中国でもVR開発は意欲的! SIEJAが中国市場の現状と施策を語る【CEDEC 2017】
8月30日から9月1日まで、パシフィコ横浜で開催されたコンピュータエンタテインメントの開発者会議「CEDEC 2017」。SIEのスポンサーセッションでは「中国の PlayStationビジネスとゲーム業界事情」と題し、SIEJAの秋山賢成氏によるセッションが行われた。
VR関連講演でもお馴染みのSIEJA・秋山氏。本来ならばSony Interactive Enterteinment Shanghai(SIESH)の梶原健史氏が登壇の予定だったが、残念ながら会場に来られず……ということに。
中国本土のPlayStationビジネスは(過去にも小規模で行われたことを除けば)、2014年にスタート、2015年3月にPlayStation 4/PlayStation Vitaを、2016年10月に世界同時発売となったPlayStation VR、2017年6月にはPlayStation 4 Proが正式発売。
中国市場は毎年2桁成長の右肩上りを続けており、近年ではモバイルが市場の半分を超えている。しかしながら、コンソール市場はまだまだで、その分参入の余地があるといえる。
1年間に500人民元・日本円で8000円(フルプライスのゲーム一本分)以上ゲームにお金を使っている人がゲームユーザーの47.5%。人数にして2.7億人(日本の人口の倍!)というから驚きだ。
80年代・90年代の若年層が今のゲーム市場を支えている。
中国本土でのPlayStationビジネスの現状。中国本土でも「ファイナルファンタジーXV」が世界同時発売を行っているなど、好調に見える。
店頭プロモやローカルイベント(「CHINA JOY」以外にも北京など各地でイベントが行われているそうだ)、プレスカンファレンスも日本やアジア各地域と同様に展開。
公式サイト以外に微博・微信といった中国ローカルSNSの対応も忘れていない。
その結果、PS4のトレンドは極めて高い数値で中国で伸びている(太い青線が中国)。
中国では2013年にコンソールゲーム機の44号文献適応を行い中国大陸向けのコンソールゲーム販売が解禁に。
とはいえ、海外タイトルのセンサーシップ(検閲)は非常に厳しい。国側が3度チェックを行って許可が出るまでこの図では20週・約5か月、余裕を持ったスケジューリングでは約半年と考えた方がいい。
テキストはすべて中国語にすることは必須の上、ギャンブルを含めた反社会的行為はことごとくNGとされる。
中国のセンサーシップでNGの出た仕様と修正後のバージョンを比較。血を思わせる表現はプレイヤーのダメージエフェクトを含めて全部NG。骨などもダメとのこと。なお、SIEでは政府に提出する前のプレチェックも実施している。
中国のデベロッパーは資金・リソース・そして野心は高いが、コンソールの技術とクリエイティビティやセンスが足りないと指摘。ただ、これも手に入れるとかなり強みになりそう。
SIESHでは「China Hero Project」という座組で中国のデベロッパーの支援を開始している。
日本のミドルウェア会社を含めた多数の会社が本施策を支援。
中国の開発トレンドを紹介。約6割の独立系開発者がUnityを使用。China Hero Projectでの採用率はUnreal Engineとでほぼ半々とも。
中国開発のVRコンテンツのゲーム品質が高い、というところに注目。自社スタジオの強みを生かしどちらのエンジンがより強みを出せるかを検討・判断して使っている、という
すでに中国外での活動を開始したスタジオもあり、世界に通用するクオリティの物ができている。
中国でのPS VRロンチタイトルとなった「Ace Banana」を紹介。Unityの構造を活かした工夫をすることで120Hzを達成できたという。
日中共同開発として「Monkey King: Hero is Back The Game」を紹介。プロデュースは北京のOASIS GAMES、開発は日本のゲームスタジオ・ヘキサドライブ。
会場では中国ゲームコンテンツのグローバルパブリッシャーも募集していた。
成熟しつつある中国のコンソールゲーム市場と、力を蓄えつつある中国のデベロッパー。日本のゲーム会社もその市場を見据えつつ、彼らの良き「先輩」として素晴らしいゲームを出しつつ、成長の糧にしてほしい、ということも垣間見えた講演だった。
*CEDEC 2017記事まとめはこちら
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