バーチャルキャラを人間と勘違いしてしまう SCE吉田氏・バンナム原田氏が語る「サマーレッスン」
29、30日の2日間で開催しているVRヘッドマウントディスプレー「Project Morpheus」の体験会。現地の様子を360度でお届けしたこちらの記事に続いて、SCEワールドワイド・スタジオのプレジデントでMorpheus開発チームの吉田修平氏、バンダイナムコゲームスで「鉄拳」や「サマーレッスン」のプロデューサーをつとめる原田勝弘氏のインタビューをお届けしよう。
体験者と気さくに意見交流する原田氏(左)と吉田氏(右)
── 「サマーレッスン」の初体験会、おめでとうございます!
吉田 やってよかったです。東京ゲームショウでは、あまりに前評判が高くて1、2台のデモ機で出してしまうと収拾がつかないなと思って、こうして別の機会をつくりました。
── サマーレッスンは来場者から「女の子がすごく近くてドキドキした」という話をよく聞きます。
原田 パーソナルスペース(他人に近づかれると警戒する空間)に入り込まれると緊張感がありますよね。キャラクターの女の子にも感情があって、体験者が近づきすぎるとちゃんと避けます。
── 回避してくれるんですね。
原田 でもみなさん初回は緊張して固まってしまうんですよね。今回、時間内なら何度でも体験できましたが、2回目になるとちょっと大胆になる方もいました。そこでしつこく嫌がらせをしていると、怒ってあることをされてデモが終わってしまう。みんな最後まで見られていたということは、バーチャルキャラクターを脳が人間と勘違いして、常識の範囲で接していたということです。
── 面白い話です。
原田 それは狙い通りで、みんな予告映像を見てる分には普通のゲームととらえてるんですが、体験してみると緊張した、じっとしてしまったという方が多い。
── ユーザーの話を聞いていると、事前の話題性だけでなく、デモのつくりこみもスゴいというのが伝わってきました。
原田 サマーレッスンは、もともとはゲーム業界とメディアが興味を持って、VRが盛り上がってくれればと思ってつくったものだったんですが、一般の方も反応してくれたのが予想外でうれしかったです。ここに来て実際に遊んでくれた人たちが、口コミでよさを広めていってくれると信じています。
今、一番いいのは、お客さんが「あれ面白いですよ」といってくれること。みんながスゴいと騒いでくれれば、VRHMDの発売時にもっと盛り上がっているはず。こういう体験会をぜひ何度も開いてほしい。
── 具体的に次の体験会はあったりするんでしょうか?
吉田 決まってませんが、また機会をみて開催して、一人でも体験した方を増やしていきたいです。
── 女性向けの男性キャラクターとかも求められそうですが。
原田 一番最初にVR空間に登場させたのは「鉄拳」の一八だったんですよ。でも男女共に、体験者の全員にウケが悪かった。もっとソフトなイケメンをつくればよかった。
── (笑)。しかしサマーレッスンは、VRの技術デモだけで終わらせるのはもったいないです。
原田 今後も単に会話ができるだけでなく、生徒を育成したりとか、いろいろなキャラクターを出したりとか発展させていきたいです。もちろんこれはこれでやったうえで、別のVRゲームもつくってますよ。
── かつてPS2が安価で高性能なDVDプレーヤー、PS3がBDプレーヤーとして、ゲームをあまりやらない一般の人も買っていたということがありましたが、MorpheusもPS4における普及の原動力になる可能性もありますね。
吉田 アーティストのライブを見たり、旅行に行った気分になれるという、家族全員で楽しめる実写映像も出てくるかもしれません。ゲームだけでなく、そうしたコンテンツも合わせてつくっていきます。