にじさんじ・MECHATU-A、初のワンマン「Over Drive!」ライブレポート 8人の“ヒーロー”が見せた覚悟とエンタメ

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MECHATU-A 1st LIVE “Over Drive!”

にじさんじに所属するVTuberグループ・MECHATU-Aが、2026年10月10日にファーストワンマンライブ「Over Drive!」を開催した(配信チケット)。

話題を呼ぶライブアリーナ・Kアリーナ横浜で初公演を開催するというスケール感の大きさに加え、7月22日にリリースされたファーストミニアルバム「On-Deck!」は、Billboard JAPAN週間アルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”で初週売上32.6万枚を記録して首位を獲得。音楽メディアでも注目を集めていた。

10~20代の女性を中心に大いに支持を集めるMECHATU-A。ファーストライブの晴れ舞台で8人揃う姿をひと目見ようと、多くの観客が集まった。ここまでの努力も、初々しさも、覚悟も、全身で発してくれたメンバーの勇姿をレポートする。


爆発音とともに開幕、ヒーローショー仕立ての序盤

「いくぞおおおおお!!」

舞台裏で円陣を組んで気合を入れたであろうメンバーの声が聞こえ、黄色い歓声がワッと湧き上がったKアリーナ横浜。18時ちょうどに会場内が暗転すると、オープニングムービーがスタートした。

都心上空から捉えた映像に続き、メンバー1人1人の横姿・後ろ姿を捉えたカットが流れる。やがてメンバーが集まり、Kアリーナ横浜の前にズラリと並ぶ。そこで見つけた爆発物を宇佐美が思いっきり空へ投げると、「3、2、1」のカウントダウンにあわせて爆発! 同時に会場のステージでも「バァン!」と大きな破裂音が響き、MECHATU-Aのファーストライブ「Over Drive!」が幕を開けたのだった。

会場内のどよめきが収まらないなか、注目の1曲目に選ばれたのは「The Hearties」。ステージ左手にOriens、右手にDyticaが並び、バンドアンサンブルがアップテンポに8人を盛り立てていく。各メンバーがソロパートを歌うたび、左右のスクリーンに映し出されるたび、あるいは歌と歌の合間に観客へ何か言おうとするたびに、会場から歓声が起こる。1曲目から観客の興奮と高揚感が一気にトップギアに入った。

2曲目の開始が少し遅れているな、と感じていると、暗いステージ上に何かしらの動きを見つけた観客から驚きの声が広がる。パッと照明がつくと、赤城ウェンと伊波ライの「大好きだよ」という一言とともに「フェイクプリンス × リアルプリンセス」がスタートしたのだ。

思いもしない選曲に黄色い歓声がドッと起こった上に、赤城と伊波がステージ上空から椅子型のゴンドラに乗って降りてくる。赤城はピンクの花を、伊波は黄緑色の花をそれぞれ持って甘い歌声で歌っていく姿にウットリしていると、サビではシンセサウンドが響き、7色のミラーボールがきらめいて、その中で2人は男の本音を愉快に歌っていった。

女性の心を溶かすような甘いポップス感、サビではクラブサウンドに乗せて、プリンスであるはずの男側のちょっとだらしない本音が交互に歌われていくというコミカルな1曲に、観客はコールを合わせながら笑顔でついていった。

ここでMCタイムに入ったかと思いきや、MECHATU-Aの敵役であるKOZAKA-Cが登場。

「ハーハッハッハ! あいつら! 爆弾を処理して完全に油断したな!」
「今の2曲のあいだに、大量の手下たちを放った! 客席にいるお前らのそばにも、スパイとして潜入しているぞ」
「ここからのステージは! 俺達のステージだぁ!」

なんとも可愛らしい声で威張るKOZAKA-C。ステージに集まった8人に「お前らが捨てたあの爆弾には変身できないデバフがかかっている!」と言い残し、ステージから退散していった。

確かに変身ができない……と気づいて困っていると、「このマイク改造したんだよね!」「さっそくあいつを見つけて倒しちゃおう!」と伊波が提案。MECHATU-A初の歌ってみた楽曲でもある「パーペキヒーロー」がスタートした。

8人それぞれが持つマイクが伊波の言葉どおり、クナイ、刀、ハンマー、大剣、細剣などの武器へ変形。ステージ左右から登場したKOZAKA-Cを相手に殺陣と歌唱を披露、楽曲後半ではステージ中央の大スクリーンに現れたKOZAKA-Cを力を合わせて撃退! バーチャルタレントによるバーチャルステージのヒーローショーを“パーペキ”に見せつけたのだった。


ソロ・ペアで魅せる、8人8色のパフォーマンス

「MECHATU-A 1st LIVE “Over Drive!”始まりましたー!」と明るく伊波が切り出し、8人のメンバーが自己紹介。「コール&レスポンスまだまだいっぱいあるけど、みなさん声出す準備できてますか!?」と聞くと、会場から大きな返事が返ってくる。会場の階層ごとにコール&レスポンスを交わし、次の楽曲へと移っていった。

最初に歌うのは佐伯イッテツ。佐伯といえば、にじさんじ 8th Anniversary LIVE「CONCERTO」に出演した際、セガサターン用ソフト「バーニングレンジャー」の主題歌「Burning Hearts ~炎のANGEL~」を歌っていた。

この日はどんな曲を歌うのかと思いきや、「このKアリーナにも希望を残すために、今日のために特訓してきました」とMCして前かがみに構える。すると勇ましいコーラスとともに、センターの大型モニターに「ストリートファイター6」に登場するアレックスの姿が。なんとアレックスのキャラクターソング「GO!ALEX!~希望誕生~」を歌いはじめたのだった。

続けてセンターの大型モニターには、格闘ゲームよろしく横スクロールで戦う佐伯と黒子の姿。原曲のJAM Projectさながらに太く伸びやかな歌声で歌っていく佐伯、サビに入ると炎柱がバンバン飛び出し、会場を大いに熱くしていく。

MECHATU-Aには「ストリートファイター6」をよくプレイするメンバーが多いため、この日集まった観客にも、同作品・同キャラクターになじみのあるファンは多いだろう。観客からブーイングを浴びてもプロレスラーとして活躍する不屈のファイターであるアレックスと、自分たちが“ヒーロー”であることを重ねた、見事な選曲・歌唱であった。

ちなみに、歌唱の途中で佐伯が「どうした!?声が小さいぞおまえらぁ!」と煽っていたが、これはゲーム中にアレックスがパーフェクト勝利した際の掛け声である。まさに原作リスペクトといったところだ。

会場をアッツアツにしたあとに登場したのは、宇佐美リトによる「逆光 -replica-」だ。VaundyがAdoに提供した「逆光」のセルフカバー版となる。高音域を伸びやかに歌い上げる姿には、ミュージカル曲を歌い慣れている宇佐美らしさが感じられた。

続いては小柳ロウによる「ヨフケノパレエド」のカバーだ。数人のダンサーがステージ上に現れて踊るなか、小柳は早口でラップを繰り出していく。

ヨーロッパのサーカスを思わせるステージでラップしながらステージ右手に移動すると、そのままエレベーターに乗って上のステージへ。低い声色からひっくり返すようなエッジボイスを混ぜ、トゲのある声でラップしていく姿に、驚いた観客もいたのではないだろうか。約3分のソロパフォーマンスはあっという間、強いインパクトを残した。

そんなラップ曲のカバーを受けて、MECHATU-Aのラップ曲ともいえる「捌 -HACHI-」を緋八マナ、星導ショウ、小柳の3人で披露した。4つ打ちのキックとスパニッシュなリフが合わさったクールなトラックに、3人のスムースなラップは相性抜群。キーも声質もそれぞれ異なり、柔らかめ、ハイトーン、低めと三者三様に披露されるとそれぞれの個性がさらに引き立つ。

サビ部分のリリックがステージ左右に表示されると、観客が一斉に声を上げる。原曲のクールな質感にライブ特有の熱さが混ざり、この日この瞬間だけの特別な音楽が生まれたのだった。

クールなラップでファンをメロメロにしていたところから、バトンは伊波ライへ。歌うのはOfficial髭男dismの「ノーダウト」だ。ファルセットを混ぜながら、ハイトーンなボーカルを気持ちよく響かせていった。

途中の歌詞の一節を「ラーラライ!」とコーラスさせると、それは伊波の「ライ」にかけた大合唱へと様変わり。もはや爽快感すら感じさせてくれる歌いっぷりに、約2万人の観客も聞き惚れたのだった。


OriensとDytica、ユニット曲から“あの頃の曲”まで

ベースとストリングスによるイントロから始まった「月下美人」は、星導、小柳、伊波、叢雲カゲツのDyticaによるパフォーマンスとなった。ダンスする4人の指先から光がキラキラときらめき、グルーヴィなシンセポップに4人の歌声が浮かぶ。なんともメロウ(Mellow)なムードへといざなってくれた。

Dyticaのユニットパフォーマンスの次は、もちろんOriensの番。赤城、宇佐美、佐伯、緋八が「Promised Future」を歌唱した。アップテンポなバンドサウンドに、センタースクリーンには晴れやかな青空と雲、ステージにダンサー陣が集まって高揚感を高めてくれる。

空を雨雲が覆っても、それを振り払うように4人が傘を持ち出し、一気に晴れやかな空を取り戻す。心が弾むような明るい未来へ、ブライトな輝きを放ち、ライブ中盤を煌々と照らしたのだった。

OriensとDyticaがオリジナル曲を4人揃ってパフォーマンスするのは初めて。8人が揃って話す姿は、どことなく初々しさや無邪気さが漂う。

MCを明るく続けながら、次の曲は佐伯と叢雲が担当するということでマイクがパスされる。「最高のパーク、開きたくなーい!?」と会場を煽る佐伯と叢雲、そのまま「ようこそジャパリパークへ」を歌唱した。かつてニコニコ動画を中心に大きく流行したTVアニメ「けものフレンズ」の主題歌で、どうぶつビスケッツ×PPPによる楽曲だ。

TVアニメ「けものフレンズ」といえば、たつき監督らが手がけたキャラクターデザインが印象的だ。3DCG、もっといえばMMD(MikuMikuDance:3Dキャラクターモデルを動かしてアニメーションを作成できる無料の3DCGソフト)の質感にも似た独特のタッチは、すぐに大きな話題を呼んだ。

このアニメが放送されたのが2017年1月。その少し後にVTuberの流行が起こるわけだが、3DCGビジュアルがアンダーグラウンドでヒットしはじめる直前の“あの頃の曲”を、佐伯と叢雲が明るく踊りながら歌っていく様に、筆者は感慨深い気持ちになった。

続いて緋八による「かいしんのいちげき!」では、ストリングスや鍵盤が弾けるようにリードしていくポップなサウンドに、緋八らしい爽やかさと優しさが詰まった歌声が乗り、Kアリーナ横浜に広がっていく。宇佐美と星導は、PEOPLE 1の「113号室」を太い歌声で歌っていく。挟まるロングトーンにも聞き惚れ、アンニュイなムードに酔いしれた観客も多かっただろう。

星導は続けてKing Gnuの「It’s a small world」をソロで歌う。先ほどは上着とスカートを脱いでいたが、一度舞台袖へ移動してしっかり着替えてきたようだ。アタック感の強いビートに乗せて、うっとりするほど艶っぽい声で熱唱し、「いいね。最高」と一言告げて楽曲中盤を再び口ずさんでいく。紫のペンライトがゆったりと揺れるKアリーナ横浜は、星導のボーカルに魅了されたのだった。


筋トレソングで銀河の彼方へ……そしてラストスパート

ここで赤城ウェンが「みんなまだまだいけるんじゃないの!? こっからは気分ドンドン上昇していこう!」とMCをしながら登場し、「気分上々↑↑」でKアリーナ横浜を盛り上げる。

つづけて歌われた宇佐美、佐伯、叢雲による「NEW MUSCLE ORDER」は、宇佐美リトがジムトレーナーかつ、実際にジムで汗をかくトレーニーとして活動していることを受けた“筋トレソング”である。

彼に影響され、佐伯や叢雲も筋トレに励んでいたことを明かしており、アルバムでは「NEW MUSCLE ORDER」をこの3人が歌っている。歌詞はもちろん筋トレについて、加えてこの日のダンスも筋トレの体の動かし方を意識した振り付けになっていた。

楽曲の途中でいったんステージからはけて、背中にジェットパックを背負って再びステージへ。すると背中のジェットパックが駆動し、3人ともステージ上空へ飛び立ち、銀河の彼方へ。最終的にはジェットパックが爆発して、3人とも散り散りに吹き飛んでしまうというまさかの展開とオチで会場を笑わせていた。

息も絶え絶えの状態で3人がステージに戻り、ここまでのライブを振り返るMCからいよいよライブのラストスパートへ。

赤城と小柳による「main dishが足りてない」がスタートすると、洋館の中に料理のフルコースが並び、2人は椅子に座ってこちらに向かって歌っていく。ハイトーンな歌声の赤城とロートーンな歌声の小柳、好対照な2人が、Kアリーナ横浜の観客を釘付けにする。

叢雲がソロでカバーした「ステラ」では、前のめりに突き進むバンドサウンドに鍵盤の音色が絡みつき、そこに叢雲の朴訥とした歌声がハマる。振り切れない恐れを抱えながらも、勇気を持ってスタートを切る。その決意を刻んだ楽曲は、叢雲にぴったりだ。

緋八と伊波による「ユニバース」では、イントロから爽快感が一気に突き抜けていく。

月も地球も太陽も奪い取って 手のひらで廻して歌おう
他人は他人で君は君だから 違うとこがあるのが当然なんだ
だからこの先にある未来は 当然君だけのものさ

違いを認め合い、君だけの未来を肯定するメッセージを、問答無用の肯定感とともに授けていく一曲。緋八と伊波の2人の手によって、よりクリアで無垢なイメージを伴ってこの日披露されたのだった。


アンコールはリアルヒーローと共演 「2ndはもっと大きなところで」

そして8人が揃って円陣を組み、気合を入れ直して歌う曲は「PEACE MARK」だ。

あっという間に過ぎたね 魔法みたいだった時間
きっと目の前の全部が 宝物になるから
めくるめく思い出を 君と描いたHighlight
楽しいとか涙も 色褪せないMemory

今日のライブを振り返るようにも解釈できる出だしの歌詞は、MECHATU-Aと初めて出会ったときから今日この日までを一手に振り返らせようとするかのようなメッセージ。本編の最後を飾るにふさわしいフィナーレ曲だ。

アンコールでは、先ほど倒されたはずのKOZAKA-CやOKOGAMA-C(おこがましー)が観客席に登場。ふたたびライブを混乱させようと企むが、今度はリアルヒーローが姿を現し、OKOGAMA-Cたちと争うことに。

アンコールの声に応えて登場したMECHATU-Aは、「MECHA-MECHA」を披露した。「にじさんじフェス2025」で初披露され、にじフェスのヒーローショーでも人気だった楽曲だ。

リアルヒーローたちとMECHATU-Aが同じ会場・ステージで共演するとあって、会場内の興奮はこの日一番。観客はもちろん「Say A!!!!」と大合唱し、一体感マックスで大敵を成敗したのだった。

MCでは、それぞれが今の心境とこれからを見据えた言葉を語った。

「8人で大舞台に立つのが、配信活動において1つの夢でした」
「これを最後にせず、今後もMECHATU-Aで一緒にやっていけたらいいなと思いました」
「2ndはもっと大きなところでやりたい」

最後は「にじさんじフェス2022」のイメージソングでもある「Hurrah!!」で締めたMECHATU-A。聴くひとそれぞれが送っている生活を“生きる”ための、ある種のポジティビティや高揚感、楽しさ(Joy)に満ちたパフォーマンスをMECHATU-Aは一貫して見せてくれた。

見せ方の違いはあれど、「どんな形で楽しませるか」という部分にフォーカスし、癒し、笑顔にすることに力点を置いたライブへと仕上がった。彼らが次に向かう舞台がどこになるのか、いまから楽しみである。

●セットリスト
1. The Hearties
2. フェイクプリンス × リアルプリンセス
3. パーペキヒーロー
4. GO!ALEX!~希望誕生~
5. 逆光 -replica-
6. ヨフケノパレエド
7. 捌 -HACHI-
8.ノーダウト
9. 月下美人
10. Promised Future
11. ようこそジャパリパークへ
12. かいしんのいちげき!
13. 113号室
14. It’s a small world
15. 気分上々↑↑
16. NEW MUSCLE ORDER
17. main dishが足りてない
18. ステラ
19. ユニバース
20. PEACE MARK
21. MECHA-MECHA
22. Hurrah!!

 (TEXT by 草野虹)

 
 
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