メタバースにおけるハラスメントのユーザー調査が無償公開 6割近くが経験、女性アバターで物理男性も被害に

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スイスの人類学者・ミラ(リュドミラ・ブレディキナ)さん、メタバース文化エバンジェリスト・バーチャル美少女ねむさんは8日、876件のユーザー調査を分析したレポート「メタバースでのハラスメント」を無償公開した。こちらのnote<の「レポートはこちら(PDF)」からダウンロードできる。

VRならではのハラスメントの種類、強度・経験率・物理世界とメタバース双方の生活に与える影響、法律やプラットフォームへのユーザー要望などの項目でまとめている。さらに、同じチームが実施した生活実態調査「ソーシャルVR国勢調査2021」と比べたユーザー動向の変化にも言及している。以下が一部のスライドだ。

結論として、レポートでは以下のようにまとめている。

●結論
メタバースでのハラスメントは存在し、半数のユーザーが経験している。VRの没入性により、ユーザーはハラスメントを「リアル」に感じている。性的ハラスメントが最も多い。女性型アバターにより物理男性も被害に会いやすくなるなど、メタバース特有の特徴も見られる。程度としては「軽い」「中程度」がほとんどだが、状況やユーザーの特性(セクシャリティ・マイノリティなど)によっては「極めて重大」なものにもなりうる。物理現実世界と同様、お互いに思いやりを持ち、相手の立場に立って考え行動することが何より大事である。法律やプラットフォーマーに対しては、多くのユーザーがメタバースの自由に制限が加えられることに大きな懸念を持っていた。一方で、より柔軟な安全コントロールやガイドライン・モデレーションの充実を求める声も多かった。


●概要
・目的:ソーシャルVRにおけるハラスメントの実態を調査するため
・対象:VRヘッドマウントディスプレイを用いて、ソーシャルVR(VRChat、Rec Room、Neos VRなど)を直近1年以内に5回以上使ったユーザーで、英語もしくは日本語の話者(デスクトップ・スマホからのみの利用者は対象外)
・方法:2022年9月5〜24日、Googleフォームによる公開アンケート
・募集:日英仏3カ国語でプレスリリースを発行し世界中のメディアに送付。各種メタバース関連団体の力を借りて拡散
・公式サポーター:NPO法人バーチャルライツ、PANORA、メタカル最前線、株式会社ブイノス
・回答数:876件
・レポート形式:pdf、日英バイリンガル、62ページ
・レポート公開ページ:
 日本語版 https://note.com/nemchan_nel/n/n60fd28b43b3a
 英語版 https://note.com/nemchan_nel/n/n06ae98801402

ミラさん、ねむさんによる研究ユニット「Nem x Mila」は、今回のレポートについての生放送を11月26日の22時より実施。視聴者からの質問もリアルタイムで受け付ける。

●ミラ(リュドミラ・ブレディキナ)

スイス・ジュネーブ大学修士号を取得。現在はフリーの人類学者。2022年に「バ美肉」「VTuber」に関する修士論文でジュネーブ大学のジェンダー分野の学術賞「プリ・ジャンル」を受賞。
・Twitter:https://twitter.com/BredikhinaL
*ミラ、「バ美肉」論文で学術賞「プリ・ジャンル」受賞 https://note.com/nemchan_nel/n/ne05416248557

●バーチャル美少女ねむ

日本のVTuberで、メタバース文化エバンジェリスト。HTC公式VIVEアンバサダー。2022年に解説書『メタバース進化論(技術評論社)』を出版。
・Twitter:https://twitter.com/nemchan_nel
*「メタバース進化論」”原住民”が贈るメタバース解説書の決定版 https://note.com/nemchan_nel/n/n464c528e9b7a

 
 
●関連リンク
プレスリリース
メタバースでのハラスメント(note)