Cygamesは12月13〜15日、幕張メッセ国際展示場4〜8ホールにてスマホ向けファンタジーRPG「グランブルーファンタジー」をテーマにした大規模イベント「グラブルフェス2019」を開催中だ。
VR・VTuber専門メディアのPANORAで興味を持ったものといえば、もちろん「VR四騎士」。実際に体験してみたところVRアトラクションとしてとても質の高いものだったので、レポートをお届けしよう。なお、具体的にどんなセリフをいったかは言及していないが、大まかな流れはわかってしまうので、まっさらな気持ちで体験したいという方は、「事後」にチェックしてほしい。
「本当にそこにいる!」を実現する5つの仕掛け
VR四騎士は、グラブルの登場キャラクターであるランスロット、パーシヴァル、ジークフリート、ヴェインという四騎士とフェードラッヘ城の一室で会えるというコンテンツだ。過去に「グラブルフェス2017」「グラブルサマーフェス2018」「グラブルフェス2018」でも展示してきたものと基本的に同じだが、毎回地道にブラッシュアップしているとのこと。
筆者が体験してVRコンテンツとして「基本をきっちり押さえている!」と感激したのは感じたのは以下の5点だ。
●メイドさんが案内してくれるスムーズな導入
VRアトラクションにおいて重要なのが、ユーザーの気持ちをいかにVRの世界に入り込ませられるかという点。「VR共感力」というキーワードがあるように、人はVRゴーグルをかぶっていきなり異世界に連れていかれた際、自然と没入できる場合と、冷めて見てしまうケースに分かれてしまう。人間の気持ちはそう簡単に切り替えられず、特に体験時間が限られるアトラクションでは「自分は今、物語の世界にいるんだ」と心の準備ができてないまま体験が始まってしまうと、コンテンツを十分に堪能できないことも往往にしてある。
その点、VR四騎士では、ブースの大きな扉をあけるとリアルのメイドさんが迎え入れてくれて、さらにもう一つ扉をあけてVRを体験する執務室にまで導いてくれるという凝った導入を用意していた。ファンは待機列に並んで期待が高まり、いざ自分の番になったときに、グラブルの世界観をリアル空間に再現した演出で出迎えてくれるわけで、自然とVRの世界に心が入っていけるだろう。
●VR空間と部屋が一緒
案内された執務室とVRゴーグルをかぶったあとのバーチャル空間が一緒というのも「基本のキ」を押さえた素晴らしさだ。テーブルやその上に置かれたペン、本棚など、リアルとバーチャルの世界で同じ調度品を同じ位置に置いている。VR四騎士は座っての体験となるものの手を伸ばせばテーブルに触れるわけで、より目の前の空間が本物だと信じる魔法にかかるわけだ。
しかも幕張メッセは消灯してて真っ暗だったのだが、この体験ルームだけバーチャル空間と合わせて明るかったのも印象に残った。わずか数分の体験のために、ここまで丁寧にリアル側の空間をつくっているというのが素直に素晴らしい。
●目線が合う!
VRコンテンツにおいて、意外とおざなりにされがちなのがキャラクターの目線だ。リアルの人間同士では、話す際に目線を相手に合わせるわけだが、VRコンテンツの中にはプレイヤーとは別のところに目線が行ったままストーリーが進んでしまう……というものも正直ある。
VR四騎士では、その辺もきっちり押さえていて、プレイヤーがたとえ体を左右に動かしたとしても、きちんと瞳が動いてこっちを見ていてくれたことがわかった。「推し」がこちらを見つめてくれる……。これは「てぇてぇ」(尊い)ですぞ!
●本人の匂いがする!
さらに「てぇてぇ」のが、香りがするという点。筆者が体験したのはランスロットで、彼が扉を開けて入ってくると「いい匂い」が鼻腔をくすぐった。そう、実はグラブルではキャラクターのフレグランスを販売しており、VR体験中にその本人の香りを漂わせてくれるというニクい演出が入るのだ。これには心をギュッと掴まれて、もう本人がそこにいるとしか思えなかった。
●手紙までもらえる!
VR体験は、ランスロットがテーブルの上のペンで手紙をしたためて渡してくれるという演出で終わるのだが、ゴーグルを外すと先ほどバーチャル空間で見た手紙が目の前に! 体験の記念に持って帰れるうえ、あとから文章を読んで「ああ……、やっぱ本当にそこにいたんだ……」と浸れるのがとてもいい。
VRは単にコンテンツをつくってゴーグルをかぶせればいいわけではなく、きちんと体験者の心の動線を作ってあげる必要がある──というのをわかったうえできちんと作っていることを実感した。過去に東京ゲームショウで評判だった「刀剣乱舞VR」のような気合の入った作品だ。
唯一の欠点といえば、四騎士のみなさんがすぐに帰ってしまうこと。多分、会話がなくてもいいので、微笑んでたりする姿をずっと見ていたいというファンも多かったのではないだろうか(そう思いません?)。前述したように、少しずつ体験をブラッシュアップしているとのことなので、過去にかぶったという方もぜひ機会があったら体験してみるべし。
(TEXT by Minoru Hirota)
●関連リンク
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