エヴァやドラえもんなど、VR ZONEの体験はなぜ面白い? コヤ所長&タミヤ室長が明かす開発のコツ【BitSummit】

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5月20日、21日、京都「みやこめっせ」においてインディーズゲームの祭典「A 5th of BitSummit」が開催されている。PANORAの第一報は、ゲストスピーカーとして登壇したバンダイナムコエンターテインメントAM事業部の小山順一朗・田宮幸春両氏……もとい「Project i Can」のコヤ所長とタミヤ室長のステージをお送りしよう。

内容は、最近「Project i Can」のアクティビティーに多いアニメIPタイトルの制作事例をもとに、体感マシンに頼らないVRの体験デザインを語るというもの。なお、本セッションは世界各国から開発者・メディア、ゲームプレイヤーが集まるBitSummitとしては珍しく、英語に随時吹き替えされなかったため、2人の漫談講演のテンポを崩さない内容で行われた。

 

お馴染みコヤ所長とタミヤ室長。もちろん所長がボケ担当です。今日はポロリ防止のために広報さんがいたそうで……。

 
まずは「Project i Can」の主要コンテンツの紹介から。特に新アクティビティとなる「ドラえもんVR どこでもドア」や「エヴァンゲリオンVR The 魂の座は、PVや体験中の映像を使って念入りに行われた。なお、近畿地区では「VR ZONE」は今だオープンしておらず、大阪・千里のららぽーとEXPO CITYのガンダムスクエアにおいて「機動戦士ガンダム ダイバ強襲」が期間限定で置かれていたくらい、ということで来場者のアクティビティの体験者は少なめだった(ニュース記事)。

 

「エヴァ THE 魂の座」の撮れたてほやほやの体験ビデオ。残念ながら弊誌編集長のVRおじさんではなかったです。

 

アニメIPを使用したアクティビティーと、従来の「Project i Can」のものの違いとして、アニメでは設定がある程度固まっている、という点が挙げられる。例えば「高所恐怖SHOW」なら「ビルの屋上からなぜか木の板が張り出してる」「しかもその先になぜか猫がいる」といったアクティビティーの特徴となる設定が後づけていくらでもつくれたが、すでに設定があるIPを使用した場合はそれができない。つまり、シチュエーションをどう解釈して、どうバーチャル世界に置き換えるかが面白さを左右するといえる。

 

「エヴァンゲリオン」だったら視点はどうなるのか。体験者はエヴァとリンクしてるので、エヴァからの視点になるのか、それともパイロットの視点になるのか──。そんな議論が版元と続けられたという。同様に、ドラえもんの「どこでもドア」でも、裏から回った場合、ドアの奥はどう見えるのかも話し合った。ただしこれは原作アニメに1か所だけどこでもドアを裏から見た時の動作が描かれており、最終的にはそれを元にすることとなった。

 
もう一つの問題はスケール感、つまり寸法問題だ。エヴァンゲリオンの場合、サイズは不定で、50mのときや100mのとき、あるいは無限大といった具合にサイズが変化している。「The 魂の座」では既報通り80mで固定。また、ガンダムのケースでは、「Project i Can」のご先祖様(墓石ではない)ともいえる「機動戦士ガンダム 戦場の絆」において、オリジナルのスケールで作ったもののしっくりいかず、さらにつくったホワイトベースもガンダムとサイズが変わらずにしっくりこなかったそうだ。なおホワイトベースは同タイトルでは約3倍のスケールにしている。

 

そして大きな問題として、「芯を食ってる?」という、一見わかりにくい言葉が登場した。

 

この真意は何かというと、VRの企画ブレストが奇をてらったものになりがちで、例えば「ドラゴンボールで桃白白の投げた柱に飛び乗る」とか「ワンピースで酒を飲みまくる」といった、IPタイトルを作りまくったバンナムらしい(汗)ぶっ飛んだ逸話が飛び出したが、もちろん、そういうVR体験ってどうよ、という話に落ち着いた。ゲームでは、世代や機種を超えて同じ体験が何度も描かれているが、それを改めてVRならではに作り込むことが大事、ということだ。

 

あとは自分がヒーローにしてあげないというのも大事。実際に主人公のような体験をしようとしても、失敗したときのフォローが難しいし、ヒーローの場合はパワーが強すぎて荒唐無稽さが現実感を喪失させてしまう。「エヴァの暴走」のように、体験者が何もフォローできない状態も興ざめしてしまう。あくまでも体験者がその世界の一員として戦う(というか巻き込まれる)のがVR体験では重要と語っていた。

 

まとめとして、アニメなどのIPで一度はやってみたいと思う王道体験を、想像力豊かにバーチャル世界向けに解釈をすることで、期待を超えるギャップをつくるのがアニメなどのIPのVR化となる。それを実現することで「今までの夢がかなった」のと「この裏側はこうなっているのか!」という新たな発見の相乗効果が起こり、ファンが求める新鮮な驚きをもった体験ができあがるということになる。

「Project i Can」は、今年夏オープン予定の「VR ZONE Shinjuku」にて、「エヴァ」以外にもIPを使用したアクティビティが続々登場するらしい。今後の続報に期待したい。

 

まだあるの、ってあれだけスペースがあるんなら、新規アクティビティーも山盛りになりますよね。

 

本会場でもコヤ所長はふしぎなおどり(汗)をおどって、来場者へのポロリアピールを忘れませんでした……。

 
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(TEXT by Shogo Iwai)

 
 
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●関連リンク
A 5th of BitSummit
Peatix: A 5th of BitSummit
バンダイナムコエンターテインメント
Project i Can

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