フォトリアルな表現が強化!! Unity、バージョン5.4のパブリックベータを公開【GDC2016】
米国サンフランシスコにて開催しているゲーム開発者の祭典「GDC 2016」にて、現地時間3月16日にUnity Technologiesによるキーノートイベントが開催された。講演は、昨年同様、GDCメイン会場のすぐそばにあるIntercontinental Hotelのホールで行われ、100人以上の参加者であふれていた。
一番の発表としては、バージョン5.3.4、および5.4のパブリックベータが明らかになったこと。
YouTubeで公開されているキーノートの動画。2時間あるがUnity技術者なら要チェックだ。
キーノートではいくつかの新発表があったが、本稿では代表的な新機能、Affliateプログラム、Certificate プログラム、VRエディターのミニマップ——という4点を取り上げよう。
【1】代表的な新機能
2015年12月にAsset Storeで公開されていたCinematic Image Effects Pre-Releaseが強化され、より実写に近いリアルな表現が可能になった。キーノートでは、Unity Technologiesが作ったショートムービーを紹介し、その後、ムービーを作成したときのUnityプロジェクトを元に個別のエフェクトを紹介していた。どんな機能なのかは別の記事にて報告したい。
バージョン5.4で強化されたフォトリアリスティックな表現の比較。写真ではよくわかりにくいので、ぜひ下の動画をチェックしてみよう。
新しく披露されたデモの「Adam」。主人公が機械の体に改造されてしまったことに気づいて、改造ルームから逃亡をはかるものの……というストーリー。こちらも詳細は動画でチェック。
また「Progressive Lightmapper」という機能がUnity5.4にて実験的に追加された。これはライトマップの機能強化であり、動的なライトマップ生成が可能になった。
これまでは、光源を移動させ、ベイクを行うことでライトマップを生成していたが、Progressive Lightmapperを使うと、シーン実行中にライトオブジェクトを移動させるだけで、その場でlight map生成を開始することができる。ただし、ライブデモでは光源を動かした後でベイクの再実行処理が始まっていたので、light mapの生成自体を軽くするものではないことには注意されたい。
【2】アフィリエイトプログラム
詳細な開始時期は明らかになってないが、アセットストアでアフィリエイトがスタートする。
【3】Certificate プログラム
Unityを使って何ができるのか、をUnity Technologiesが証明してくれる資格制度がスタートする。スキルの種類によって、プログラム、デザイン、テストなどの資格に分かれており、エンジニアは、自分がUnityを使って何ができるのかを資格によって証明できるというメリットがある。
すでにGDC期間中に試験が開始しており、事前申し込みして250ドルでテストを受けることが可能だ。制限時間が90分で全部で100問が用意されているので、かなりハードな試験であることが予想される。
Unityサーティファイドデベロッパー。スライド左上にユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの大前さんが!
【4】VRエディター
今年2月にロサンゼルスにて開催された「Vision VR/AR Summit」にて初公開した、Oculus Touchを使って直感的にVRコンテンツを制作していけるという機能(関連記事)。今回のライブデモでは、新たにミニマップが表示されていた。今までは全体を俯瞰しにくいという不便さがあったが、フィールド全体を表示できるミニマップを用意することで、ほかのオブジェクトと比較しながらの配置、拡大/縮小などがやりやすくなった。
ミニマップのオブジェクトを動かすと、実際のオブジェクトに反映される。手元を見ながらVR内でのシーン構築が可能になるので、より使いやすくなったと思われる。
Unity Technologies は2月のVision Summitに引き続き3月のGDCでも新発表を行っており、同社が機能やサービス強化を加速していることがうかがえるアフィリエイトやサーティファイドが始まることで、Unityを使う人がさらに増えそうだ。
(TEXT by Minoru Hirota)
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・Unityテクノロジーズジャパン