アプリ制作はUnityが90%超え!? マイクロソフトが教えるHoloLens開発、基本のキ【Unite】
5月8、9日、東京国際フォーラムで開催しているUnityの開発者向けイベント「Unite 2017 Tokyo」では、Microsoft Hololensのスポンサーセッションとして「Microsoft Hololensが実現するMixed Realityの世界」が行われた。講師は日本マイクロソフトのHololensエヴァンジェリストとして弊誌でもおなじみの高橋忍氏だ(インタビュー記事)。マイクロソフトの講演としては珍しくセッション内容の公開が可能とのことなので、フォトレポートをお送りする。
Hololensが実現するMixed Reality(MR)の世界。現実世界とコンピュータが作り出す映像を複合して作り出している。
じゃあ、ARとの違いは、というとARでは空中に絵が浮かんでいるイメージ。画像はみんな大好き、日本マイクロソフトの公認キャラクター「窓辺クラウディア」たんです。
MRでは現実世界の物体をリアルタイムで認識して、そこに人やモノのCGがいるかのようなふるまいをする。おおお、俺のクラウディアたんが目の前にっ!
実機で見た映像はこんな感じ。
視界に入った地形をゲームのオートマッピングのように認識していく。写真では緑の部分が床など。
現実世界にホログラムを融合させるのはMRでしかできないこと。リアルのものに触らせてバーチャル世界での没入感をアップしたり、逆に現実世界側をCGで拡張することも可能だ。
センサーとシースルーレンズ、そしてHPU。これがHololensを構成する主要技術だ。
CPUはIntel 32bit(形式などは非公開、GPUはおそらくチップセット内蔵型と思われる)、メモリーは2GB、OSはWindows 10 32bit。アプリの開発指針としては、タブレットやスティックPCと同等のマシンスペックで実現可能なものが前提となる。
OSはWindows 10 Anniversary Update版がベースで、ソフトは2D、3DともにUniversal Windows Platformアプリとなる。正規アプリは当然ながら「ストアアプリ」からのダウンロード。
現行の開発機、お値段は33万8000円。日本でも今年1月から発売しており、Microsoft Storeから購入できる。
Hololens対応ソフトは2Dと3Dの2種類がある。開発環境のメモリーは、最低8GBほしいとのこと。
開発機からはMicrosoft EdgeなどのWebブラウザを通じてリモートアクセスできる。HoloLensで見えている視界をPC側でリモート表示させたり、録画することも可能だ。
Unityでの開発はターゲットプラットフォームを「Windows Store」、SDKが「Universal 10」、Target Deviceを「Hololens」として、「Unity C# Project」にチェックを入れる。なお、Visual Studio 2017をインストールすると自動的にUnityの「5.4」がインストールされる(5.5以降は手動でお願いします、とのこと)。
リモートデバッグはUSB接続時が「Device」、Wifi接続時が「リモートコンピューター」。Hololensがなくても「シミュレーター」(エミュレーター)を使ってデバッグすることも可能だ。
ビルドしたものを実機で試してみる。
ジェスチャーや音声認識など、Hololensならではの機能も実装できる。マイクロソフトはUnity向けのツールキットをGithubで配布中。
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ololens Academy(開発入門ドキュメント)も日本語化されて、コミュニティーサイトに置かれている。
HoloLensのスイートスポットは1〜5mのエリアで、ホログラムには触らせないようにするのが鉄則とのこと。つまりこの前別の大人向け記事で書いた利用法はダメってことかーっ! ちなみにHololensのメニューの位置も2mの位置にセットされてるそうです
Hololensを使って何かを作る、ではなく、Hololensを使って何をしたいか、それを実現するためにどんな機能を組むかをきちんと考えることが大事。
毎度おなじみ、日本航空のエンジン整備のMR。
建物の設計における活用の一例。複数台のHololensを使いディスカッションしながら設計、変更点は瞬時に反映される。日本でも小柳建設と「Holostruction」を手がけていましたね。
VOLVOのMRショールーム。数の少ない新車もMRなら即時でチェックできる。
年内にはWindows Mixed Realityに対応したPC向けのヘッドセットも発売。VR寄りではあるが、同じSDKで扱えるのが特徴だ。
……と盛りだくさんな内容だったが、マイクロソフトが実用的なMRを目指していることがうかがえるセッションだった。MS本社に聞いた話ではHololens対応タイトルのおよそ9割はUnityベースのものだという。日本でもこのセッションを機に新たなMR作品が出てくることに期待したい。
5月1、2日、米国でUnity Technologesが実施した「Vision VR/AR Summit 2017」の基調講演でも同様の発表があった。
ちなみに、シースルーレンズだが、レンズの外側が見られるように透過色が設定されている。その色はR:00 G:00 B:00、つまり黒。例えばキャラクターの目や輪郭などを黒で塗ってしまうと、そこは透明になってしまう。グリーンバックで緑の服を着た状態ですね。
1単位でも色をつければそこは透明にならない(どのような表現になるかは筆者がテストしてないため不明)ため、黒の表現はそれを使うことになるだろう。また、光が強いところでは使えないこともセッション内で語られたので、屋外、特に炎天下での利用はちと無理っぽいのが残念だ。そこは技術の進歩に期待したい!?
(TEXT by Shogo Iwai)
*Unite 2017 Tokyoまとめページはこちら。
●関連リンク」
・Microsoft Hololens
・Windows Mixed Reality(英語)
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・クラウドガール