VTuberと一緒にインドネシア国歌斉唱で感動! キズナアイ、シロ、マヤ・プトゥリ出演「C3AFA」レポート
バーチャルYouTuber(VTuber)のムーブメントは日本を中心に巻き起こっているが、最近ではその熱気を海外に伝えようとする動きも出ている。また、海外発のVTuberも生まれて来ている現状だ。
8月31日〜9月2日には、シンガポールに本社を置くSozoが2012年より開催している日本のアニメなどを中心としたポップカルチャーイベント「C3 Anime Festival Asia(C3AFA) Jakarta 2018」にて、キズナアイちゃんや電脳少女シロちゃん、Maya Putri(マヤ・プトゥリ)(@mayaputriid)ちゃんといったVTuberが出演していた。現地はどんな様子だったのか。インドネシア在住のSoraさんにレポートしてもらう。
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アイちゃんの「ぴょこぴょこ」をつけて歩く人もいた展示会場
初めまして! インドネシア在住でVTuber文化の普及を観測しているSora(@bakso_tikus)と申します。
PANORAには初寄稿となりますが、今回は東南アジアで最初のイベントとなったキズナアイちゃんとシロちゃん、そしてインドネシア初の企業系、マヤ・プトゥリちゃんのステージの様子を中心に、イベントの様子をたっぷりとお伝えします。
「そもそもインドネシアでVTuberの存在が知られているの?」と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、過去にはAFAの主催であるSozoの別イベントにて輝夜月ちゃんがイベントに参加していました。インドネシア国内でも個人クリエイターや後述の企業系VTuberが出てきており、今後大きな可能性を秘めている注目すべき国のひとつであることを強調しておきます。
C3AFAジャカルタ自体は、地元のポップカルチャー愛好家たちが集まるインドネシア国内最大級のイベントのひとつで、ソニーミュージック所属の声優や歌手などによるライブ、I♡anisongなどが中心として企画されています。ちなみにC3AFAジャカルタの開催は今年で最後とのこと。まずは会場の様子の写真をいくつか見ていきましょう。
入口の様子はこんな感じ。
2日目となる土曜日は開場前から行列ができていました。
中に入ると、日系公式ブースやローカルクリエイターによる同人グッズ販売、ゲーム会場など様々なブースが広がっています。
来場者たちは各々の目的地以外にも会場をゆっくりまわって、その雰囲気を楽しんでいるようでした。
日本からのゲームの試遊コーナー。始めて触る人から、見物客の山を作るほどのハイレベルなゲーマーが来ていました。
バンダイナムコのブースではガンプラの販売・展示。男性客のみならず女性客もグラスボックスの向こうのプラモの一生懸命を写真を撮っていました。
ポプテピピックの特設ブースもあり、来場者はポプ子とピピ美との写真や落書きを楽しんでいます。
日本のコンテンツがインドネシアでも同様に楽しまれているのは嬉しいですね。
さてさて、お次はVTuberのブースのご紹介。upd8のブースでは、事前に特定のツイートをリツイートするだけで「ぴょこぴょこ」(アイちゃんのシンボルマークであるカチューシャ)が当たるくじを引けるキャンペーン。当たった人、外れてしまった人、悲喜こもごもですが、会場内ではこのぴょこぴょこを付けて歩く人をよく見かけました。
YouTubeの再生UIをイメージしたアイちゃんと一緒に写真を撮る来場者。
筆者は大好きなVTuberがたくさんいますが、その中でも虹川ラキちゃんの動画がインドネシアで流れたのは「とうとう来たか!」と本心から嬉しかったです。
アイちゃんの物販も順調で、1枚47万ルピア(日本円で約3600円強)という少々高めかと思われた値段設定のTシャツも2日目のお昼で売り切れてしました。
こちらはメインステージ前にあったマヤ・プトゥリちゃんのブース。インドネシアのソロという地方都市カラーを意識したパーティションの前で一緒に写真を撮り、くじを引くと彼女のポスターが手に入るキャンペーンをしていました。
活動開始から2週間足らずでのイベントデビュー、しかも動画は自己紹介の一本のみにも関わらず認知度は高いようで、写真を撮り合う人で盛り上がっていました。この様子はInstagramの#Mayaputri_AFAでチェックできます。
質問タイムで直接お話しできるのが嬉しい!
会場にはゲームステージ、AKIBAステージ、Dayステージという3つのステージがありましたが、このうちMayaちゃん、アイちゃん、シロちゃんの3人がAKIBAステージ、アイちゃんはさらにDayステージと、3日を通じてVTuberがステージ出演するという大変豪華なイベントでした。
●1日目
15:10~ マヤ・プトゥリ(AKIBA STAGE)
●2日目
12:00~ キズナアイ(AKIBA STAGE)
13:30~ キズナアイ(DAY STAGE)
14:30~ マヤ・プトゥリ(AKIBA STAGE)
●3日目
11:00~ マヤ・プトゥリ(AKIBA STAGE)
15:30~ シロ(AKIBA STAGE)
*時間は現地時間、日本からの時差はマイナス2時間。
順を追ってステージの様子を見て行きましょう。Maya Putriちゃんの3日間にわたるステージの様子をダイジェスト動画にしてみました。
実はインドネシアの視聴者から「あまりにも声が可愛すぎるし、発音がインドネシア人っぽくない。中身は日本人なのでは?」という疑惑があったマヤちゃん。MCから「ジャワ語はしゃべれますか?」という質問に対し、「もちろんできますよ」とさっと話すと、私の後ろで見ていたファンから喜びの声が上がっていました(笑)。特に最後の国会斉唱はインドネシアのファンをガッシリと掴んだようで、マヤちゃんもファンたちも本当に楽しそうなほっこりとしたステージとなっていました。
Mayaちゃんは初投稿からわずか2週間程度であるにも関わらず、その自己紹介動画が執筆時点で15万再生、1万3000以上の高評価、日本語も含む6200以上のコメントを得るという驚異的な記録を出して、今も数字を更新しています。今後はゲーム実況やメインコンテンツである歌動画で日本やインドネシアのメジャーな曲をカバーしていき、生放送もしていきたいとのこと。要チェックですね。
2日目は皆が心待ちにしていたキズナアイちゃんのステージでした。最初のAKIBAステージではMCと通訳との会話。実際にスクリーンに姿を表すと、現地のKIZUNERのみんながアイちゃん名前を絶叫し、大歓声を上げていました。
そして流暢なインドネシア語でさらっと自己紹介をするアイちゃん。「インドネシアの皆さん、よろしくお願いします!」という挨拶に全員がまた歓声で応えて、すぐに会場は一つになりました。この間、筆者は最前列で見ていましたが、ぴょこぴょこを付けたKIZUNERが次々と押し寄せて、今では懐かしい日本の満員電車を思い出しました(笑)
最初にMCから振られたのは「アイちゃんからお客さんに質問はありますか?」という話。アイちゃんが「私を待っていた人?」と会場に呼びかけると、全員が手をあげるという事態に。さらにアイちゃんが「覚えてきたインドネシア語がある」というフリで、「Aku sayang kamu (愛してます)」という言葉をファンに投げかけると、会場から悲鳴に近い喜びの声が上がっていました。その後、一度は音声トラブルによりやり直したものの、ファンからも全員で「Aku saying kamu Ai-chan(アイちゃん愛してます!)」と思いの丈を返していました。
続けて、MCが「何か質問がある人?」と聞いて、アイちゃんが挙手したファンを指名する方式に。最初はアニメ働く細胞の血小板ちゃんのコスプレをした女の子で、アイちゃんが「あ、血小板ちゃん!あのねあのね!」と反応。レアな言葉に会場は盛り上がりました。
「インドネシアのどんなところが好きですか?」という質問には、「みんな温厚で寛容で、困っている人を助ける国民性と聞きました。そんなところが素敵だなって思いました」とコメント。会場からは拍手がわきます。「いつ月ちゃん(輝夜月ちゃん)とコラボするの?」という問いには、「いつになるかはわかりませんが、いつかお見せできるように頑張ります!」と返答して、会場を湧かせていました。
「誰も来てくれなかったらどうしようと思ったけど、皆来てくれてうれしかったです!またインドネシアに来れるように頑張ります!」との温かいコメント。その後デイステージでのイベントでは、今か今かと待ちきれないファンにより、立見席が溢れかえり運営から注意が出るほどでした。筆者の肌感覚では2000人はいたでしょうか。
そんなステージの様子を地元メディア「DOKI-DOKI STATION」がFacebookに投稿していました。掲載許可をいただいたので、ぜひリンク先でチェックしてみてください。
自己紹介から始まり、彼女のオリジナル曲「Hello, Morning」のサビが流れます。会場の皆から「Aku cinta kamu AI-chan!(アイちゃん愛してる!)」という呼びかけもあり、一気にボルテージが上がる会場。石・ハサミ・紙ではなくヒト・象・アリを指で表すインドネシア式のじゃんけんもしっかりと遊んで大いに盛り上がりました。
最終日は、シロちゃんからインドネシアのシロ組に向けた感謝のメッセージからスタート。
オープニングは過去の英語版動画のダイジェストから。シロ組のみなさんならピンとくる「ためになる動画」ばかりだったので、「これはあの動画だ!」と熱く語り合っています。「こんにちは!シロです!」といういつもの挨拶があると、客席からは絶叫に近いレスポンスが上がっていました。ほかにもクイズや日本に来たときに使える日本語を教えるコーナーなどを実施。
最後に改めて8月12日にシロちゃんの活動が1周年を迎え、応援してくれるファンがいることに感謝を伝え、「こんな大きなイベント会場でみんなと出会えて本当に嬉しくて、こんなに幸せでいいのかなって思います」と語ると、シロちゃんのピュアさにファンがメロメロになっていました。
最後は「みんなで歌おう!」ということでGARNiDELiAの「極楽浄土」が流れると、何人かのファンが機敏に反応し、イントロを一緒に歌いだします。VTuber本人だけでなく、音楽なども併せて様々なコンテンツがインドネシアでも親しまれていることを再実感しました。
インドネシアのVTuberはまだまだ数が少ないものの、驚くことにこの記事を作成している瞬間にも新しいVTuberが誕生していたり、今後の展開に目が離せないホットな国の一つになっています。今後も日本のVTuberがどんどんインドネシアに来てくれることを楽しみにしています!!
(TEXT by Sora)
●関連リンク
・C3AFA
・キズナアイ(YouTube)
・電脳少女シロ(YouTube)
・Maya Putri(YouTube)