メタバースコミュニティー「CLUSTARS」はPANORA連載コラボ企画として、12月9日15時30分~16時30分にcluster内で対談会イベントを開催しました。
前回はCLUSTARSそのものがテーマでしたが、第2回はCLUSTARS外部のコミュニティである「クリエイターズマンション」がテーマです。MCの由宇霧と記事執筆担当のsunは、クリエイターズマンション管理人のなび公をゲストに招き、イベント内でコミュニティ運営に関するトークを繰り広げました。
【目次】
Ⅰ.クリエイターズマンションとは?
Ⅱ.このコミュニティを作った理由
Ⅱ-ⅰ.初期のクリエイターズマンション
Ⅲ.「ご近所さん」として仲良くなる!
Ⅲ-ⅰ.コミュニティ活性化に繋がるイベント
Ⅲ-ⅱ.ワールドクラフトの共同編集でお祝いを贈る!
Ⅳ.マンション運営の難しさ
Ⅴ-ⅰ.クリエイターズマンションのロゴ
Ⅴ.今後の展望について
V-ⅰ.「住まう」を文化にしたい!
Ⅰ.クリエイターズマンションとは?
クリエイターズマンションは、クリエイターたちがお部屋を作るメタバース内の住宅。マンションのドアを開けると、ワールドクリエイターたちが制作したバーチャルルームに繋がります。
Metaverse CREATORS MANSION
新しくサーバーを立てれば自分だけのプライベートルームとしても利用できます。スマートフォン・タブレット、PC、VRなど、様々な端末から楽しめますので是非ご訪問ください。
クリエイターズマンションのコンセプトは「メタバース内でクリエイターが作った居住空間(生活風景)を映していく」です。現実世界のマンションと同様、cluster内にマンションをモデルにしたワールドとして存在しています。棟(マンションのワールド)は複数存在し、現時点では以下の通りです。
- クリエイターズ・マンション1号棟
- クリエイターズ・マンション2号棟
- クリエイターズ・マンション3号棟
- クリエイターズ・マンション4号棟
- クリエイターズ・マンション VTuber棟 No.1
- クリエイターズ・マンション VTuber棟 No.2
- クリエイターズ・マンション ワールドクラフト棟 No.1
- クリエイターズ・マンション ワールドクラフト棟 No.2
各個室の扉は、そこに「居住」するクリエイターが制作した部屋(ワールド)に繋がっています。マンションワールドの扉に接触することで、個室という別のワールドに転送されます。また、各個室の出入口の扉に接触すると、マンションワールドの各個室の扉の前に転送されます。
各ワールドを相互に接続することで、相対的な場所の意識が生まれます。これによって、居住者が出かける喜びや、帰る喜びを体験できる世界を創ることが、クリエイターズマンションの目的です。
各ワールドを相互に接続し、相対的な場所の意識を生み出すために、クリエイターズマンションは3層構造となっています。第一層が部屋(住人ワールド)、第二層がマンション(各棟のワールド)、第三層が街(マンション棟の集合)という構造です。
マンションを介した部屋と相互交流、例えるなら「同じマンションに住む人の部屋に遊びに行く」というのは、日常的な交流を体験できます。街を介したマンションの相互交流、例えば「VTuber棟とワールドクラフト棟で交流する」というのは、ちょっとした異文化交流とも言えるかも知れません。「同じマンションに住んでいる」という仲間意識が、コミュニティに対する帰属意識となります。住む場所があるからこそ、出かける喜び、帰る喜びを体験できます。
Ⅱ. このコミュニティを作った理由
結論から言うと、クリエイターズマンションは「こういうサービスがあって欲しい」というなび公の想いから生まれました。
今から数年前、なび公は初めてVRヘッドセット(Meta Quest)を購入して公式チュートリアルを体験した際、「これはやばい!」と感動しました。それより以前、100均で売られているようなVRゴーグルなどを使用した際、VRは大したことがないと感じましたが、本格的なVRヘッドセットを購入したことで、すっかり夢中になりました。
その後、バーチャルデスクトップを利用し、メタバース空間上にパソコンのデスクトップ画面を表示して、VRヘッドセットを装着しながら作業するようになりました。マンション、コワーキングスペースなどの「部屋」を模した、メタバースワールド内にて作業することを「素晴らしい体験」だと語りました。
そうしてメタバース上で作業をする内に、「部屋」のドアが気になるようになりました。「もしもあのドアの向こうに、マンションの通路のようなものがあって、他の部屋に行けたらすごい楽しそうだ」と。いずれは誰かが、メタバース上にマンションを作るだろうと考えていましたが、待ち続けてもなび公が望むものは現れませんでした。やがてなび公は、「自分でマンションを作ってみよう」と思い至りました。
Ⅱ-ⅰ.初期のクリエイターズマンション
なび公は最初、マンションホールから作りました。ライトベイク(ワールドの軽量化と共に陰影表現が可能になる)などが思うようにいきませんでしたが、それでもTwitter上で宣伝動画をツイートして、入居者を募集しました。
最初の入居者はkanonさんでした。なび公とはメタバースの理想についてよく語り合う間柄です。彼女が作成した部屋はクオリティが高く、クリエイターズマンションの知名度が上がりました。またkanonさんの知り合いが多く来場したことで、マンションへの入居者は次第に増えていきました。
現在kanonさんの部屋である「Second room」は、クリエイターズ・マンション1号棟403号室にあります。
Ⅲ.「ご近所さん」として仲良くなる!
本イベントのMC:由宇霧は、クリエイターズ・マンション VTuber 1号棟 501号室に住んでいます。その名の通り、VTuberたちが住むマンション棟(1棟16部屋)ですが、そのモデルルームとして作成されました。
「フレンド欄でログイン状況を見ると、日中・夕方・夜、それぞれの時間帯にクリエイターズマンションの棟や部屋に、誰かが居るようになっているのが面白い」と由宇霧は言いました。バーチャルデスクトップなどで作業、あるいは雑談、休憩など、様々な理由でVTuberがマンションに居ることから、「住んでいる感が出ている!」と感じられます。
kanonさんを始め、最初は部屋を非公開ワールド(自由に出入りできないワールド)として作成していたクリエイターたちも、少なくありませんでした。なび公さんも、最初は非公開でも構わないという運営方針でした。
しかし、誰かが遊びに来るというマンション特有のシチュエーションを面白く感じて、いざ完成したら一般公開ワールドに変更したという例もまた、少なくはありませんでした。こうした経緯もあり、住人同士の「近所付き合い」を促す形で、現在は部屋を全体公開することが入居条件であると、規約で明記されています。
Ⅲ-ⅰ.コミュニティ活性化に繋がるイベント
2023年10月13〜15日には「CREATORS MANSION 1周年記念パーティー」が開催されました。住人のみならず、参加者全員のコミュニケーションの活性化を目的とした、マンションならではのお祭りです。クリエイターズマンション初のイベントを開催するにあたって、1周年記念パーティーは節目として丁度良いものでした。
マンション棟によっては1階(エントランス)にDJブースやカフェテリアが設営されています。そこで住人たちが交流することができますが、本イベントではマンションの屋外(前述の三層構造で言うところの「街」)のワールドをイベント会場に、音楽ライブなどが催されました。
本イベントを主催したなび公さんは、「警備スタッフの必要性を認識するなど、イベント運営は大変だった」と振り返りつつ、同時に「とても楽しかった」と述べています。イベントの楽しさで住人たちが打ち解けたのか、本イベント終了後、住人たちのコミュニケーションが活発化しました。
「クリエイターズマンションに関連したイベントを、これからは定期的にやっていきたい」となび公さんは言いました。実際、2023年12月23日には「CREATORS MANSION X’mas Party 2023」が開催されるなど、クリエイターズマンションの住人たちが交流する機会は日々増加しています。
Ⅲ-ⅱ.ワールドクラフトの共同編集でお祝いを贈る!
比較的新しくできたクリエイターズ・マンション ワールドクラフト棟 No.1、No.2は、ワールドクラフトに詳しい人ふたばさんとヨーデルさんの二人が管理しています。ワールドクラフトとはcluster特有の機能で、実際にそのワールド内で床や壁、家具などといったアイテムを配置してワールドを作成ができます。(積み木やブロックを積むような感覚、と言えば分かりやすいでしょうか)そして、ワールドクラフト棟の「部屋」は、その名の通りワールドクラフトによって作成された「部屋」ばかりです。
少しワールドクラフトの機能について解説します。ワールドクラフトの編集作業は、そのワールドのオーナーのみならず、編集可能な権限を持つメンバーを追加することで、共同作業が可能です。また、ワールドを公開した後でも編集をすることが可能で、これにより「ワールド公開した後に椅子だけを追加した」などといった作業が容易になっています。
これらの特徴を利用して、新しい住人が部屋(ワールド)を公開すると、(共同作業などの都合で権限を付与された)その部屋の編集権限を持つ「ご近所さん」が、まるで開店祝いとして花輪を贈るように、お祝いアイテム(マンションロゴ入りのワインボトル)を設置したケースが過去にありました。
ワールドクラフトに使用できるアイテムは、(clusterのアクセサリーと同様に)自作・cluster内のストアで販売・購入することが可能です。アイテムクリエイターの中には、一般販売はしていない、自分専用の自作アイテムを持っている人もいます。その自作アイテムは、他オーナーだが自分も編集できるワールド、つまり他人の「部屋」に設置することも可能となっています。
結果的に、帰宅した住人が、部屋に置かれている見知らぬアイテムを見て、「このアイテムがあるということは、あの人が祝ってくれたんだ!」とすぐに理解できるようになっています。
Ⅳ.マンション運営の難しさ
なび公が運営でもっとも大変だったことは、クリエイターズマンションの規約作りでした。
初期のクリエイターズマンションは、(先述のようにTwitterで宣伝をした例もありますが)原則住人に紹介された人のみが新規入居者になれる、いわば「紹介制」のマンションでした。まだ規約がなかった時代、ある程度は不備を多めに見てくれるような、信頼できる人だけを入居対象者にしたかったのが理由です。それでも入居者が増えてくると、どうしても不備が目立つようになり、規約を作る必要に迫られました。
もしも部屋に入ったつもりが、都会の真っ只中のような「屋外」のワールドに転送されてしまったら、マンションらしさが失われます。そのようなワールドを許してしまえば、クリエイターズマンションではなくただのポータルワールドになってしまいます。それを防ぐために、「マンションらしさを損なう部屋を作ってはならない」という規約が作られました。
しかし、規約を詳細に書き過ぎると、クリエイターの創造性が損なわれてしまいます。その鬩ぎ合いを解決するために、なび公は慎重に規約の内容を決めました。
また、途中で規約を適用、変更する際も注意が必要です。古い規約と新しい規約の相違点によって、齟齬が生じる場合もあります。トラブルを防ぐために、規約の内容が変更される際には告知していますが、住人全員に認知してもらうのは難しいです。新しい規約の適用・更新までに時間がかかってしまうことも多いため、「規約をすぐに更新する」というのは難しい仕事の一つです。
Ⅴ-ⅰ.クリエイターズマンションのロゴ
クリエイターズマンション初期には無かったものとして、他にはロゴがあります。
当初は存在しなかったロゴが発表された際には、「どうして作ったの?」と感じた人もいました。ロゴを制作した理由についてなび公は、「自身が運営している『クリエイターズマンション』であると主張するため」と述べました。住人には、クリエイターズマンションに関する画像・イベントなどを公開する際、このロゴを掲載するようにお願いしていますが、必ず遵守すべき規約というわけではありません。
もしかしたら将来的に、なび公のクリエイターズマンションに着想を得たクリエイターが、その人ならではのクリエイターズマンションを作るかも知れません。なび公さんはこのクリエイターズマンションのコンセプトをメタバースに広めたいと考えています。とはいえ、ロゴが存在しない状態で第二のクリエイターズマンションが実現した際、なび公さんのクリエイターズマンションなのか、それとも他の人が作ったクリエイターズマンションなのか、言葉のみでは判別が難しくなってしまいます。
クリエイターズマンションとは、一般名詞の組み合わせです。誰もが使える言葉を、一個人・一団体だけが独占することは不可能です。代わりにロゴを制作することで、今後他のクリエイターズマンションが現れた際にも、「なび公が運営するクリエイターズマンション」と一目で分かるようにしました。「このロゴ制作を通して、どうして会社がロゴを作るのか、その理由が分かった」と、なび公は語りました。
Ⅴ.今後の展望について
なび公は今後の目標として、「何かのグループメンバーが住んでいるマンション棟を作りたい」と言いました。具体的には、ある一つのVTuberグループのメンバーだけが入居する棟などです。
元々繋がりが強いメンバーが入居すれば、共有スペースの利用率も増えます。この共有スペースは非常に便利で、CLUSTARSの他企画である『CLUSTARS学園』の教室や「CLUSTARS放送局」の収録場所としても利用されています。もしもパブリックワールド(誰でも入れる状態)で、住人が共有スペースを利用して会議や雑談などをするようになれば、他の棟の住人や一般客が訪れて、より交流は活発になるでしょう。
上記のなび公の発言を受け、MCの由宇霧は「CLUSTARSとのコラボ棟をやってみたい」と言いました。由宇霧は過去にnoteでクリエイターズマンションを紹介した他、「CLUSTARS TRY」や本記事におけるトークイベントなどは、なび公制作の「Navis Lobby/非公式ロビー」が会場になっているなど、CLUSTARSとの関係が深いです。CLUSTARSには小さなグループが多く、それらがコラボ・交流する場所としても、クリエイターズマンションに期待が寄せられました。
V-ⅰ.「住まう」を文化にしたい!
運営のなび公、住人の由宇霧、共に「他のVRプラットフォームにも進出したい」と語りました。
由宇霧はクリエイターズマンションの「ご近所さん」として仲良くなった人と共に、VRChatに出かけたことがあります。「自分たちの住居から、どこかにお出かけしたという感覚がとても楽しかった」と、由宇霧は述べました。クリエイターズマンションの三層構造における第三層、つまり街から外に行ったと言っても良いでしょう。
「いずれはclusterとは別のプラットフォームに、クリエイターズマンション:別荘を建てるのも良いかもしれない」と、なび公と由宇霧は夢を膨らませます。新たな第四層(街の外)を作ることで、大元であるclusterのマンションも広く知れ渡るようになるでしょう。
なび公は最終的な目標として、「『住まう』を文化にしたい」と語りました。「新たな文化が生まれる際の弾みの段階では、誰かのモノであってもよいが、文化は特定の人だけが占有するモノであってはならない」と述べたなび公は、このクリエイターズマンションのコンセプトがメタバースに広く浸透するのを願っています。
(TEXT by sun)
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