VRとの相性も抜群!? ネットで話題の水のようになる砂「流動床インターフェース」を体験【CEDEC】
パシフィコ横浜にて8月30日から9月1日までの3日間行われていたゲーム開発者向けイベントの「CEDEC2017」。基調講演やデレマスVRの制作事例といったセッションだけでなく、会場には実際に体験できるブースも数多く用意していた。その中から、ネットでひときわ話題を呼んだ「流動床インターフェース:液体のようにふるまう砂を用いた インタラクションシステム」を取材した。
ものつくり大学が展示していた流動床インターフェース。砂場なんだけど、下から空気を送り込むことでお湯みたいになる! ゴムボールは沈むし、目をつぶって手を入れるとお湯としか思わない。砂を感じない。子供みたいに驚いてしまったです! #CEDEC2017 pic.twitter.com/oBVgOlDnRa
— 松VR (@matsu_vr) August 30, 2017
言葉で説明するより、まずは動画で見ていただいたほうが早い。実際は砂なのだが、水のような触感を得られるのが不思議だ。
流動床(りゅうどうしょう)インタフェースでは、水のようになめらかにしたり、固くしたりと、砂の状態を自由に操れる。柔らかくしているときは水のようにかき混ぜられるし、空気を入れたボールを沈ませれば勢いよく浮き上がらせるというような、まるで砂とは思えない不思議な動きを見せる。
流動床インターフェースの解説動画。VRゴーグルをかぶって小型ボートシミュレーターに応用する例などを紹介している。
仕組みとしては砂を容器に入れて……。
下から空気を送るというとても簡素なものだが、比較的粒子の細かい砂を採用したり、送風機も容器全体に均一に空気を送り出せるようにしたりと、細かい工夫が凝らされている。空気を入れるだけで流動化できるので状態切り替えもカンタンで、空気量を調節することで固さもある程度調節可能だ。
開発したのは、ものつくり大学・製造学科・非常勤講師の的場やすし氏と、教授の菅谷諭氏。流動床はゴミの焼却炉などが使っている技術で、的場氏は電気通信大学などでインタフェースの研究を行ってきて、去年この現象を知ったとのこと。砂の状態と液体の状態を自由に制御できるこの現象を、人間が直接触れるインターフェースとして使ってみては面白いのではないかと考えてデモの制作に着手し、今年3月の情報処理学会主催のシンポジウム「インタラクション2017」にて発表したところ「インタラクティブ発表賞」の受賞に至った。
さらに8月19、20日に開催した音楽フェス「SUMMER SONIC 2017」では、江崎グリコの「パピコ」ブースに展示された体験型アトラクション「なめらカヌー」にも採用されるなど、ここ半年で急速に注目を集めている(プレスリリース)。現在、的場氏は流動床インターフェースの面白い使い道を探しており、VRコンテンツとは特に相性がいいのではと語っていたので、いいアイデアが思いついたVR開発者はぜひ的場氏にコンタクトを取ってみよう。
(TEXT by まぶかはっと)
*CEDEC 2017記事まとめはこちら
●関連リンク
・流動床インターフェース(YouTube)
・CEDEC 2017