あの名車と写真が撮れちゃう! 日産自動車の新VRChatワールドは「撮影スタジオ」

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日産自動車は、VRChat上に5つ目となる公式ワールド「NISSAN Heritage Cars & Safe Driving Studio」を公開した。(ワールドURL

このワールドはその名前の通り、日産自動車の歴史に名を残す貴重なヘリテージカーの展示や安全運転といった、自動車にまつわる展示物の鑑賞や体験ができるワールドだが、注目なのは「撮影スタジオ」として楽しめるという点だ。

シルビア Q’s、スカイラインハードトップ 2000GTX-Ev、ダットサンフェアレディ SPL213という、それぞれの時代を彩った名車と一緒に写真や映像も撮り放題という、VRChatユーザーはもちろん、車好きな方にもおすすめのVRChatワールドだ。


日産が用意する「撮影スタジオ」とは

この公式ワールドは、日産自動車の名車の展示や安全運転について学べる「撮影スタジオ」という内容になっているが、VRChatではアバター文化の盛り上がりに伴い、お気に入りのアバターで写真を撮ることは日常的に行われ、写真映えするワールドの情報がSNS上に飛び交っている。

このワールドもまさにそんなカルチャーに寄り添ったものになっているが、単に綺麗なワールドというわけではなく撮影スタジオであるという点が面白い。

これが撮影スタジオ。最先端スタジオみたいでかっこいい!

実際に訪れてみると、想像していたよりもだいぶ規模の大きいスタジオが目の前に広がり、興奮した。遠目から見た時にはグリーンバック合成で撮影する巨大スタジオのように感じたが、近づいてみると……

まるでバーチャルプロダクション

スタジオの背景部分が夜の港町に!

さながら、壁一面のLEDスクリーンに背景を表示して撮影するバーチャルプロダクションのようで、実際に見るとかなりテンションが上がってしまう。

排気ガスが出るのもリアル

ここは80年代トレンディドラマのような雰囲気を模して作られたスタジオになっており、海沿いのムーディーな景色と超リアルなシルビア Q’sが置かれている。

自由に動かせるマネキンも

訪れたユーザーはここで自由に写真を撮ったり、映像も撮影可能。マネキンがあるので一人で行ってもいい雰囲気の写真が撮れてしまう…?


本ワールドには合計3つのスタジオが用意されているのだが、次は3つ目のスタジオから紹介したい。

流れているのは「思いやりライト」のムービー

さきほどの80年代の雰囲気とはうってかわって、50~60年代を感じさせるダイナーとドライブインシアターからなる撮影スタジオ。

車と相性ばっちりのオールディーズな女の子のマネキン

ここに置かれている車はダットサンフェアレディ SPL213

車ごしの記念写真

写真を見てわかる通り、とにかく車の作りこみが美しい。写真を撮るのはもちろん、車を見るだけでも一見の価値がある。


日産自動車による交通安全への取り組み

このワールドはタイトルに「Safe Driving」とある通り、安全運転にまつわる要素が取り入れられている。あまりにも車やスタジオとしての作りこみが素晴らしいので写真を撮っているだけでもかなり楽しいが、どちらかといえばこちらがメイン。

まずは以下の写真を見て欲しい。

真っ赤なボディコンお姉さん

これはワールドのギミックで、夜道に80年代らしい肩パッド入りのボディコンスーツのお姉さんのマネキンが出現する。最初はいかにも80年代らしい赤い装いで、よく見ると右奥にも三体目のマネキンが立っているのがうっすら見える。暗い夜道でも、赤という色は比較的見えやすいことがわかるだろう。

続く写真は同じような服だが、黒っぽい服を着ている様子。

暗めのスーツは一番遠くがほとんど同化している
白いバッグは遠くでもかろうじて見える

黒い服になると、奥の三体目のマネキンが途端に見えにくくなる。調べによると、昔と比べて近年になるにつれ黒っぽい服装が好まれるようになっているという。言い換えれば、黒っぽい服装はドライバーからの視認性の悪さから交通事故に遭いやすくなっているとも言える。

登山時には蛍光色のブルゾンなどを選んで着る事もあるが、普段からこのマネキンのように80年代さながらの派手な色の服を着よう! というとファッション的に難しいかもしれない。しかし、バッグ等の小物に白を取り入れることで暗い道での視認性を高めることができるというのを視覚的に体験できるようになっているので、小物くらいなら見えやすい色を取り入れるのもありかも…! と感じられるだろう。


続いて、こちらは2つ目のスタジオ。

ドライビングシミュレーター

縁筒状のスクリーンの真ん中に停まっているのが、「スカイラインハードトップ 2000GTX-Ev」。

ここは撮影というより、ドライブシミュレーターで遊びながら交通安全や有効視野をゲーム感覚で楽しめるスタジオになっている。

車に乗り込んだら、左右のトリガーのみという簡単な操作で進んでいく。日産のロボットカー「エポロ」に導かれ、ウマやウシといった動物たちとぶつからないようにブレーキとアクセルを使って進む。

体験が終わるとリザルト画面が表示され、ちゃんと運転していたつもりでもどこかでミスをしていたらしいことがわかる。判定はわりとシビアだった。

リザルト画面の後で道中のクイズが表示されるのだが、これがかなり難しい!
要するに、これが運転と有効視野の関係らしいのだが、目の前に集中しているとどうしても周りのものごとは見えていないことがよくわかる。筆者は正解がわかっていても、運転しながらだとどこにエポロがいるのかわからなかった。

3つ目のスタジオにも交通安全の取り組みがある。

スクリーンのわきに意味深なハンドル

日産自動車でハンドルといえば、「ハンドルぐるぐる体操」だ。
高齢ドライバーの安全走行を促進・啓発するため、2020年に新潟大学と共に制作した体操で、日産自動車はVRChat上で何度かこの体操の体験会を実施してきた。(関連記事

ハンドルぐるぐる体操をはじめるおきゅたん

スクリーンに映せる動画は二種あり、日産自動車が提唱する夕方はやめにライトを点けて交通事故を減らそうという取り組み「おもいやりライト」運動の動画と、「ハンドルぐるぐる体操」の動画を選べる。

ハンドルぐるぐる体操はイベントとして実施してきたが、このたびワールドに常設されたので「いつでもハンドルぐるぐる体操ができます!」とのこと。

暗い道での視認性や運転時の周囲の視野など、言われてみれば「なるほど!」となることを、VRで実際に体験することで「こういうことだったのか!」と、より理解が深まって楽しかった。


日産自動車90年の歴史を彩るヘリテージカー

日産自動車は2023年12月26日に創立90周年を迎えた。

90周年というと本ワールドはそのために作られたのかと思ってしまうが、日産自動車としては単にヘリテージカーを展示したいという想いと、本ワールドを撮影スタジオとして楽しんでもらえればという意図が大きいという。

スカイラインハードトップ 2000GTX-Ev

スカイラインはドライビングシミュレーターのスタジオの前に、ワールドの入り口にも展示されているが、こちらでもその精巧な作りこみを堪能できる。

ドアは実際につかんで開け閉めできる
ハンドル
ラジオやシフトレバー

質感表現の綺麗さにはかなりのこだわりを感じた。

シルビア Q’s
ダットサンフェアレディ SPL213

日産自動車の歴史を彩る名車を80年代、70年代、60年代3つのスタジオに分けて、その時代ならではの景観ごと撮影スタジオとすることで、日産自動車が誇るヘリテージカーを写真や映像を撮るVRChatの文化に沿ったものになっていた本ワールドに、ぜひ遊びに行って欲しい。


(TEXT by ササニシキ

●関連リンク
日産自動車
NISSAN Heritage Cars & Safe Driving Studio