動画で見るVR専用・803ppi「超くっきり」ディスプレイの衝撃 JDIが開発を発表
VRゴーグルをかぶって「あちらの世界」に気持ちよく没入するために必要な要素のひとつとして、ディスプレーの解像度があげられる。よく言われるのが「スクリーンドアエフェクト」で、ディスプレーの解像度が低いと映像に網目が見えて「これは作り物の世界だ」と興ざめしてしまうというものだ。
VRゴーグルは、その内部にディスプレーが置かれており、この映像をレンズで拡大して見えるようにすることで視界のほとんどが覆われるという体験を実現している。目のすぐ前にディスプレーがあるので、テレビやスマートフォンよりももっと高精細なものを用意しないと粗が目立ちやすいというわけだ。
現状、PC向けVRゴーグルである「Oculus Rift」や「HTC VIVE」の解像度は450ppi前後と言われている。iPhone 8が326ppi、iPhone Xが458ppi、GALAXY NOTE 8が515ppi、GALAXY S8+が529ppi……といった具合にスマホ並なわけだ。
そこで注目なのが、ジャパンディスプレイ(JDI)が新たに12日に開発を明らかにした3.6インチ/803ppiという高精細なVR専用液晶ディスプレイだ。JDIといえば、3.42インチで651ppiという低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイ(LTPS TFT-LCD)を今年11月に公表してすでに量産を始めている企業。このLTPS TFT-LCDで解像度をさらに高めたのが、今回の発表になる。
既存の3.4インチ/651ppiのタイプ。
新開発した803ppiとの比較。
論より証拠ということで、12日の記者発表会で撮影してきたテスト機の動画を見てほしい。
ゴーグル内の映像は、リアルタイムに生成した4Kサイズの3DCGとのこと。もちろんこの映像は撮影したものなので、肉眼の感じ方より若干劣るが、それでもビルの窓や柱の模様の部分が非常に精細なのがお分かりいただけるはずだ。
スペック表。
JDIでは、この3.6インチ/803ppiだけでなく、2.4インチ/1000ppiの製品も並行して手がけて2018年上期に開発を完了する予定とのこと。ゴーグル自体が普及に伴い、さらに小さくなるというトレンドを抑える狙いだ。開発の発表なので、すぐにこれらのディスプレーが製品に組み込まれるわけではないが、少し先の未来では「ちょっと前は網が見えてたんだよ」という会話ができそうだ。
高精細化のトレンドは自明。
それに合わせて2.4インチ/1000ppiの製品も並行して開発していく。
市場予測。市場調査会社によってばらつきがあるが、最新の2017年12月時点では、2021年には年間で900〜3300万台ほどハードが出荷されるものと予測されている。
JDIのロードマップ。部材の動きを見れば、最終製品のトレンドが掴みやすい。
(TEXT by Minoru Hirota)
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