺らした。
3曲目に入る前、「新曲って普通アンコールで歌うじゃん?俺が客だったらあぁ知らないってなっちゃう。アンコールはデビューシングルとかがいい派なのね」というトークにとんでもない共感を覚えた。そして初公開となる新曲「千年愛」が披露された。
(千年愛 / MonsterZ MATE)
初めてのダンスに加え、キャリア初となる作ってもらったラップを歌うという色んな意味で新境地がつまった新曲「千年愛」。そしてその後のトークでアンジョー氏が抜きの美学について語っていた。なんとアンジョー氏は「千年愛」のレコーディング時、3分の1の力で歌っているらしく、パワー寄りではなく技術で歌う「抜きの美学」で新しい境地に挑戦したそうだ。アンジョー氏のあの綺麗なハイトーンボイスの秘訣が少し垣間見えた気がした。
そして続いて披露されたのは”モンパレ”こと「MonsterZ PARADE」だ。この曲ではSPWN DIVEとの連携でタップの回数に応じてミラーボールなどの演出がリアルタイムでスクリーンに反映される仕様となっており、曲中では様々な演出で楽しませてもらった。
ちゃんまりとバーチャルねこさんを迎えて話題となった「Up-to-date feat. かしこまり」は、やってほしいけどさすがにやらないかな?という程度の期待を寄せていた。いざちゃんまりが池袋HUMAXの巨大スクリーンに登場した時はどうにかなってしまいそうなくらい興奮してしまった。「oh-ohoh-oh」の部分を会場全員で歌うのが相当気持ちよかった。
Up-to-dateからそれぞれソロの曲を披露した。コーサカ氏の「daydream」は音源とは違い感情が圧倒されるくらいひしひしと伝わってきた。ラップでここまでの表現ができるんだと、技術を超越したものを感じた。
続いてはアンジョー氏がソロ曲「狼狽」を披露。コーサカ氏の時とはガラッと雰囲気が変わってセクシーな歌声が会場に響き渡った。やはり2人とも”個”のポテンシャルが半端じゃない。VTuber業界の中でもアーティストとして最高クラスの2人がユニットを組んでいる奇跡を改めて実感したソロパートだった。
ラスト前のトークでアンジョー氏が感情を抑えきれない場面があった。「1年間色々あった。馬鹿にされたりもした。たくさん我慢した。誰1人欠けていたら絶対ここにはこれていない。本当にみんなありがとう。」滲むような努力を1年間やってきたのだろう。そうじゃないとこんな言葉はでないし、この日最高のパフォーマンスはできていなかっただろうから。続いてコーサカ氏は、「素晴らしい仲間に囲まれています。信じて付いてきて頂ければ、俺らのベストなものってのはずっと供給できる自信があるので、安心して付いてきてくれたら嬉しいなと思います。」と語った。
そして最後の曲「Live your life!!」が歌われ、MZM1周年のライブは幕を閉じた。アーティストとしての素質は備わっている、トークも上手い、笑いのセンスもピカイチ、そんな彼らでも滲むような努力を1年間してきているんだと感じた。いろいろ考えさせられてしまった。新しいものを求められては、昔はよかったと言われることもあるだろう。そんな世界でもMZMはアーティストとしてこれからもベストを供給していくと確信できたライブだった。