Steam版「DOOM VFR」操作系ガッツリレビュー VIVE専用だけどOculusでプレイ可

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12月1日、id Softwareが開発、Bethesda Softworksが販売するHTC VIVE専用ソフト「DOOM VFR」がSteamで発売された(PSVR版は日本では12月21日販売)。PANORAでは既にPSVR版のレビュー記事が存在するが、今回のレビューはSteam版DOOM VFRについて、VIVEのモーションコントローラーであるVIVEコントローラーとXboxのゲームパッドの操作性、そして公式には未対応扱いとなっているOculus Riftでの動作に焦点を当ててレビュー記事をお届けしよう。

 

そもそもDOOMってどんなゲーム?

DOOMとはFPSジャンル隆盛のきっかけとなったFPSシリーズだ。地獄の亡者たちを相手に火星の海兵隊である主人公が銃で戦うシューティングゲームで、モンスターの肉片や血しぶきが飛び散るゴア描写、メタルでロックなBGM、プレイヤーの頭からアドレナリンが噴出しそうなほど苛烈な難易度が特徴的だ。

id SoftwareがMS-DOS向けに1993年にDOOMを発売し、当時のアメリカに社会現象を巻き起こした。そしてDOOM系と呼ばれる一人称シューティングゲームが量産され、それらが次第にFPSとして発展していった。そのため、DOOMはFPSの金字塔と呼ばれている。

2016年5月、idSoftwareが開発、Bethesda Softworksが販売するリブート版DOOM(通称:DOOM 2016)がPS4、XboxOne、PC向けに、2017年11月にはNintendo Switch版が発売された(日本では2018年3月1日発売予定)。リブート版では新システム「グローリーキル」を搭載しており、敵キャラクターに攻撃を当てて体力を削ると敵キャラクターが青白く発光し始める。発光中に敵に接近して殴ると「グローリーキル」が発動し、敵キャラクターを確実に倒す上に弾や回復アイテムなどのリソースを通常よりも多く得ることができる。敵の弾幕をかいくぐりながらあえて敵に近づくというリスクを冒すことによってより多くのリターンを得るシステムが好評を博した。

 

 
 

VR版DOOMの概要

DOOM VFRのグラフィックやシステムはリブート版DOOMの雰囲気そのままで、本編とは違ってシングルプレイのキャンペーンモードのみとなっている。ボリュームは30ドル(3300円)の値段相応に控えめなので、FPSやVRシューターに慣れている人であれば3時間程度でクリア可能だろう。

PC版DOOM VFRの操作はVIVEのモーションコントローラーとXboxコントローラーなどのゲームパッドの2種類に対応している。VIVEモーションコントローラーではコントローラーを両手に見立てた没入度の高い操作を、Xboxコントローラーなどのゲームパッドでは既存の家庭用ゲーム機のFPSに近い操作性でプレイ可能だ。

 

 

また、リブート版DOOMとの違いとしてグローリーキルがテレグラフに変更された。テレグラフはグローリーキルのように敵を攻撃して弱らせると発光する所までは一緒だが、敵の位置にワープ移動することで敵が死亡する。本作のワープ移動はワープ時に暗転するタイプではなくワープ地点へ高速で移動するので、テレグラフはプレイヤーが敵に高速で突っ込んで爆ぜるような体感になる。テレグラフはジャンプの役割も兼ねているので、高低差に差異のある場所を移動する際もワープ移動を用いる。そのほか、チェーンソーなど一部武器も削除されている。グローリーキルとチェーンソーはいずれも攻撃時に1秒程度の短い演出が入るのだが、プレイヤーが介入できない視点の移動はVR酔いの原因となるため削除されたのだと筆者は推測する。

 

 

ちなみに、筆者が個人的に一番驚いた点は主人公にナレーションボイスがあったことだ。DOOMシリーズの主人公は伝統的に何も喋らないのが慣例らしい(筆者はリブート版以外は未プレイ)のだが、プレイヤーにストーリーやゲーム内目的をきちんと把握してもらうためなのか普通に喋る。PCのVRゲームはあまり大きい市場でないためにインディー系タイトルが中心で日本語音声に恵まれないことも多い中で大手メーカーによる日本語音声、字幕が完備されていることは素晴らしいことなのだ。

PCのシステム要件

DOOM VFRをPCで動作させるためのシステム要件について説明する。以下のシステム要件はSteamストアページより引用した。

最低:
OS: Windows 7/8.1/10 (64-bit versions)
プロセッサー: CPU: Intel Core i5-4590 or AMD FX 8350 or better
メモリー: 8 GB RAM
グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 1070 / AMD Radeon RX 480 or better
ストレージ: 17 GB 利用可能

推奨:
OS: Windows 7/8.1/10 (64-bit versions)
プロセッサー: CPU: Intel Core i7-6700K or AMD Ryzen 5 1600X
メモリー: 16 GB RAM
グラフィック: Graphics: NVIDIA GeForce GTX 1080 / AMD RX Vega 64
ストレージ: 17 GB 利用可能

筆者の環境は最低環境のNVIDIA GeForce GTX 1070より性能が低いGTX 980 Tiで問題なくプレイできた。ただ、筆者はプレイ中に地形のテクスチャが一部正方形に黒くかけている様子を何度か目撃した。性能不足による描写欠けなのか、それともそういった演出なのかは判別できなかった。筆者の主なPC環境は、CPU: Intel Core i7-6700K、メモリー:32 GB RAM、グラフィック: NVIDIA GeForce GTX 980 Tiとなっている。

SteamのDOOM VFR公式ニュースページでもシステム要件の最低以下となる環境でも、VR Readyの性能を有するPCであれば動作して普通にプレイできることが記述されているほか、DOOM VFRのゲーム内の設定画面からテクスチャやモデルの品質などを細かく設定することができる。下のスペックは、そのときの動作報告のあったPCスペック。

CPU: Intel Core i5-6600K
メモリー: 8 GB RAM
グラフィック:NVIDIA GeForce GTX 980

 

没入感は最高だが移動方法にクセがあるVIVEコントローラー

VIVEコントローラーの操作は左手のトラックパッドでワープ移動、十字方向ダッシュ、トリガーでグレネード、グリップボタンでシールドバースト、メニューボタンで地図と目的を表示。右手のトラックパッドで武器ホイールを表示して武器変更、トリガーで銃撃、グリップボタンで武器MOD、メニューボタンでSteamVRメニュー表示となっている。筆者はVIVEコントローラーの初心者であることもあって、プレイ中にグリップボタンの機能を用いることはほとんどなかった。

 

 

VIVEコントローラーでは左手と右手を別々に自由に使うことができるため、モーションコントローラーの右手で敵キャラクターに狙いを定めてド派手な武器で倒す快感は素晴らしい。多くのVRタイトルがインディー系タイトルであるのに対してDOOM VFRは大手ゲーム会社の家庭用AAAタイトルの素材をベースに作られているだけに非常にリッチな体験となっている。しかし、DOOM VFRは操作性に多少のクセがある。

始めに、DOOM VFRはリリース時点では右手と左手の役割が固定されており、利き手の設定をすることができない。ゲームの起動や設定のUIも右手のトリガーで決定、左手のトリガーでキャンセルとあまり直観的な操作ではない。

最も大きな点は左手のトラックパッドが自由移動ではなく十字方向のダッシュ移動に割り当てられていることだ。DOOMもといDOOM VFRの戦闘において、プレイヤーは常に移動して敵弾を回避しながら敵キャラクターに狙いを定めて攻撃し続けることが勝利の鍵となる。つまり、プレイヤーは止まると敵の猛攻に埋もれて死ぬ。

 

 

ところが、VIVEコントローラーでは自由移動ができないためワープ移動に頼ることになり、ワープ移動のワープ位置を決めるうちは攻撃できず、攻撃している間はワープ位置を決めることができないので「ワープして止まっては射撃」の繰り返しになる。モーションコントローラーでワープ移動先を決める時に敵を目視で確認しながら後ろにワープ移動できない。

そのため、ワープ移動の位置を決めている一定時間に発生するゲーム全体がスローモーション効果を活用して、効果が時間切れになる前にワープ移動で敵の後ろに回り込み、敵を攻撃しつつも周囲に別の敵がいないか気を配りながらなるべく同じ場所に居続けないように心掛けるよう意識してプレイするとよいだろう。

 

 

また、トラックパッドの上下左右を押し込むことでプレイヤーが現在地から前後左右の方向に1.5~2メートル程度の距離をダッシュ移動できるが、あくまで敵弾の緊急回避にとどまるものと認識しておく必要がある。トラックパッドを押し込んでワープ移動する位置を決めている間はダッシュ移動できないことに気を付けよう。

DOOM VFRのパブリッシャーであるBethesda Softworksが同じく発売したオープンワールドRPGであるVRゲーム「Fallout 4 VR」では移動方法としてモーションコントローラーのトラックパッドによるワープ移動と自由移動の選択が用意されているほか、利き手の設定ができる。オープンワールドRPGとシューターというジャンルの違いこそあれどDOOM VFRのSteam版にもFallout 4 VRのように操作や設定の様々な選択肢を用意して欲しかったところだ。

ちなみに、日本時間で12月2日にDOOM公式ツイッターアカウントがVIVEコントローラーに利き手の設定や自由移動を追加するアップデートを行うと既に予告したものの、記事執筆時点でも具体的な日程は明らかになっていない。

 

 

操作性が快適なゲームパッド

PS4のゲームパッドはDUAL SHOCK 4が標準なのに対して、VIVEのゲームパッドは多くのPCゲームと同じくXbox Oneのゲームパッドが標準となっている。筆者の環境ではXbox 360の有線ゲームパッドでもプレイに支障はなかったが、安全面を考慮するとXbox Oneなどの無線のゲームパッドが望ましいだろう。

ゲームパッドでは左右の視点旋回、視点の180度旋回、自由移動をスティックやボタンで操作可能だ。プレイヤーの右手と左手が視点に向かって真っ直ぐになるように視界の定位置に固定されており、頭の向き(視線)で敵を狙い撃ったりワープ移動したりする。筆者はゲームパッドでDOOM VFRをプレイした際はこれらの操作を駆使してあぐらで床に座った状態でゲームをクリアすることができた。

 

 

左スティックで自由移動、右スティックで視点旋回、Lトリガーでワープ移動、Rトリガーで射撃ができるため、ゲームパッドの場合はほとんど通常の家庭用ゲームのFPSのような感覚で遊べるのでFPS経験者であればすんなりと受け入れられるはずだ。

 

 
ちなみに、リブート版DOOMのPC版のゲームパッドの操作は以下のようになっている。

 

 

DOOM VFR攻略のヒント

DOOM VFRはイージーモードでも非常に歯ごたえのある難易度となっている。そこで、攻略のヒントになるであろう要素を紹介しよう。

・筆者はモーションコントロールで序盤のみノーマルモードでプレイし、途中からイージーモードに切り替えてゲームパッドでプレイした。操作方法や難易度は設定画面からいつでも切り替えることができるので無理はしないようにする。

・シューティングだけではなくアイテム探索などのアドベンチャー要素もある。プレイを初めて間もないうちは道に迷いやすいので視界の上にあるマーカーのUIに注意し、目的を見失ったら左手のメニューボタンから地図と目標を再確認して探してみるべし。

・ゲームパッド操作でもワープ移動を有効活用するべし。飛びかかってくる敵の足元をすり抜けて裏に回り込んで不意打ちしよう。

・視界180度旋回ボタンを使おう。右スティックによる視界の旋回ではスティックを一回倒すにつき通常30度(設定で角度の変更可能)なので180度回転するにはスティックを6回倒す必要があるが、180度旋回ボタンを使えば一発で真後ろに旋回できる。ワープ移動で敵の裏に回り込んだ時に使うと効果的だ。

・敵を一撃で仕留めようとせずに、ギリギリまで弱らせてグローリーキルを決め回復アイテムや弾薬などのリソースをより多く確保するようにしよう。

・とあるステージで遊べる謎のミニゲームは、同じ種類のキャラクターを縦・横に3体並べると消滅するパズルゲームだ。殺伐とした雰囲気の中でミニゲームをプレイしていると癒しを感じる。

・敵との戦闘中になぜか銃が撃てなくなったと思ったらそれはおそらく「バーサーカーモード」に突入している。一定時間内であれば体力の多い敵でもワープ移動によるテレグラフのみで一発でキルできる。バーサーカーモードの他にもプレイヤーの攻撃力が4倍になるクアッドダメージモードなども存在する。

 

 

 

VIVE専用だけどOculus Riftでプレイ可能

DOOM VFRのパブリッシャーであるBethesda Softworksの親会社Zenimax Mediaは、OculusとFacebookが同社の技術を盗用したとして訴訟を起こしており、Bethesda SoftworksのVRソフトはOculus Riftではプレイできないのではないかと推測されていた。DOOM VFRはリリース初日ではOculus Riftでプレイできないようにブロックが施されていたものの、DOOM VFR発売翌日に行われたValveによるSteam VR BetaのアップデートによってOculus Riftでもプレイ可能になった。SteamVRは元々VIVE専用のVRソフトをOculus Riftで動かす互換機能があり、DOOM VFRでのOculus Riftの操作もその互換機能によるものだ。

筆者はOculus Riftを所持しているので実際にプレイしてみたが、操作性に違和感はなく、VIVEコントローラーと同じようにプレイすることができた。ただし、Oculus RiftのランチャーからDOOM VFRの起動を行うとあまりうまくいかずにPCがフリーズすることが何度かあったので、DOOM VFRをOculus Riftでプレイする時はSteam VRのランチャーから起動しよう。

ちなみに、DOOM VFRと同じくBethesda Softworksが発売したFallout 4 VRもSteamVRの互換機能によってOculus Riftで動作するものの、VIVEコントローラーのトラックパッドがOculus Touchのスティックに変換されたりと、UIの操作に一部問題があるとのことだ。

 
 

おススメしたいド迫力FPS、ただしアプデ待ちも視野に

DOOM VFRのSteam版は、現段階ではモーションコントローラーによる操作は個人の好みの差が大きいが、ゲームパッドでは迫力のある立体視FPSを体験できる。FPSにある程度慣れていてゲームパッドを持っている人であれば現段階で購入しても良いし、モーションコントローラーによる没入感や詳細なコントロール設定にこだわる人であればアップデートを待つのが良いだろう。

また、DOOM VFRの本編であるリブート版DOOMもSteamで販売されているので、気になった方は二つを比較しながらプレイしてみるのも良いかもしれない。

●DOOM VFR

・販売方法:Steam ダウンロード
・プラットフォーム:PC(要HTC VIVE)
・価格:3300円(税込)
・販売ページ:http://store.steampowered.com/app/650000/DOOM_VFR/(Steam)

●DOOM

・販売方法:Steam ダウンロード
・プラットフォーム:PC
・価格:3300円(税込)
・販売ページ:http://store.steampowered.com/app/379720/DOOM/(Steam)

 
 
(TEXT by ぱソんこ

 
 
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Bethesda.net
Steam:DOOM VFR
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