「傷物語VR」制作の舞台裏 VR空間でのプロジェクションマッピングが生み出す映像表現とは?【Unite】
5月8・9日に東京国際フォーラムで開催された「Unite 2017 Tokyo」。FGO VRに続いて、「最新PlayStation VRコンテンツ制作事例紹介 with Unity」のセッションで紹介されたカヤックによる「傷物語VR」の事例紹介と、昨年から公募していたコンテスト「Made With Unity Contest with PlayStation VR」についてまとめていこう。
今回もセッションを担当するのは、SIEJAにおけるPS VRの顔としておなじみの秋山賢成氏。
「傷物語VR」を実現する3つの技術
面白法人カヤックの「傷物語VR」は、実は「CEDEC 2016」におけるPlayStationのスポンサーセッションの中で「概念」だけは紹介していた。本誌でも「シン・ゴジラ」のレポートを公開したものの、ぶっちゃけそちらがあまりにも濃くなりすぎて、VRプロジェクションマッピングの話は割愛してしまったのだ。今回紹介したのは、「傷物語VR」に使われている技術について。
登壇者は面白法人カヤック・クリエイティブディレクター、天野清之氏。
VR空間でプロジェクションマッピングを行うことで、現実のような映像表現と同時に、VRならではの特殊効果も組み入れた新しい体験を目指している。
コアになる3つの技術。
「オールラウンド・マルチディスプレイ」は、VR空間上に自然な方法で投影・配置される映像表現。これに変化する空間やモーショングラフィックス風の表現を加えることで、新たな表現を生み出す。
立体空間での位置関係や映像との連動で音を演出する「ショートディスタンス・サウンド」。
「バーチャルフラットシェーダー」は立体空間と組み合わせたシェーダーで、デモではガラスを割るようなポリゴンに映像が張り付けられる演出が行われた。
これらの技術は、SIEとの協働で他のコンテンツでの導入を行うとのこと。
5月20日に開催される「傷物語VR」体験会の応募は5月10日23:59まで。すでに想定の10倍以上の応募があるとか……。
Unityとの協業コンテスト、敗者復活からのタイトル発表!
SIEからはまずPS VRの現状について。2月時点での91万5000台が最新の公式発表となる。
SIEは360度動画向けに4K解像度対応360度動画アプリ作成用のプラグインを開発中とのこと。
さて、去年7月に募集をかけた「Made With Unity Contest with PlayStation VR」のことは覚えているだろうか。残念ながらPS VRの開発機材を用いて製品化に向けたタイトル開発ができる優秀作品は出なかった。が、その後、佳作作品の開発者がブラッシュアップして、PS VRタイトルの制作が続けられていた。そしていくつかの作品が本日公開された。
「Voxel Shot VR」。シューティングコントローラも使えそうなTPS。
多彩なスポーツゲームが遊べる「VR Sports」。
SAT-BOXの「サムライソードVR」のPS VR版。
「VR Walk」のship of EYLNの「メデューサと恋人」。
その名の通りVRで卓球「Ping Pong League」。
さらに開発着手中のタイトルも。「The Fall」は個人開発、「Hungry Goblin」は大阪の中堅スタジオ「アクセスゲームズ」が開発。
これらのタイトルはイベントなどで体験ができる……かも、とのこと。今後もブラッシュアップを続け、製品化につなげてもらいたい。
(TEXT by Shogo Iwai)
*Unite 2017 Tokyoまとめページはこちら。
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