「台北ゲームショウ2016」 SCE吉田氏が基調講演で「O! My Genesis VR」などPS VR新作を発表
1月28日、台湾・台北氏の国際貿易センターで台湾最大のゲームイベント「台北ゲームショウ2016」が開幕した。今年はB2BイベントとB2Cイベントが別れており、B2Bは29、29日、B2Cは29日〜2月2日まで開催される。
B2Bイベントではゲームタイトル展示のほか、「Asia Pacific Game Summit」と銘打ち、アジア内外の著名なゲーム開発者が多彩な内容の講演を行う。その基調講演では、ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオプレジデント(SCE WWS)の吉田修平氏が登壇。「VRが可能にする未来のゲーム」というテーマで、PlayStation VR(PS VR)がゲームの世界にどのようなインパクトを与えるかを熱弁した。
みんな大好き@yospさん。
最初にPS VRのプロモーションビデオを上映。そして20年前に起きたVRブームと今のVRムーブメントとの環境から見た大きな違いを3つ取り上げた。
1つ目はスマートフォンの普及により、VR向けヘッドマウントディスプレイに使われる部品の高性能化、低価格化が進んだこと。2つ目は、ゲームハードの性能が劇的に進んだこと。20年前はVGA 640×480ドット256色が主流だったが、今やフルHDは当たり前、さらには4K8Kの時代だ。3つ目は、Unreal EngineやUnityといったゲームエンジンが高機能化し、開発者に無償提供されたことでより誰でもVRコンテンツを作り出せることになったということだ。
で、SCEではいつ頃からVRへの取り組みを始めたか、という話になるが、それはなんと5年前の2010年にまで遡る。当時のSCE WWS所属のクリエイターは、市販のHMDにPlayStation Moveを複数個つけた実験機をつくり、これでゲームのVR化に着手した。
PS Moveベースの実験機。ちなみにPS Moveも吉田氏の主導で開発されている。
そのムーブメントが世界のWWS所属クリエイターに波及して、「PS4時代にはVR体験が現実のものになる!」と考えた吉田氏は、PS VRのプロジェクトを正式に立ち上げたそうだ。
ここでPS VRの説明が始まるのだが、すでに発表されている内容なのでここでは割愛する。
製品の特徴としてはPlayStation 4に接続することで、誰でも、簡単にVR体験ができること。PCベースのVRシステムよりも廉価でVR体験が楽しめること。
そして既存の開発ツールであるUnreal Engine 4やUnityを使えばVRコンテンツが開発できる、ということが語られた。
そして、台北ゲームショウ2016 B2Cイベントでは、台湾で初めて一般向けにPS VRの試遊が行われるのだが、なんと東京ゲームショウやPlayStation Experience 2015を越える40台というデモ機での試遊となる。タイトル数は16とのこと。
設営中のPS VRコーナーを上からパチリ。SCE台湾ブース全体の4分の1を占めている。
さらに、昨日開催されたSCE台湾のプレスカンファレンスでは3本のPS VRタイトルが発表された。
・XPEC「O! My Genesis VR」(仮称)
・Winking Entertainment「The Tell Tale Proect」(仮称)
・USERJOY「The Occasional Encounter」(TOE)
「O! My Genesis VR」を制作するXPECは、「ファイナルファンタジーXV」や「アンチャーテッド」シリーズなど、世界に名だたるゲームの開発協力はもちろん、PS向けの自社開発タイトルも多数手掛けている台湾の大手開発スタジオだ。そのXPECが早くもPS VRに参入する、というのは台湾国内外でも大きな話題となっている。その「O! My Genesis VR」が試遊できるというのもうれしい話だ。
台湾のスタジオが開発する3つのタイトルを紹介。「The Tall Tale Project」はSFアドベンチャー、「TOE」は台湾観光ソフト、とのこと。
「O! My Genesis VR」のクリップより。PS Moveで直感的に遊べるゴッドゲームの模様。
PANORAでも先日レポート記事を公開した映画「ザ・ウォーク」のデモや……
バーチャル旅行……
スポーツ観戦など、ゲーム以外にもVRの可能性を広げるコンテンツ例も披露した。
最後に、快適な体験と素晴らしいコンテンツでVRの世界はさらに拡がる、そして、VRは「百聞は一見にしかずならぬ百見は一体験にしかず」というメッセージを台湾のゲーム業界関係者に改めて披露し、基調講演は終了した。明日以降のB2CイベントでPS VRを初めて体験する台湾のゲーマーの反応にも注目したい。
(文/岩井省吾)
●関連リンク
・PlayStation VR
・台北ゲームショウ2016(英語)