コミュニケーションの場の一つとして注目を集める米メタバースプラットフォーム「ROBLOX(ロブロックス)」を活用し、メタバースにおけるコンテンツ提供を開始しました。日本のクリエイター・制作会社と連携してコンテンツを制作し、そのコンテンツ体験を通じたデジタルアイテムの購入などメタバースならではの消費の創出を目指すほか、製品・ブランドなどを世界に向けて発信したい日本企業(主にリテイル分野)などのメタバースコンテンツをプロデュースします。なお、本件は社内起業制度「0→1チャレンジ2021(ゼロワンチャレンジ2021)」にて、新規ビジネスの優れたアイデアとして選出されたライセンスビジネス向けマッチングプラットフォームから派生した取り組みです。
メタバース・ROBLOXを通じた消費体験の創出
メタバースは、ユーザーが自身のアバターを通じて、全世界から同時に、国境や言語、物理的な制約を越えて同じ3次元の仮想空間を体験するという特徴を持ち、今後より多くの消費者がより長い時間滞在するプラットフォームとして期待されています。なかでもROBLOXは、ゲーム性というエンターテインメント体験が消費者を惹きつけ、Z世代を中心に全世界で日間7千万人以上のユーザーを抱える世界最大級のメタバースで、ユーザーはゲーム要素への課金や、メタバース上で身につけるアバターアイテムなどに対する消費を行っています。ROBLOXの調査では、Z世代の56%が「アバターのコーディネートのほうがリアルの世界で着飾るよりも重要」と回答したというデータも出ています。
また、企業はROBLOXのようなメタバースを活用し、自社ならではの魅力的な体験を提供することで、自社製品やブランドの認知拡大やエンゲージメント向上が可能となるため、プロモーションやマーケティング、ブランディングでのメタバースの活用に大きな期待が集まっています。
「Omochi Studio」の制作名でコンテンツをプロデュース
住友商事は、すでに日本のクリエイター・制作会社と連携してゲームを制作し、ROBLOX上で「Omochi Studio」という制作名を用いて複数のコンテンツを公開しています。2023年10月に個人クリエイターと連携して制作・公開したホラーゲーム「ペタペタサマ」は、日本発信ではトップクラスの4,500万回以上、月間600万人以上の世界のユーザーにプレイされています。スリルを生む独特の没入感とハイクオリティなグラフィックが人気を博しているもので、無料で遊べるコンテンツながら何度もその体験を求める有料ユーザーもおり、今後はこのホラー体験に紐づくデジタルアイテムの販売や、企業とのタイアップなども検討しています。
2024年3月には、キャラクタータレント事務所Simple Side Mascots(シンプルサイドマスコッツ)に所属するキャラクタータレントで、TikTokで670万人など、SNSで国内外から多くのフォロワーを集めている人気キャラクター「あさみみちゃん」を題材としたゲームコンテンツを制作・正式リリース予定で、日本のIP・ブランドを世界に発信していきます。
コンテンツ制作した「ペタペタサマ」
コンテンツ制作した「あさみみちゃん」を題材としたゲーム「あさみみレストランへようこそ!」
住友商事が取り組む意義
住友商事は、メタバースならではの体験が消費者の行動に変容を起こし、メタバース上で新しい消費行動や産業が起きると捉えています。「ペタペタサマ」のように消費者を惹きつけるコンテンツを通じて、より多くの消費者を集め、消費者に対してメタバースならではの購買体験や教育サービスなどの新しい体験を提供し、これまで取り組んできた食品流通・小売り事業などのリアルでの価値提供に加え、黎明期のメタバース・ROBLOX でも「Enriching lives and the world」を実現する新たな価値の創出を目指します。
【0→1チャレンジについて】
0→1チャレンジは2018年度にスタートした社内起業制度で、所属・職位・年次を問わず、全世界の住友商事グループ社員を対象に、現場社員の一人ひとりが考える新たな事業アイデアの実現を支援しています。今までにない新たな発想(ゼロ)から次世代のビジネス(ワン)を創造する、というコンセプトでスタートした制度です。
自分のアイデアを「どうしてもやりたい」という自発的な意志、情熱をもって取り組む挑戦者の姿や志は、既存事業の変革につながるだけでなく、社内に広く共感を呼んでおり、社員の意識改革を生むことから、単純に事業の成功確度だけを考えるのではなく、社員の育成やチャレンジする文化の醸成という点も重視しています。2018年度から2022年度の5年間で約1,000件の応募があり、過年度のもの含め11件が事業化に向けた活動を継続しています。
【若手が挑む新規ビジネス】
入社11年目の長瀧、9年目の富田、瀬戸らが社内起業制度を活用して挑戦する
2021年の社内起業制度で選定され、22年までは、キャラクターなど知的財産(IP)のライセンスビジネス向けマッチングサービスを手掛けていましたが、「既存の取引をデジタルで」というだけでは本来描いていたIPへの価値提供には繋がりづらいと考え、新しいキャラクターなどIPの活用の場として、メタバースに着目しました。その中で、メタバースにキャラクターなどIPを持ち込んでくれる事業者を探すよりは、自分たちがそれを出来る事業者になることが一番価値を生み出せると感じ、思い切ってピボットしました。
私たちはメタバースならではの体験が新たな消費行動を生み出すと考えており、ROBLOXのようなエンターテインメント体験がその始まりだと捉えています。これだけ多くの消費者を惹きつけている媒体なので、単なる遊びの場に留まらず、人々の交流の場、消費が生まれる場、そしてビジネスや生活の場に進化していくと考えています。
まずは住友商事としてROBLOXで求められているようなエンターテインメント体験を提供することで、消費者を惹きつけ楽しんでもらうことが出来るとともに、そういった体験を通じて集まったグローバルの消費者に向けて、住友商事が日本企業へのメタバースコンテンツのプロデュース(受託制作)と人気コンテンツ上への広告掲出を行うことで、価値提供が出来ると考えています。実際にライセンスビジネス向けマッチングサービス時から協業している「あさみみちゃん」には、メタバースコンテンツを通じたグローバルへの発信という観点で共感いただき、「あさみみちゃん」を題材としたコンテンツ制作・リリースを予定しています。
今後もメタバースを通じてグローバルの消費者と交流したいコンテンツホルダー・ブランドや、全世界に向けて発信したいクリエイター・制作会社などのパートナーを募集しています!ぜひ我々までお声がけください!
【これまでの主な0→1チャレンジ案件】
介護人材の定着支援サービス「kaigo FIKA」の開発と実証実験開始
インバウンド向け衣料シェアリングAny Wear, Anywhereの実証実験開始について
洗濯代行サービス「Life Wash」の実証実験開始
もみ殻由来のバイオ燃料・バイオケミカルを製造する実証実験を開始