VTuberが声優&歌手デビュー! avex松村P・SHOWROOM前田社長に聞く「賢者の孫」オーディションの魅力

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昨年12月以降、ネットで一気に注目を集めているバーチャルYouTuber(VTuber)。9月には5000人を超えたというニュースもあるぐらいに個人・企業の参加が相次ぎ、新しいVTuberの「魂の人」を募集するオーディションも増えてきた。

一方で、すでにVTuberとして活動をしている人が、次のステップに踏み出すためのチャンスはまだそう多くない。そこで注目してほしいのが、エイベックス・ピクチャーズとSHOWROOMが共同で開催している「女性バーチャルタレント限定オーディション」。PANORAでもニュースとしてお伝えしたので、要点をかいつまむと

・来春放送予定のTVアニメ「賢者の孫」でエンディング曲を歌唱
・エンディング曲はElements Gardenが担当
・しかもグループではなくソロで歌える
・さらに声優として本編にも出演

……と、勝ち抜くことでとんでもなく大きな特典がもらえるわけだ。声優やアニソンシンガーを目指している方なら「地上波アニメ出演&ED曲担当」という肩書はぜひとも手に入れたいものだろう。

 
*オーディションの詳細・参加はこちらから! → https://www.showroom-live.com/event/anime_kenjanomago_pre

 

そもそもエイベックス・ピクチャーズとSHOWROOMは、なぜこんな企画を始めたのか。エイベックス・ピクチャーズでアニメ「賢者の孫」を手がける音楽プロデューサーの松村一人氏(写真右)、SHOWROOMの代表取締役社長である前田裕二氏(写真左)にお話を聞いてみると、両社のVTuberにかける想いが浮かび上がってきた(以下、敬称略)。

 
●賢者の孫とは
吉岡剛氏によるファンタジー小説。小説投稿サイト「小説家になろう」への投稿から注目を集め、2015年、KADOKAWAのファミ通文庫より単行本化され、2018年9月時点でシリーズ累計150万部を突破する。同じKADOKAWAのウェブ漫画サイト「ヤングエースUP」でもコミック版が連載されている。

(あらすじ)事故死したはずの青年が、なんと赤ん坊として異世界に転生!? そして「賢者」と呼ばれる男に拾われ、「シン」と名付けられる。賢者のもとで魔法を教わり、すくすくと成長するシンだったが、彼には一つ致命的な問題が……!?

 

早期の注目でキズナアイの声優出演も実現

──なぜTVアニメ「賢者の孫」でVTuberオーディションをすることになったのでしょうか?

松村 その理由は2つあって、やはりアニメに注目してもらえる仕掛けがほしかったのと、視聴者も含めてみんなでこの作品をつくりたかったからです。

僕らのエイベックスピクチャーズは、主にアニメを製作している会社ですが、今や深夜にテレビをつけるとアニメばかりで、1クールで100本以上も放送されている状況です。そんな量になると視聴者に興味を持ってもらうのもなかなか難しく、トリッキーな取り組みができないかなと常に考えています。実は以前にキズナアイちゃんや富士葵ちゃんに声優として出演していただいたんです。

 
──早い段階でVTuberをテレビアニメの大舞台に起用した仕掛け人だったんですね。

松村 そのコラボでアニメファンとはまた違う方々に注目してもらえた推進力を感じて、ぜひまたVTuberさんと組みたいなというのが1点。あとはこのオーディションをやることで、もっとアニメ「賢者の孫」を身近に感じてほしかったんです。

もともと「賢者の孫」という作品は「小説家になろう」発で、「なろう系」と言われていたりします。小説家になりたい人たちが物語を書いて、そこから本が生まれて、アニメになったという経緯があるので、今回の「声優になりましょう」「アーティストになりましょう」というオーディションも作品の趣旨にあっている。KADOKAWAのプロデューサーさんにも、田村正文監督にも、製作委員会にも「面白い」といっていただけたので、実現することができました。

 
──確かに「なろう」というのはぴったりなテーマです。しかし、それにしてもエンディング曲を手がけるのがElements Gardenというのは……あまりに豪華すぎやしませんか!?

松村 Elements Gardenさんとはもともと別の仕事でご一緒させていただいたのですが、そのときに驚いたのが、作品に対しての理解度と解釈がすさまじく速いことです。前作もちょっとトリッキーで、主人公の友達に好きなアイドルの子がいて、そのアイドルの子が歌っている楽曲を主人公がカラオケで歌うっていうフォーマットでしたが、見事にぴったりな曲に仕上げていただき、作品内でも大いに話題になりました。「賢者の孫」でも誰がオーディションを勝ち抜くのかわかりませんが、キャラクターにぴったりな楽曲をつくってくれるはずで、今から非常に楽しみです。

 
──ひょっとしたらVTuberの個性も入るような曲になるかも?

松村 はい、そうしたいですね。

 
──それって、ものすごい話じゃないですか? だって声優さんですら、相当大物にならないと個性を反映した曲がアニメで流れるなんてことはないでしょうし。

松村 そこは完成してからのお楽しみです。ともあれ、まずみなさんにオーディションに参加していただけないと始まらないので、ぜひご応募くださいね。

 

実は4年越しの悲願だったSHOWROOMのVTuber

──SHOWROOMとして、このオーディションをやる意義は何なのでしょうか?

前田 大枠で言うと、エイベックスの松浦さん(松浦勝人会長)とお会いしていろいろお話しする中で、特徴の異なる両社の強みを掛け合わせて新しい挑戦をしていこうという話があり、そのときに3つ大きな方向性を出しました。

 
──3つと言われると?

前田 1つ目は、「集中から分散へ」というテーマです。いわゆる浜崎あゆみさんや安室奈美恵さんのように1人に膨大なファンがついているタレントではなく、100人が絶対的な好意を持っているタレントを無数につくるという話になります。1人に100万人ファンをつける集中型エンタメ事業の難易度は上がる一方で、100人の強力なファンがいるタレント1万人を抱える分散型ビジネスは、市場自体がこれからどんどん盛り上がる。僕は「スナック型」とよく表現していますが、SHOWROOMはその分散型が得意なので、この領域で勝負しましょうというのが、1本目の柱です。

2本目はライブコマースです。1本目とも通じるのですが、100万人、1000万人が見るようなマスメディアで一斉に訴求すればモノが売れるというゲームのルールが変わってきている。当然このマス市場が消えるわけではないですが、新たにニッチコミュニティーの集合体が経済的価値を持ち、新市場として立ち上がっていくことは誰が見ても自明です。つまり、これからは、「絶対に買ってくれる100人のファン」を持つタレントをたくさん抱えるプレイヤーが優位に立っていく。であれば、エイベックスさんもそこで一緒に新しいモノの売り方を発明していきましょう、というのが2つ目です。

3本目がVR。昨年、キズナアイちゃんが出たての頃に、「これはすごい事になる。エンタメが変わるとかじゃなくて、時代すら塗り替えるかもしれない」と熱く語りました。SHOWROOMはバーチャルキャラクターも配信できるプラットホームなので、一緒に1つのマネタイズの場として機能させていこうという話をしました。ここに強烈に関心を持っていただき、今回のコラボレーションにも繋がっています。

 
──だから1月の時点で東雲めぐちゃんのオーディションを始めるなど、かなり早いタイミングからVTuber業界に強く関わってきたんですね。

前田 まさに。でも多分誰もご存知じゃないと思うんですけど、僕らは4年前にすでに「こちら娘島高等学校ほーそお部」という企画で、2体のバーチャルキャラクターを生放送で出演させていまして。早過ぎたんですけど。

 
──ええっ!!!

前田 2014年3月スタートなので、4年早かったという。声優さんを起用して、モーションキャプチャーでリアルタイムに動きをとって……。

 
──まさに今のVTuberの先駆けじゃないですか! じゃあSHOWROOMにある「バーチャル」カテゴリーは、4年越しの想いということでしょうか?

前田 はい、 僕たちからしたら悲願というか、本当にずっとやりたかったことで、ようやく今年になって潮目がちょっと見えてきた。市場ができてきたんですね。自分がいちバーチャルタレントで、じゃあどうやってこの活動を仕事につなげていこうかと考えたときに、今までは収益を生む場や機会が少な過ぎたんです。でもこれからは、配信活動を通じた課金や広告でちゃんとマネタイズしていける。そういった、バーチャルタレントが、バーチャルタレントとして生きていくことを全力で支えるプラットフォームになっていこうと思います。

 
──アツい想いですね……。

前田 先天性による制約を排除して、後天的に可能性が発揮でき努力が報われるという、僕らの企業理念に完全に合致した事業なので、本当に燃え上がっています。それにSHOWROOMはプラットフォームであり、マネジメントに特化したエイベックスさんと組むことで、きれいにビジネスの棲み分けができるとも思いました。「賢者の孫」オーディションの話にも通じますが、エイベックス・ピクチャーズさんのようなアニメという「出口」もあるわけで、それをフックに「中の人」のモチベーションをうまく保ちながら、強いVTuberを育てていけると思います。

 
──といわれると?

前田 特に女性のVTuberは、世界観や設定も当然大事なのですが、それ以上に、中にいる「魂の人」の個性そのものが、人気を大きく左右する変数として重要です。つまり、個性がある面白い人をこの領域に大勢連れてくることがVTuber業界の成長と成功確度の引き上げにつながるわけで、そのためには今回のオーディションのような強いフックが必要なんです。

これからは声優になる夢を叶えるために、事務所に所属して何年か鍛錬を積んでからようやく作品に出るというのではなく、VTuber経由で、むしろVTuberとして声優になれるんだ、ということに気づいて、キャリアをそっちにシフトする演者さんも出てくると思います。長期的にはそんなキャリアシフトをたくさん起こして、スターの生まれ方を再定義していきたい。

また、活動を始めたばかりのVTuberの方々がファンとオーディションに合格するという同じ目的を共有することは、大変に意味があることだと思っています。なぜなら、この過程自体がファンとの絆を深めるきっかけになるからです。 仮に大きな作品に出れずとも、こうしたプロセスの中でファンをしっかりつけていけば、バーチャル配信活動で生きていけるようになる。まさに今大きく伸びゆく分散型市場の中で、小さくてもきちんとファンをつけて経済圏が成り立つVTuberは沢山出てくると思います。

 
──めちゃくちゃVTuber業界のことを考えていますね。

前田 はい。VTuberになれば、現実世界で僕らが感じているコンプレックスや障害などの制約を乗り越えて、個性を思い切り表現できる。そこに1番可能性を感じています。

 

演技がうまいだけではない、一芸を持つ才能を求む!

── 松村さんはVTuberについて思われることはありますか?

松村 個人的にVTuberの可能性を感じているのは、1人のタレントが複数キャラを持てる点です。普通のタレントには、やはりキャラクターイメージがあって、歌や演技、ダンスなど、これで売っていきたいという部分があると思います。一方で、本当は趣味でラップが好きだったりするのに、イメージが崩れるからとその才能を披露できないこともある。VTuberなら、その裏の顔を見せられるわけです。要は今までは1人1キャラでしたが、別にこれからの時代は2キャラ、3キャラと得意分野があるだけ深掘りしていけば、新しい人気が出る可能性がある。

今まで何度も声優オーディションをやってきましたが、そのときはやはりキャラにきちんと入っていけるかという1点で選んでいました。でも今回は、それ以外の部分の才能を持っている人たちが出てきたら楽しいだろうなと考えています。

 
──従来の声優オーディションとは微妙に違うような感じ?

松村 そうですね。通常は声がいいとか、キャラクターに合っているとか、歌がうまいとかで選考しますが、VTuberでは即興性や返し、アドリブが重要になってきますよね。あとはニッチであるけれども、深いところまで入っていける人ですね。

 
──ほかにも「こんな人に応募してほしい」という話はありますか?

松村 趣味がある人が来てほしいです。普通の方だと、普通にオーディションで受かって、普通に声優として馴染んで、普通に歌を歌う……という感じになっていくと思うので、変わった一芸を持ってると目立てると思います。といっても「中の人」が顔出しするわけではないので、キャラも立ちつつ、1個特技がある。そんな人にぜひ応募してほしいです。

 
──それは有名、無名関係なく?

松村 もちろん!

 
──前田さんの話にもありましたが、本当に広く才能を引き込もうとしているんですね。逆に言うと業界慣れしていない方も大勢来そうで、結構大変そうですが。

松村 でも楽しみにしています。いつもお仕事させていただいている声優さん方は養成学校でしっかり基礎を学ばれている方が多くて、こういうシーンではこんなトーンで喋るというベースが出来上がっているのですが、こうした機会に、まったく異なった、「光るもの」がある人たちとぜひお会いしたい。なりたいものにすぐになれるのがVTuberのメリットですし。

 
──ちなみに年齢制限はあるんですか?

松村 年齢制限は今はつけていないですね(15歳未満は5〜20時、16歳未満は5〜21時、18歳未満は5〜22時という放送時間の制限はあり)。

 
──おー! ではクラスでちょっと人気な一芸を持った中高生とかが応募してきて、面白いからファンがついて、意外とオーディションに通っちゃうかもしれない。 

松村 そうですね。最終的には一応適正審査もありますが……。ともあれ、これから生収録だったり、実写との融合だったりと、アニメでもVTuberが活躍する場が増えていくと思います。ぜひSHOWROOMにてエントリーして、オーディションに参加してください。

 
*オーディションの詳細・参加はこちらから! → https://www.showroom-live.com/event/anime_kenjanomago_pre

 
 
(TEXT by Minoru Hirota

 
 
●関連リンク
【予選/バーチャル限定】TVアニメ『賢者の孫』エンディング曲&声優デビューオーディション
TVアニメ賢者の孫 公式サイト
エイベックス・ピクチャーズ
SHOWROOM

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