VRとの融合も? Windows Holographicの発表における海外メディアの反応
Microsoftは、5月31~6月4日まで開催している世界最大級のコンピューター見本市「COMPUTEX TAIPEI 2016」の基調講演にて、MRヘッドマウントディスプレー「HoloLens」のプラットフォームである「Windows Holographic」をサードパーティに開放することを発表した。
HoloLensのハードウェアやソフトウェアの技術のことで、これを使うことでサードパーティでもHoloLensのような技術が作れるようになるという。すでに、AMD、Qualcomm、HTC、Acer、ASUS、Dell、Falcon Northwest、HP、Lenovoなどが協賛を表明している。今回はこの発表における海外メディアの反応を見てみよう。
なお、PANORAでは、以前からHoloLensに注目しており、2015年度のMicrosoft主催のカンファレンス「Build 2015」では、HoloLensを先行体験されたユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの伊藤周氏にインタビューした。2016年4月に開催されたニコニコ超会議3では、JALが出展したHoloLensによるパイロット訓練のデモも取材している。
未来はVRヘッドセットメーカー次第
The VERGEは、講演時に紹介されたコンセプトムービーでHTC VIVEとHoloLensが相互に利用されるシーンがあったことを理由に、「Microsoftは、VRヘッドセットがOSやソフト、サービスに至るまでWindows Holographicの中で動くことを期待しているのだろう」と予測する。さらに、現状ではコンセプトであり、MicrosoftがVRヘッドセットメーカーに、「これは使える」と思わせれば標準のプラットフォームになるだろうと語っている。
AR市場拡大のための大きな一歩
USA Todayは、「これまでのAR体験は一般消費者向けには高価であったが、Windows Holographicによって価格が下がる、ARヘッドセット市場にいる他社(EPSON、Meta、ODG)にとっては厳しい状況になるだろう」と指摘する。なお、MicrosoftはHoloLensについて「Mixed Reality(MR)」という言葉で説明しているが、ここではUSA Todayの表記に合わせた。
HoloLensがリードし、他社が広げていく
ars technicaによると、「MicrosoftがHoloLensを作り、サードパーティも類似デバイスを作ることは競合を増やすことになるかもしれない」と触れつつ、「PCの世界では、MicrosoftがSurfaceというフラグシップモデルを提供して『2 in 1 PC』という市場をリードして、OEMメーカーがその市場を広げる役割を担っており、HoloLensの場合もMRという市場をリードしたいのだろう」と予測している。
各メディアのコメントを見ると、Windows Holographicに対して否定的な印象はなかった。一方で、現状はコンセプト段階であり、実現するかはまだわからない、と冷静に見ている様子も伝わってきた。Windows Holographicによって、HoloLensのようなデバイスが安く発売されるのか、HTC VIVEやOculus RiftがHoloLensの操作や表示の概念を使えるようにするのか、というのは確かにわからない。
VRとMRの境界がなくなると、今回のコンセプトムービーで見たようなさらに新しい世界が開けそうである。これまでVRだけでも十分すごいと思っていたが、それを超える世界、ますますVRとMRから目が離せない。
(Text by @WheetTweet)
●関連リンク
・MicrosoftのBlog記事(英文)
・Microsoft wants VR headsets to run its Windows Holographic OS
・Microsoft opens up HoloLens platform to rivals, developers
・Microsoft pushes Windows 10 Holographic as the one-stop option for VR and AR