あなたは、誰にでもなれる──Mirrativ、アバター作成から配信まで可能なVTuber新機能「エモモ」追加 

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ミラティブは1日、スマートフォン向け動画配信ツール「Mirrativ」の新機能として、ユーザーがアバターを操作しながら生放送できる「エモモ」β版を提供開始すると発表した。エモモの利用待ち登録をする、または15分以上の配信を7日間連続で行う「まいにち配信者」になることで使えるようになる。βテスト期間は8月中旬頃までの予定。利用料は無料。

アバターの作成、リップシンク(口の動きの同期)による操作、キャプチャーしたスマホ画面とアバターを合成しての配信と、スマホ1台とMirrativアプリだけでバーチャルYouTuber(VTuber)活動をカバーできるのが特徴だ。ソフトの主な機能に加えて、ミラティブ代表取締役の赤川隼一氏にインタビューできたので開発に込めた思いもまとめていこう。

 

 

必要十分に絞られた機能

ここ数ヵ月で立て続けに発表されているバーチャルYouTuber関連ツール。PC向けだけでもバーチャルキャストVカツカスタムオーダーメイド3teneVDRAW、スマホ向けを入れると、パペ文字ホロライブカスタムキャストトピアShowarアニコンIRIAMと10を超え、各社が非常に注目しているジャンルだということがよくわかる。

そうしたツールで現状出ているものは、アバターのカスタマイズが得意な一方で配信には別ツールが必要だったり、逆に配信機能は豊富だけどアバターはつくれなかったりと、複数ツールを併用することがほとんどだった。そのアバターづくりから配信まで一気通貫で実現したのがMirrativのエモモになる。

アバターカスタマイズでは、男女の性別、顔の輪郭、体の大きさ、髪型、目、口、服、背景を選んで、さらに肌などの色などを指定できる。見た目がVTuber業界で主流な美少女テイストだけではないのも間口が広そうだ。

 

 
アバターの操作は主に顔だけで、音に合わせて口パクを同期し、表情は画面を上下にスライドして普通/悲しい/嬉しいと切り替えられる。まばたきや体は「いいかんじ」に自動で動かしてくれるほか、「ハハハハ」といったように、一定の音声を検知して発動する特定の動きもいくつか隠し球で入っている。逆に言えば、スマホのカメラは認識に使っていないため「魂バレ」の心配もない(とはいえ、配信中にカメラアプリを誤操作で起動してしまうと映ってしまうが)。

 

配信時は、アバターの背景を指定してトークできるほか、Mirrativ本来のスマホで見ている画面をそのまま配信できるというメリットを生かし、キャラクターを右下に合成してのゲーム実況も可能だ。

 

 
もちろんPCやVR機器を用意したり、表情や体の動きを取ってくれるスマホアプリをつかったほうが、顔や体の動きを豊かに表現できることも多いものの、独自アバターをつくってスマホ1台で配信までできてしまうのは非常にお手軽と言えるだろう。

実際に触ってみると、設定から配信までやれることが限られており、シンプルすぎて拍子抜けするぐらいだ。だが、このきちんと機能を絞っているおかげで、多くの人が迷わずVTuberを始められる素晴らしい仕様に落とし込めていると言える。

 

「サマーウォーズ」や「レディプレ」を再現

赤川代表によれば、エモモは「あなたは、誰にでもなれる」がコンセプトとのこと。

もともとMirrativ自体が、自宅や学校・職場のような「リアル」とは違う、バーチャルなソーシャルグラフでの「サードプレイス」を志向した配信プラットフォームだ。スマホの画面をそのまま映すため、顔出ししないまま配信する人も多く、リアルでは引きこもりな人物が、スマホゲームが上手いおかげで神と呼ばれていたりするように、ネットで違う自分を表現できて楽しく対話できる場となっている。VTuberブームに乗っかったというよりも、そうしたリアルと切り離した人格を発信しているユーザーには体があった方がよりコミュニケーションが活性化するのでは、という流れで今回のエモモが企画された。

MirrativでVTuberといえば、バーチャルライバー集団「にじさんじ」の話題は外せない。今年2月、1期生がスタートした当初からMirrativを配信の場として活用し、にじさんじ限定ギフトにじさんじQといった企画も進めてきた。

そんなにじさんじについて、赤川代表は「衝撃的」と振り返る。「昨年末からVTuberが流行り始めた頃は、3Dキャラクターがこんなに生生しく動くというのが話題になっていたかと思うのですが、にじさんじさんは動きの量が多いわけではないし、ましてゲーム実況中は配信画面にライバーの顔が映っていないことすらあるのに、視聴者がひとつの人格として認識しているのがスゴい」(赤川代表)

 

 
目指すのは、「サマーウォーズ」や「レディ・プレイヤー1」といった映画の世界観をスマホだけ再現すること。7月上旬には、既存の配信者20人ぐらいに協力してもらい、テスト配信を実施した。そこで発見だったのは、いったんカスタマイズしたアバターで放送を始めると、自分の分身と認識して愛着が湧いてしまうので、髪型や服以外の顔や体などは決めたものをむしろ変えたくない、という声が多かったこと。

赤川代表は「既存のアバターサービスとは違う。かっこよくいえば身体性からの解放、魂の解放みたいなところ」と語ってくれた。余談だが、赤川代表のにじさんじでの推しは委員長(月ノ美兎ちゃん)と夕陽リリちゃんで、特にリリちゃんは「いい子すぎて聞いていて元気になる」とか。

 

「バ美肉」向けのボイチェンも実装予定

もちろん機能は今後も拡充していく。アバターの操作についても、顔の角度が反映されるだけでもキャラの実在感が変わってくるのでカメラによるキャプチャーを検討中だ。

男性が女性アバターを使って女性VTuberとして活動するいわゆる「バーチャル美少女受肉」(バ美肉、ばびにく)のニーズもきちんと見越しており、ボイスチェンジャーも実装していく予定だ。VRMなどのアバターを読み込ませたり、特別なパーツを販売したり、さらに視聴側もアバターを持ってもらい、電話をかけたらアバターが画面に出てくるような構想もある。

「今はきちんとニーズに応えるところから始めていますが、やっぱりカオスなほうが面白いと思っているので、例えば、ロボや動物でも配信できるように、いい感じにカオスにしていきたい。MirrativがVTuber文化に混ざっていって、みんながアバターを持つ世界になり、色々な才能が発掘されて活躍の場が増えていけばいいと思う」(赤川代表)

エモモという機能の名前が、ミラティブ創業当時の社名だというのも、ちょっとエモい話だ。人の心だけでなく、人生まで動かしてくれそうなVTuber向けの新機能。ぜひ試してみてはいかがだろう。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
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