Unityだから追求できた「マシュがいる感」 「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」開発秘話【Unite】
5月8、9日に東京国際フォーラムで開催中の「Unite 2017 Tokyo」。PlayStationのスポンサーセッションでは、「最新PlayStation VRコンテンツ制作事例紹介 with Unity」と題して、ディライトワークスによる「Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト」(FGO VR)と、カヤックによる「傷物語VR」の事例が紹介された。まずは、みんな知りたがってるだろうFGO VRについてまとめていこう。FGO VR自体については、Anime Japanの体験レポートを参照していただきたい。
「Fate/Grand Order」シリーズ開発のディライトワークスは2014年創立のゲーム制作会社。現在は「Fate/Grand Order」「バンドやろうぜ!」といったスマホ向けゲームを中心に開発。「FGO VR」以外にも新規プロジェクトが進行中とのこと。
講師は、ディライトワークスのVRセクションのテクニカルディレクター・荻野洋氏と、シニアグラフィックデザイナー・潘志浩氏。荻野氏は、業界歴25年超というベテランエンジニア。潘氏は香港出身で、アニメ制作からDeNAを経てディライトワークスに入社した3DCGジェネラリスト。
「Fate/Grand Order VR」は、3月に開催されたAnime Japanで初披露された。SIEJAとの協力もあり、30台の試遊台を用意するなど、大きな話題を呼んだ。
FGO VRで使用するゲームエンジンは、Unity以外のものも検討された。重要なのは、「その場にマシュがいる」表現ができるかどうか、短期間での開発でいいものに仕上げられるかということ。
原作となる「Fate/Grand Order」がキャラクターのイラストを前面に押し出したタイトルなので、当然ながらフォトリアル系に強いエンジンより、アニメ系のシェーダーに強いものが求められた。また「Fate/Grand Order」自体がUnityで作られていたこともあって、開発者の知見が多くリスクの少ないUnityを採用に至った。
Unity for PS4は、PC版のアップデートに遅れず(遅くとも翌々日)にアップデートされるため、新機能・バグフィックスがすぐ使用できるのは有難い、と語っていた。モーションコントローラなどはプラグインを用意している。
今日のパルマーさん:ましゅましゅー!
基本構成一覧。タイムラインは、本編の法具(必殺技)演出と同様に「uSequencer」を使用。いわゆるタイムライン機能が実装するかしないか、という時期に開発を開始したため、こういう形をとっており、現在「uSequencer」が更新終了しているため、今からの使用はおすすめできないとも。
VRなので負荷のチェックも大事。描画負荷を抑えるため最終的な描画は50万ポリゴンとのこと。プログラムの負荷はそれほど多くはなかったらしい。
PS VR名物のVRコンサルテーションでのダメ出し一覧。カメラで引っかかったケースがほとんどだが、フェードアウトで真っ黒はダメというのは初めての情報だった気が……。
グラフィックの作業内容、フローおよび使用ソフトなど。
モーションは「FINAL-IK」と手付けモーションのハイブリッド。
胸の揺れは、3ds maxでシミュレーション結果をベイクすることで実現した物理揺れ! 髪などの揺れは「Dynamic Bone」を使用。なお「常に優雅たれ」は「Fate」シリーズに登場するの遠坂家の家訓だ。
VRは、実際に体験して初めて真価が出るもの。スクショだけで判断するのはダメ絶対。実際、Anime Japanでのスクリーンショット公開時に「ダメ」と判断した人が多く、概ね高評価だった体験者との乖離が著しくて、いろいろと問題になった模様です。
FGO VRは「マチアソビ」での体験会も長蛇の列となってしまい、体験できなかった人も多かったとか。さらに人気が加速しそうだが、次の体験会は7月29、30日の「Fate/Grand Order Fes.2017 ~2nd Anniversary~」になりそうだ。それまではゲーム本編を進めつつ、新情報を待ちたい。
(C) TYPE-MOON / FGO PROJECT
(TEXT by Shogo Iwai)
*Unite 2017 Tokyoまとめページはこちら。
●関連リンク
・ディライトワークス
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・Fate/Grand Order VR
・Fate/Grand Order Fes.2017 ~2nd Anniversary~