ライブ体験の歴史を変えた「輝夜月 LIVE@Zepp VR」レポート 玄関開けずにVRで最前列ってヤバい!!
(c)Kaguya Luna/SACRA MUSIC 2018
バーチャルYouTuber(VTuber)の「輝夜月」(かぐやるな)ちゃんは31日、バーチャルイベントサービス「Cluster.」(クラスター)上に作られたライブハウス「Zepp VR」にて初のVRライブを開催した(ニュース記事)。
幸運にも先着でチケットをゲットできた約200名は、VRゴーグルやPCを使ってインターネット越しにZepp VRにログイン。30日に配信が始まった彼女のオリジナル曲「Beyond The Moon」や椎名林檎の「幸福論」を熱唱したり、観客とエモーション(絵文字)でやりとりしながらトークを展開したりと、ひたすらエネルギッシュな月ちゃんを目の前にして、約40分の濃密な時間を楽しんだ。
同時に全国7都市15劇場にてライブビューイングを開催し、5000人以上の動員を記録したという。ライブビューイング会場ではオフィシャルグッズも販売していたが、同じものを9月1日よりオフィシャルサイトにて通販する(ライブビューイング会場撮影/Hiroaki Aizawa)。
VTuberに強いVRメディアで、過去に月ちゃんに直接インタビューしたこともあるPANORAとしては、こんな面白そうな企画を取材しない手はない。実際にVRライブを体験して来たのでレポートしていこう。
カグヤルナライブ
どーだった!?
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あとでゆっくり読ませてーー!!!#カグヤルナライブ#ZeppVRでツイートしてくれええええええ!!∠( 'ω')/
めっちゃ楽しかったァァァァァ!!!!!! pic.twitter.com/vYjGSIGFHU
— 輝夜 月 / 8月31日ワンマンライブ🍤 (@_KaguyaLuna) 2018年8月31日
次元を超えて会いに行ける、そうVRならね!
まずはVRライブの流れからおさらいしていこう。
今回の会場となったZepp VRは物理的には存在しておらず、インターネット上にある空間となる。ゲーム好きならMMORPG、ネットに詳しいなら「セカンドライフ」に近いものと説明したほうがわかりやすいかもしれない。
ただ、そうした既存のネットサービスと大きく異なるのが、VRシステムを利用することで人や物の存在を実感できるという点だ。VRゴーグルを装着すると視界いっぱいに映像が広がり、興味のある方向に顔を向けて周囲のものを見られる。さらにVRシステムによっては、顔を近づけて拡大表示したり、両手のコントローラーでものをつかんで操作することも可能だ。
今までテレビやPC、スマホといった画面越しに見ていた世界に自分が入れて、現実のように感じられる──。現実のステージにキャラクターを出現させる初音ミクなどのARライブとは真逆で、自分があちらの世界に入っていけるのがVRの強みとなる。しかも、自宅から一歩も出ずにライブ会場にいけるわけだ(実際、筆者はライブの取材ながら事務所から一歩も出なかった)。
今回のZepp VRの土台となっているCluster.は、数千人規模のユーザーを同じバーチャル空間に集めてイベントを開催できるプラットフォームで、過去にも岩本町芸能社や月ノ美兎ちゃん、ときのそらちゃんといったVTuberの生放送を実施してきた。
Cluster.をVRで体験するためには、「HTC VIVE」や「Oculus Rift」といったVRシステムと、それが動作するゲーミングPCが必要になる。今回、筆者は写真のVIVE Proで視聴。
VIVE Proを被ってログインすると、そこはキズナアイちゃんの動画ばりの真っ白な空間だった。周囲を見回すと、Zepp VRの入り口があり、オープンを待つ人々がたむろしている。なお、Cluster.のアバターは通常ロボットなのだが、今回は特別に月ちゃんにゆかりのあるエビフライ仕様だった。人によっては顔にTwitterなどのアイコンがつけられており、ネットで顔見知りの人を特定できる。
そして置かれていた注意書き。VRでしかも家庭でライブというのが全くの未知数なこともあって、前説でも月ちゃんが生み出したエビフライの「ジャスティン・エビーバー」とブロッコリーの「パブロッコリー」(正式名称は長いので省略)が注意を繰り返していた。
会場時間になるまではライブハウスには入れないのだが、それが逆に「ライブに来た」という実感を湧かせてくれる。Cluster.は観客ユーザーはボイスチャットできないため、エモーションを出したりして暇を潰していた。
19時30分過ぎに開場になると、参加者が中になだれ込んでいく。移動方法は、VIVEなら左手コントローラーの親指部分にあるタッチパッドの上を押せば前進、左右で左右に動く。右手コントローラーのタッチパッドは回転だ。また、ユーザーの位置追跡が効いている範囲なら歩いたり、しゃがんで低い位置で見たりすることもできる。
ネオンっぽい照明とスポットライトが頭上にある廊下は、まさにライブハウスのあの感覚。
……と、しばらく歩いて行くと入り口が見えて来た。
会場の床や壁は、月ちゃんのキーカラーである赤・青・黄色にあしらわれていた。ステージには、前説としてエビーバーとパブロッコリーが登壇して諸注意を伝える。なお、頭の上に上がっている笑顔やブロッコリーのアイコンがCluster.のエモーション機能で、手元のコントローラーで指示してその時の感情を伝えられる。
*次ページでは、ライブ本編をお届け! このあと輝夜月が空を飛ぶ!(本当)