ホロライブ・星街すいせい2ndソロライブ徹底レポート 奇跡的なタイミングでの声出し解禁、そして「いっぱい歓声、嬉しかったよ」 

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美しく力強い歌声などで、VTuberというジャンルの枠も越えて幅広い人々に支持されている人気VTuberグループ「ホロライブ」星街すいせいさん。人気ミュージシャンによる一発撮りのパフォーマンスを配信するYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」にもVTuberとして初めて出演。1月20日に動画が公開された際の同時視聴者数は、同チャンネル史上最多の16万人を記録し、その注目度の高さを改めて証明した。

星街すいせい – Stellar Stellar / THE FIRST TAKE

その快挙も報道されて、ますます注目度が高まる中、1月28日(土)には東京ガーデンシアターで、1年3ヵ月ぶりのソロライブ「Hoshimachi Suisei 2nd Solo Live “Shout in Crisis”」(以下、「Shout in Crisis」)が開催。直前の1月25日にリリースされた2ndアルバム「Specter」の収録曲を中心に、人気ボカロ曲のカバーも含む全18曲を披露した。

ステージの模様は「SPWN」「ZAIKO」で全編有料配信(アーカイブは2023年02月28日23時59分まで視聴可能)。星街さんのYouTubeチャンネル「Suisei Channel」と、TikTokのホロライブプロダクション公式アカウントでは、冒頭の3曲と最初のMCまでが無料配信された。本記事では、オンライン視聴をもとにレポートしていく。


「Stellar Stellar」での開幕に、客席から歓喜の声

ライブ前日の1月27日、政府が新型コロナウイルス対策の指針である基本対処方針を改訂。ライブなどの大規模イベントでの観客の声出しに関する制限がなくなった。その決定を受けて、開演の約1時間半前に「Shout in Crisis」でもマスクを装着した上での声出しがOKと発表。ライブが開演し、「だって僕は星だから」という「Stellar Stellar」の出だしのフレーズが聴こえると、観客席からは拍手とともに大きな歓声が響いた。

「THE FIRST TAKE」でも歌唱曲に選ばれている「Stellar Stellar」は、力強く伸びやかな星街さんの歌声の魅力を詰め込んだようなスケールの大きな楽曲で、1stライブでは本編のラストを飾った代表曲。伸びやかなロングトーンを連発する歌唱難易度が高い曲のわりには、大きな手ぶりやステップなどのダンス要素も多めだ。レーザーや照明など派手な光の演出も、ステージ映えのする星街さんのパフォーマンスをさらに輝かせる。「Shout in Crisis」は始まったばかりだが、会場は早くもクライマックスのような熱気を帯びていることが画面越しにも伝わってきた。

最後のロングトーンを響かせながら、顔の横でキラキラと瞬かせた手の平を下げていく途中、星街さんと周囲の空間にノイズが走り、歌声とメロディにもプツプツとした音が混じる。すると、2ndアルバム収録曲「TEMPLATE」のイントロのギターが流れはじめ、1stライブで初披露されたステージ衣装姿だった星街さんは、私服衣装に一瞬でチェンジ。瞬時の早着替えはバーチャルタレントのステージでは定番の演出だが、演者の姿を隠すことなくシームレスに、しかも、ゆっくり動きながらの衣装チェンジには驚かされた。

「みんな、熱くなる準備できてますかー! いくぞ有明!」

衣装だけでなく、全身から放つオーラも一変させての熱い煽りに、観客も大きな歓声で応えるが、星街さんはステージを左右に移動しながら、「もっと!もっと!」とさらに要求。照明も炎のように会場を真っ赤に染める。ところが、会場が一気に熱くなったイントロからAパートに入るとテンポが一変。熱量は変わらないまま、ゆっくりと深みのあるボーカルが響く。緩急の変化も「TEMPLATE」という曲の魅力だが、生バンドと共に披露されたライブアレンジの「TEMPLATE」は、さらに変化の幅が大きく、星街さんの表現力の広さもさらに感じられる。

ジャジーなアレンジの2ndアルバム収録曲「TRUE GIRL SHOW」を披露した後の最初のMCで、急遽、声出しがOKになった喜びや、大きな会場で生バンドとともにライブができる喜びを満員の「星詠み」(星街さんのファンの愛称)と分かち合う星街さん。「TRUE GIRL SHOW」の曲中には、定番の挨拶が組み込まれており、すでに観客は一度、「今日も可愛いー」とコールしているのだが、ここで改めて挨拶。星街さんも数年ぶりのコールアンドレスポンス実現が本当に嬉しそうだ。コロナ禍以降の星街さんの人気上昇ぶりを考えれば、プラチナチケットを購入できた幸運な星詠みの中には、初めて会場で「今日も可愛いー」と叫んだ人も多かったのかもしれない。


シークレットゲスト・みきとP登場! 超人気ボカロ曲をカバー

「今日はいつものアイドルVTuber星街すいせいとは、ひと味違う私をお見せできればと思います」

期待感高まる一言の後、星街さんの楽曲の中でも特にロックな曲の一つ「灼熱にて純情(wii‐wii‐woo)」を熱唱。間奏も含めてライブでパフォーマンスするために作られたような楽曲で、楽しいMCで常温に少し近付いていた会場の空気もまた熱くなっているようだった。サビでは、リアルな炎の演出もあり、実際に温度も上がっていたことだろう。

続いて5曲目では、シークレットゲストのみきとPさんが登場。自身が作詞作曲を担当した星街さんのオリジナル曲「駆けろ」で、ギターとコーラスを披露した。MCでは、以前からみきとPさんのファンだったという星街さんが、初めて会ったときのエピソードを披露。「駆けろ」のレコーディングの際、「あの曲とかめっちゃ聴いてました」と自分が大好きな曲名を挙げたところ、古参と認定されたそうだ。

続いては、みきとPさんのボカロ曲「サリシノハラ」をカバー。星街さんの歌声は、ここまでの曲の中で最もエモーショナルに感じた。かつて、ボカロ好きの少女だった星街さんは、将来、大人気PのみきとPさんに自分のための曲を作ってもらい、ステージで一緒にパフォーマンスもするとは想像していなかっただろう。

ゲストパートの後は、2ndアルバム収録曲を4曲続けて披露。スタンドマイクでバラード調の「デビュタントボール」「褪せたハナミドリ」を優しく歌い上げた星街さんは、舞い上がる花びらに包まれながら、今日、二度目の早着替え。しかも、着ているのは、今までに見たことがないアンシンメトリーなパンツルック。間違いなく新衣装だ。

会場から驚きと喜びの声が上がる中、「みんな、まだまだ盛り上がれますよね」と、笑顔で問いかける星街さん。クラップに続いて歌うのはYOASOBIのコンポーザーとしても活動するAyaseさんが作詞・作編曲を担当した2ndアルバムのリード曲「みちづれ」。どこか懐かしい歌謡曲風にも感じるリズムとメロディに乗せて、艶のある歌声で、いつもの「明るく元気なすいちゃん」では語れないような複雑な思いのこもった言葉を歌う。

細かな抑揚の変化も多く、アルバムで聴いたときには、星街さんのボーカリストとしての才能を最大限引き出すために作られた曲なのかと想像したほどだったが、ライブでの初パフォーマンスを聴き、その印象はさらに強くなったかもしれない。ライブの1曲目から会場にいる星詠みたちのことを羨ましく感じていたのだが、「みちづれ」のパフォーマンスで、その思いは最高潮まで高まった。

続く「7days」は、VRゲーム「DYSCHRONIA: Chronos Alternate」のシリーズテーマソング。様々な姿の星街さんが登場する映像演出とともに謎めいた妖しさも感じるが、キャッチーで華やかなステージに会場の雰囲気もガラリと変わったようだった。


二人目のシークレットゲスト・堀江晶太も登場!

11曲目では、二人目のシークレットゲスト・堀江晶太さんがギターを引っ提げて登場。作詞作曲を担当した星街さんのオリジナル曲「バイバイレイニー」を星街さんと一緒に披露した。2ndアルバムの収録曲には、普段の配信活動では表に出していない悩みなど、ある意味ではネガティブな内面を深掘りした曲も多いが、堀江さんの生み出したお洒落で軽快なサウンドは、いつも明るい星街さんのパブリックなイメージにぴったり。「みちづれ」の前に披露された新衣装姿も、また違った雰囲気に見えてくるのが面白い。

人気ボカロPのkemuさんとしても活動している堀江さん。ボカロ曲が大好きだった星街さんは、kemuさんの曲にも大好きだった曲がたくさんあるらしく、このステージでは、「敗北の少年」をカバー。王道感のある楽曲を力強くも澄んだ低音で歌いきった。

バンドメンバーのプレイと紹介映像を挟んだ13曲目は、このライブ初披露となるオリジナル曲。歌うというよりも語りかけながら周りを鼓舞するような楽曲で、後のMCで明かされたタイトルは「先駆者」。「VTuber」を目新しく特別な存在ではなく、TVの歌番組やバラエティ番組にも当たり前に登場するような存在にしたいと語り、実際にその先頭を歩み、切り開いている星街さんにはぴったりの新曲だ。

続いて披露された2ndアルバム収録曲「放送室」も熱い思いを静かに語りかけてくるような低音が心地良い。MCでは、「先駆者」の紹介とともに、これまで語る機会が無かったという「放送室」に込めた思いを明していく。

「(普段の活動の中で)本当はエンターテイナーとして、みんなに笑顔だけを届けたいのに、うまくいかないことがあったりとかして。(歌詞の)『優しい言葉だけ君に届いてほしい』っていうのは、そういう私の気持ちを込めさせていただきました」

星街さんの言葉に静かに聞き入り、大きく優しい拍手を送った観客も「次の曲で最後になります」という言葉を聞くと、一斉に大きな声で「えー」とブーイング。残念そうな声が聞こえるのも、急遽、声出しOKになったからこそで、星街さんも嬉しそうだ。

最後の曲は、2ndアルバムでも最後に収録された「Newton」。常に走り続ける星街さんのライブのラストに相応しい疾走感あふれる曲で、低音から高音までさまざまな音域での歌声に魅了される。「愛してる」「大嫌い」「大好き」などのストレートで強い言葉の歌詞は、星街さんの曲では少し珍しい印象もあるが、最後のフレーズ「大好き」は手を振りながら絶叫。「みんな本当にありがとう!」というメッセージとともにライブ本編が終了した。


アンコールでは「吹っ切れました!」と満面の笑顔

星街さんとバンドメンバーが退場した後、声出しOKの会場には、当然、アンコールの声と拍手が響く。すると、都会の雑踏や夜景の映像がスクリーンに映し出された後、ステージの中央に星街さんが登場。アンコール最初の曲は「Damn Good Day」。「すごく良い1日」というタイトルの印象通りに、軽快で大人な雰囲気もあるシティポップで、星街さんの歌声は、どんなジャンルの歌にもぴったりということを改めて再確認させられた。

続いて、星街さんの代表曲の一つ「GHOST」のイントロが流れると、会場からは歓喜の歓声が聞こえてきた。17曲目でも、まったく衰えない星街さんのパワフルで圧倒的な歌声に、会場中の観客がさらに引き込まれていることがモニター越しにも伝わってくる。個人的に、生バンドの演奏と共に聴いてみたかった曲の筆頭だったので、嬉しいと同時に羨ましい。

アンコールに対するお礼を述べた後、2ndアルバムや、この「Shout in Crisis」には、VTuberとして活動する中での苦悩や葛藤を込めたと語った星街さん。「私は、強いとかって言われてるんですけど、全然、気にしいで。こんなにたくさん応援してくれる人がいるのに、ちょっとした言葉で傷ついたりとか。言いたいのに言えないことがたくさんあったりとかして、すごい辛い日とかもあって。最初は誰かに見つけて欲しいと思って始めてた活動なのに、こんなにたくさんの人に観てもらえているからこその悩みが増えていって……」と、アイドルVTuber星街すいせいの普段の配信では語らない思いも明かした。

しかし、「でも、今日、直接、応援してくれているみんなを、こんなにたくさんのみんなを見れて、なんだか吹っ切れました!」と満面の笑顔を会場に手を振ると、客席からは安堵の思いもこもったような歓喜の声が聞こえてくる。

「みんなたぶん、生活の中で私と同じように、それぞれ苦悩とか葛藤とかあると思うんですけど。そんな自分を乗り越えなくて良いので、受け入れて。今日のライブが終わって、最後、笑顔で帰ってもらえたら、いいなと思います」

熱く優しいメッセージを送った後、終演を寂しがる星詠みの声に応えて、さまざまな質問を問いかけるコールアンドレスポンスを実施。お気に入りの新衣装のデザインを担当したのは、VTuberのさえきやひろさんであることも明かし、配信で観ているファンがスクショを撮るために様々な決めポーズも披露した。

「Shout in Crisis」の最後を締めくくったのは、2ndアルバム収録曲「ソワレ」。「みんなで盛り上がれる、とっておきの曲」という紹介どおり、星街さんの華やかな歌声に引っ張られ、真っ青の会場もラストスパートとばかりにさらに盛り上がっていく。

最後、アウトロの演奏される中、手を振って跳びはねながら「いっぱい歓声、嬉しかったよ」などと感謝の思いを叫ぶ星街さん。その中の一言に「また明日も会いましょう」という言葉もあったのが、いかにも配信が日常のVTuberらしくて嬉しく、少しニヤリとしてしまった。

星街さんがステージを去った後、スクリーンでは様々な新情報が発表。2曲目の「THE FIRST TAKE」の動画が公開されることにも驚いたが、早くも3rdライブの開催決定が発表されたことには、さらに驚いた。

星街すいせい – みちづれ / THE FIRST TAKE

1stライブでは、VTuberとしてのそれまでの歩みを総括するようなステージを披露し、2ndライブでは、より内面的な部分も歌声に乗せて表現した星街さん。そのどちらも高水準のエンターテインメントとして完成されていただけに、可能性の幅がさらに広がることになりそうな3rdライブは、どのような「星街すいせい」が観られるのか、今から楽しみだ。

【セットリスト】
1 Stellar Stellar
2 TEMPLATE
3 TRUE GIRL SHOW
4 灼熱にて純情(wii-wii-woo)
5 駆けろ
6 サリシノハラ
7 デビュタントボール
8 褪せたハナミドリ
9 みちづれ
10 7days
11 バイバイレイニー
12 敗北の少年
13 先駆者
14 放送室
15 Newton
(アンコール)
16 Damn Good Day
17 GHOST
18 ソワレ

ライブ情報
Hoshimachi Suisei 2nd Solo Live “Shout in Crisis”
開催日時:2023年1月28日(土)

配信チケット/アーカイブ視聴
・SPWN:¥6,500(税込)
・ZAIKO:¥6,500(税込)

受付期間 & URL
※視聴チケットは 2023年2月28日(火)20:00まで購入可能。
※生配信直後からアーカイブ視聴可能となり、2023年2月28日(火)23:59まで何度でもご視聴いただけます。
※2023年2月28日(火)23:59を過ぎると、アーカイブ視聴中でも視聴できなくなります。
※本チケットの購入時には、別途サービス手数料として220円が発生いたします。

SPWNチケット購入URL :https://virtual.spwn.jp/events/23012801-jpsuisei2ndlive
ZAIKOチケット購入URL : https://hololive-production.zaiko.io/item/354121

特設サイト : https://suisei2ndlive.hololivepro.com/

●リリース情報
星街すいせい 2ndアルバム
『Specter』
発売中

■配信リンク
https://cover.lnk.to/Suisei2ndAlbum

■収録楽曲
01 灼熱にて純情(wii-wii-woo)
作詞・作曲:田淵智也 編曲:堀江晶太
02 TEMPLATE
作詞・作編曲:キタニタツヤ
03 みちづれ
作詞・作編曲:Ayase
04 褪せたハナミドリ
作詞・作編曲:宮田’レフティ’リョウ
05 TRUE GIRL SHOW
作詞・作編曲:ケンカイヨシ
06 放送室
作詞・作編曲:MI8k
07 デビュタントボール
作詞:星街すいせい 作編曲:にお
08 7days
作詞・作編曲:郡陽介
09 Damn Good Day
作詞・作編曲:ポリスピカデリー
10 ソワレ
作詞:ナナホシ管弦楽団 作曲:岩見 陸 編曲:ナナホシ管弦楽団
11 Newton
作詞・作編曲:じん

配信シングル
『先駆者』

作詞・作曲・編曲:山内総一郎
配信中

●配信リンク
https://cover.lnk.to/Pathfinder

Ⓒ 2016 COVER Corp.

(PHOTO by Takashi Konuma TEXT by Daisuke Marumoto

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