一体型VRゴーグルに流行の兆し GAMEFACELABSとIDEALENSのデモを体験【GDC2016】
米国サンフランシスコにて開催しているゲーム開発者の祭典「GDC 2016」では、現地時間3月16日よりExpo(展示)が始まった。メインとなるサウスホールでは、入り口からOculus VRとソニー・コンピュータエンタテインメントが肩を並べ、その周囲をUnity、Epic Games、Crytek、NVIDIAなどが固め、さらにVR/AR関連企業のブースを会場のあちこちで見かけるといったように、まさに「VR/ARづくし」な状態だった。
印象的な展示も多かったので、数回に分けて取り上げて紹介していこう。本稿では一体型のVRゴーグルがテーマだ。既存のVRゴーグルといえば、下図の製品が有力であることは言うまでもない。
共通しているのは、PCやスマートフォンなどとの併用が前提ということ。一方、今回のGDCでは、ゴーグルだけでVR体験を実現したものも見られた。
一体型VRゴーグルといえば、3月14日にAMDのイベントでカナダのSulon Technologiesが急遽発表した「Sulon Q」が話題になったが、会場にあったのはモックアップのみで体験できなかったのが残念だ(ニュース記事)。
GAMEFACELABS
ひとつめはGAMEFACELABが展示していた、Android 5.X系をカスタマイズしたOSを搭載する製品。発売時期は2017年1月頃、価格は700〜900ドルの範囲をそれぞれ予定しているとのこと。
外観。プロトタイプのため、ジェスチャーコントローラーの「Leap Motion」が取り付けられている。
背面。ダイヤルを片手で回すだけで装着位置の調整ができるようになっている。
実際に体験したところ、Oculus RiftやPlayStation VRに比べて若干の遅延を感じたが、HMDとしてはきちんと動作していた。本体が400g近くということもあって、少し重かったのも気になった。説明員によると、このデモはあくまでプロトタイプで、より高性能なCPU/GPUを搭載したものを開発中とのこと。製品版の仕様は以下の予定。
画面:5.7インチ(75Hz駆動、解像度2560×1440ドット)
視野角:140度
プロセッサー:NVIDIA Tegra SoC
メモリー:4GB mobile DDR4 RAM
ストレージ:SSDフラッシュストレージ
センサ:9軸センサ、Valveのlighthouse対応、広角ステレオカメラ、Wi-Fi(IEEE 802.11ac)、Bluetooth4.0
入出力:HDMI、マイクロUSB、3.5mmオーディオ入力
HDMIについて、単体で使う場合は不要だが、PCなどの映像をHMDに表示する用途向けに搭載されているようだ。
当日のデモでは見かけなかったが、指輪型のコントローラも開発予定。
IDEALENS
2つめはIDEALENSのデモで、こちらもAndroidを搭載している。説明員によると単体での動作に加えて、磁気センサーによる位置トラッキングも特徴だという。
青で囲った部分がトラッキング用の磁気センサー取り付け位置。写真左側が正面だ。
磁気センサーの受光部は、こちらも青で囲った後頭部のバンド付近にある。
早速、かぶってみたところ、文字やボタンなどの簡単な画面に加えて、左側にfpsのカウンターも表示されていた。筆者の体験では、少し首を動かすとフレームレートが40fps程度まで下がることがあったので、今後の開発に期待したい。
磁気センサーについては、現在安定して位置トラッキングが取れるという理由で3つ使用しているが、製品版では1つで済むようにする予定とのことだった。また、磁気センサーを追加で増やすことで、より広い範囲のトラッキングを可能にする、という構想があるようだ。こちらも今回のデモはプロトタイプで、製品版では下記のスペックを予定している。
画面:5.98インチ(60Hz駆動、解像度は2560×1440ドット)
視野角:120度
メモリー:3GB
センサ:9軸センサ、Wi-fi Bluetooth4.0
入出力:マイクロUSB、3.5mmオーディオ入力、microSDカードスロット
一体型は別の記事でも紹介した、Jesse Schell氏の予言「ポータブル化」の一歩になりうる可能性があると思われるのでぜひ継続してチェックしていきたい。
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