異なる場所でのマルチプレーも視野に 韓国SKonecのロケーションVR「VR Squar」を体験

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今年のGDCにおけるEXPO(展示会)会場では、VRのハードウェアだけでなく、コンテンツの出展が多い印象だった。その中から、韓国SKonec(スコーネック)が展示していたロケーションVR向けシステム「VR Square」をレポートしていこう。

 
 

日本で存在感を増すロケーションVR

 
現在、VRは日本でも注目を集めている存在だが、一方で一般家庭に爆発的に普及しているとは言い難い。それは良質なVRコンテンツを体験して面白さや便利さに気づいている人が少なかったり、そもそもPCやゲーム機を持っておらずハイエンドの機器がまだ高額で手を出しにくいという理由が考えられる。

 
そうしたVRの一般化までのギャップを埋めてくれそうな存在が、店舗で遊べるロケーションVRである。お店で数百円〜数千円のお金を払ってVRゴーグルをかぶれば、バーチャル世界に一瞬で入り込んでテーマパークのような目新しい体験が可能だ。

 
日本でもバンダイナムコエンターテインメントの「VR ZONE Project i Can」(現在は終了)、セガの「ZERO LATENCY VR」、イオンの「VR Center」、アドアーズの「VR PARK TOKYO」といったように次々とロケーションVR施設がオープンしてきた。また全国津々浦々に展開しているネットカフェでも、VRを体験できる店舗が増えてきている。

 
この需要を見込んで、国内でもハシラスやグリーなどの企業がロケーション向けのVRコンテンツを提供してきたが、海外でも同様に開発企業が増えてきた。

 
というわけでSKonecだが、同社はVRにおいてはモバイルVRゴーグルの「Gear VR」向けに「MORTAL BLITZ VR」というFPSをリリースしている企業だ(関連記事)。それと同時に今回取り上げるVR Squareも開発しており、GDCでは実際の銃型コントローラーを持って広い空間を実際に歩き回れるFPS「Mortal Blitz for Walking Attraction」をデモしていた。

 

セガの「ZERO LATENCY VR」を体験した人には、そのシングルプレー版でルートに沿って歩けるといったほうがわかりやすいかも?

 
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なお、MORTAL BLITZ VRのPlayStation VR版も展示していた。

 
 

反動付きなので撃つ感覚がリアル!

 
まず機材だが、使用するVRゴーグルはOculus Riftで、ユーザーは独自に開発したというバックパック型PCを背負ってプレーする。ゴーグルから出ているケーブルは背中のPCに刺さっているので、歩き回ってひっかかるということはない。

 
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プレイヤーの位置トラッキングには、OptiTrackを利用。プレイエリアは最大5×7mで、対角線で5mというHTC VIVEのトラッキング範囲以上のサービス面積を実現している。GDCでは、ブースの上部から四角いプレイエリアを囲むように14個のセンサーを設置していた。

 
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マーカー付きリストバンドを装着することで、プレイヤーの手がバーチャル世界に出現。指の動きまで取れるわけではないが、それでも手が見えるだけであちらの世界にいる感覚は非常に高まる。

 
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銃型コントローラーにもマーカーが付いている。

 
そんなわけでグローブをはめてPCを背負い、VRゴーグルをつけてから銃型コントローラーを持って所定の位置に立ったら準備OK。最初は荒廃した建物の中に自分と仲間の兵士がいて、何やら通信している声が聞こえてくる。……と思いきや、いきなりクリーチャーが現れて味方を瞬殺! やばい! 応戦しなきゃ! と銃を向けて必死に撃ちまくる。

 
この銃で敵を撃って倒していくという行為が、本ゲームの楽しさの一つだ。

 
VRコンテンツでは、リアルとバーチャルの姿勢を合わせることでより没入感を高められる。要するに銃を撃つなら、それと同じサイズのものを持つことでよりリアルに感じられるわけだが、残念ながら今のところ家庭用では銃型コントローラーは登場していない。ピストル程度なら棒状のモーションコントローラーでも近い感覚を再現できるものの、両手でかかえるマシンガンは重さも含めて難しい。

 
一方で今回のデモでは、まさにドンピシャなサイズのものを小脇に抱えて遊べるわけだ。しかも人差し指でトリガーを引くとコントローラーが振動する仕組みなので、撃っている感覚が非常に強い。サバイバルゲームよりもお手軽に、かつ異世界の中で敵を倒していくという面白さを実感できる。

 
自分の体でかなり動けるというのも楽しさの一つになる。ステージ構成も凝っていて、途中、エレベーターに乗って上のフロアに上がったり、最後で仲間のところに合流するために細い橋を渡ったりと飽きさせない。1プレー終わった後には汗をかいてしまうほどの運動量だった。

 
そしてクリーチャーの怖さだ。建物内を進んでいくと、次々とクリーチャーが現れていくわけだが、テレビやPCの画面とは異なり、自分のパーソナルスペースを犯して近くに寄ってこられると驚いて、思わず避けたり、しゃがんだり、銃を乱射したりとさまざまなリアクションを取ってしまう。そもそもどこから現れるかわからないのも恐怖を煽るので、先に進むのもかなり慎重になってしまう。

 
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めちゃめちゃ楽しかったです。

 
 

中身のアップグレードでまったく新しいコンテンツに

 
運営的には、複数人が同時にプレーできるというのも大きい。同社のVRビジネスストラテジーVP、崔正煥氏にお話を聞いたところ、、正式版のサービスは12〜15分ぐらいで、プレイヤーを1人ずつ5分おきに投入することで、同じフィールドに2、3人が同時に存在できるようになるとのこと。ロケーションVRでよく指摘される回転率の低さを少しでも改善できる。

 
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筆者が立っているところがスタートラインで、その後ろにある白いバーがラストの橋になる。ワンプレーでちょうど一周するようにステージデザインされているのがうまい。

 
マルチプレーも視野に入れていて、今のバージョンはシングルプレーだが、今年の第3四半期には複数人でのプレーが可能になるとのこと。さらに来年の第1四半期には、他の場所にいるユーザーとのネットワーク対戦にも対応予定だ。まさにアニメやマンガで描かれるMMORPGのように、ゲームセンターに遊びに行ってみんなで冒険といった未来が実現しそうだ。

 
崔氏によれば、韓国でもVRが個人に普及するには時間がかかりそうで、そのきっかけをつくるためにロケーションVRに取り組んでいるという。すでにこのMortal Blitz for Walking Attractionを含む14種類のコンテンツを用意しており、一度VR Squareを設置しておけば、中身をアップグレードするだけで新しい体験を提供可能だ。

 
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崔氏。VR Squareはすでに数社とビジネス展開の話をしているとのこと。日本でのサービスインも期待しております!

 
OptiTrack
なおOptiTrack自体も、自身のブースを構えてロケーションVR向けとして使えそうな銃型コントローラーのVRデモを展示していた。

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
SKonec
GDC 2017

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