香港産Webカメラモーキャプ「AniLive 动互播」β版レビュー クロマキー合成いらずで手軽に配信
2月21日、香港のベンチャー企業であるNoble Fortune DevelopmentはSteamでアーリーアクセスとして販売予定の「AniLive 动互播(以下、AniLive)」のベータ版をFacebook上で配布開始した(関連記事:香港産Webカメラモーキャプソフト「AniLive 动互播」、Facebookにてベータ版無料配布)。
現在はまだSteam上のアーリーアクセスで販売開始されておらず、AniLiveのFacebookアカウントにベータテストを希望するメッセージを送っても返事が来るとは限らない状況だ。
今回は筆者が開発元のNoble Fortune Development(以下、NFDと表記)にFacebook上でコンタクトを試みた結果、NFDからベータ版のSteamキー送ってもらえた。そこでAniLiveのベータ版を触ってみた感想をお届けしたいと思う。
そもそもAniLiveとはなんなのか?
AniLiveはWebカメラの映像から配信者の顔を認識してアバターに表情をリアルタイムで反映させ、配信者がキャラクターになりきるソフトだ。同ジャンルのソフトは同じくSteamで配信されているFaceRigが有名だが、AniLiveはどういった特徴があるのだろうか?
まずは全体的な操作説明からだ。起動するとタイトル画面から始まる。右から順に、PLAYでソフト起動と同時にWebカメラでユーザーの顔をキャリブレーションを開始。Settingではグラフィックやショートカットキーの配置など各種設定を行う。TutorialはAniLive公式サイトのPDFのチュートリアルへ、ContactはFacebookやSteam、メールなど。NewsはAniLiveのSteamストアのニュースページにリンクしている。
PLAYを開始するとまずはユーザの顔のキャリブレーションから始まる。10秒ぐらいで終わるので煩わしさは感じない。メガネを着用したままでも問題はないが、前髪が長いとうまく反応してくれないことがあるのでキャリブレーション時のみ前髪を手で上げたり帽子をかぶって固定するなど対策をするとよい。
基本的には左側と右側のメニューを使う。左側は上からアバターの選択、Webカメラの映像の表示、キャリブレーション、カメラの静的・動的の選択、設定。右側は上からマイク、録画、スクリーンショット、アバターの映像単体の出力、表情固定だ。メニューは隠すこともできる。右上の家の形をしたアイコンでタイトル画面に戻る。
ちなみに、Twitter上でAniLiveについて「何度録画ボタンを押しても録画ができない」という報告があったが、筆者の環境では無事録画できることを確認した。テスターごとのバージョンの違いなどを把握することはできないので、詳細は不明だ。
また、アバターのエモーションや背景、カメラの状態はキーボードから入力することができる。背景の選択はキーボードだけでなく通常画面に専用のボタンが欲しかったところだ。設定でそれぞれキーの配置をエディット可能だが、USキーボード仕様なので一部キー配置が日本語のキーと一致しないことに注意しよう。
また、アバターのエモーションはキーボードだけでなく画面下のメニューバーでも選択可能。筆者としてはこちらの方が使い勝手がよくてわかりやすいが、動画撮影時や配信時にはスピードの差で没入感を削がないためにもキーボードが良いだろう。なお、テンキーにはすでにアバターの切り替えという役割が当てられていた。
3D空間内のカメラの操作について、マウスの左クリックで回転、ホイールで拡大・縮小、ホイールの押し込みでカメラの上下左右スライドだ。Altキーなどを押しながら操作する必要はない。また、3DCG空間内ではキーボードの矢印キーでアバターを前後左右に移動させることができる。
ちなみにAniLiveはUnity製であり、この教室もUnityAssetStoreで購入されたものだ(VRChatでこの教室に入ったことがある人も多いのでは?)。UnityAssetStoreで購入された日本の学校風の背景は教室、廊下、玄関、階段の4種類程度であり、ベータ版で用意されたアバター2体のいずれも東アジア好みのアニメ風キャラクターなので、AniLiveのターゲット層はアニメファンだということなのだろうか(カートゥーン風やクリーチャーっぽいアバターもある)。
クロマキー合成いらずでかんたん撮影
筆者が感じたAniLiveの大きなポイントは「背景が透明な映像を出力できるので、別途クロマキー合成する必要がない」ことだ。画面右のメニューの下から2番目にある、人が走っているようなアイコンのボタンをクリックすると背景が透明かつウィンドウ枠もないアバター単体の映像が出力され、そのままマウスで移動させることができる。
通常、2つ以上の映像を合成するには片方の映像(人物を映している側)では背景を単色(青色や緑色の場合が多く、BBやGBと呼ばれる)にしたものを用意した上で映像加工・配信用ソフトで特定の色を透明にするクロマキー合成するがある。
実写の場合では高性能なWebカメラは人間のみを抽出して背景をカットした上で合成してくれる機能があるが、FaceRigなどの3DCGアバター系ではそういった機能はなかった。しかし、AniLiveでは背景が透明な映像をウィンドウ枠なしでデスクトップ上に出力してくれるので映像を別途合成・加工する必要がない。この機能はAniLiveにとって強力な武器となること間違いなしだ。
次回の記事では、開発元のNFDへ行ったメールインタビューを掲載したいと思う。ただいま準備中なのでしばしお待ちいただきたい。
(TEXT by ぱソんこ/編集:花茂未来)
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