「これは未来だね!」 Anime Expo会場で聞いた「なごみの耳かきVR」海外の反応

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エイシスはスマートフォン向け無料VRアプリ「なごみの耳かきVR」を、7月1〜4日(日本時間7月2〜5日)に米ロサンゼルスで開催した米国最大のアニメイベント「ANIME EXPO 2016」(以下、AX)に出展した。日本でも、4月の「ニコニコ超会議」の展示で話題となったVRコンテンツの海外初進出となる。

 
昨今のVRブームの中心地である北米において「ジャパニーズVRコンテンツ」は、どう受け止められたのか。そして「耳かき文化」がない米国で、バイノーラル音声を使った耳かき体験は、どんな印象を持たれたのだろうか。PANORAは、現地に特派員を派遣してエイシスの開発グループでディレクターを務める南将貴氏に直撃インタビューした。

 
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エイシスの南氏。

 

AX出展のために英語化もはたしたなごみの耳かきVR。

 

VRなら未体験の「文化」や「モノ」も伝えられる

──早速ですが、「なごみの耳かき」は日本ではすでにリリースをされていますが、海外初の出展を米国に選んだ理由はなんでしょうか?

 
現在、私たちDLsite.comは、米国でVRを扱うImagine VRさんと作品の開発サポートを行なっていく提携をさせていただいています。日本で開発したゲームを海外に輸出する、また、海外で開発したゲームを日本に輸入するといった、VR作品のストアの提携も行っています。弊社の扱う作品をこれから海外に展開をしていくなかで、今回のAXという場がターゲットも合っていますので、出展することにしました。

 
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Imagine VRは、先日発表したVR向けオリジナルキャラクターシリーズ「ImagineGirls」の第一弾となるIrisを使ったデモを展示していた。

 
──なぜ展示するVRコンテンツとして本作を選ばれたのでしょうか。

 
弊社エイシスが運営している同人作品や電子書籍を販売しているDLsite.comで、いわゆるドラマCDのような「音声作品」というジャンルがあります。

 
そのジャンルの中で、美少女に耳かきをしてもらうというテーマの作品の人気が高く、この音声のコンテンツのみならず、VRという新しいテクノロジーを融合させてみようというのがきっかけです。

 
日本でも、「ニコニコ超会議」というイベントで、和室を組ませてもらい、弊社でブース出展をしたのが、今回の「なごみの耳かき」の初お目見えとなりました。DLsite.comでは、この作品のみならず、今後VRを使用する作品を扱っていきたいという思いがあります。

 
しかし、日本のアマチュアクリエーターさんたちは、VRでどのような作品がつくれるのか、どのように扱えば良いのかまだわからないところもあります。

 
そこで、「美少女」と「VR」を組み合わせたらどのような作品が作れるのかというモデルケースとして、ひとつ技術デモになるような作品となるものを自社開発することになり、あえて、ステレオタイプのものを選びました。

 
──なるほど、耳かきは日本では馴染みのある文化ですが、米国には耳かきという文化がありません。そんな米国で体験した人の反応を見てどう思いますか?

 
はい、米国に耳かきの文化がないのはわかっていまして、この作品が現地で受け入れられのか、どのような反応になるのかは、未知数でした。しかし、AXの初日からブースがオープンしている時間中、ありがたいことに最後まで体験者の列が途切れることがありませんでした。

 
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行列が絶えなかった。

 
──それは大反響ですね!現地でもとても反応がよかったんですね!

 
はい。体験した方に作品の感想を聞きますと、「これは未来だね!」という感想を言っていただけることが多くて、それなりの手応えを感じました。

 
──私もブースの様子を見ていましたが、体験者が最初は「これはなんだろう」と不思議そうな顔でゴーグルをつけて、デモが始まるとだんだん頬が緩んできているのが興味深かったです。

 
はい、私たちも驚いたのですが、日本も米国も、作品の狙いに対しての反応は全く変わらないです。

 
──AXはアニメファンの人たちも多いので、すんなり受け入れやすかったのかもしれないですね。

 
たしかに、それもあるかもしれませんが、なによりも米国の方は「新しいもの好き」の方々が多いと思います。参加者の方々が私たちのブースの前を通ると、まずは「なんだろう?」という反応があって、そして実際に体験してみて、喜んで帰られるという流れは日米まったく変わらないのです。

 
ただ、「耳かき」というものが米国にはないので、「これは一体なんだろう?」という点では米国の方々は好奇心が強いのかもしれません。

 
──では、日米でここは反応が違うなと思った点はありましたか?

 
米国は体験者の男女比率が半々だったことです。日本では、男性の方が多かったので、これは面白い特徴なのかなと思いました。現在は、美少女に耳かきをされるバージョンだけなのですが、体験した女性から「イケメン男性に耳かきをしてもらえるバージョンを作ってくれないか?」という反応を早くもいただきました。

 
どうして、男女半々になったのかはまだはっきりとはわからないのですが、こう言ったVRコンテンツでも、男女ともに米国にすんなり受け入れられているのを感じました。

 
──今回の出展で、今後制作される作品のアイディアになりそうなものは得られましたか?

 
VRのいちばんの特徴は、「体験すること」「没入すること」です。今回の耳かきも米国にはないものですので、その人が体験をしたことがない「文化」や「モノ」を提供できれば、海外でも反応はあるのかなと思いました。

 
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──米国ではすでにVRのエンターテイメント進んでいますので、DLsite.comさんでも、今後米国から日本にも輸出される作品の量やジャンルの幅も増えていきますか?

 
すでにImagine VRさんで集めた米国の作品をDLsite.comのほうで販売するフローができあがっています。米国ではVRの技術力や文化が進んでいますし、認知もされていて、インディーでVRの作品をつくってる方も多く、ImagineVRさんに米国の代理人になっていただいて、作品を集めていただいております。

 
その収集した作品を日本ではDLsite.comでも展開して、また、DLsite.comの方でも日本の作品をImagineVRさんに提供して、日米の交流になればと考えていますが、私たちはオタクな方々をターゲットにしているという特徴がありますので、作品はそう言ったジャンルにあえて限っています。

 
──今後も美少女やイメケンが出てくる作品が展開されていくということですか?

 
はい、私たちDLsite.comとImagineVRはともにアダルトの作品の販売も可能になっていますので、そういった分野でも広がっていく可能性もあり、期待しています

 
──たしかに、アダルト向けのVRもはじまっていて需要はあるかもしれませんし、市場が確立するかもしれませんね。

 
現在、VRというものは、特にデモがメインになってしまっていまして、マネタイズをどうしていくのかというのが、いちばん問題になっている時期ではないかと考えています。

 
その中で、弊社のようなストアが、マーケットもあるということがマネタイズの足かがりになるきっかけなりますので、どんな作品であれ市場に出せる土台となる場所を先に固めていっています。AXのようなイベント出展は、作品のみならず、ストアの紹介もできて、VRを広げていく上では重要なことです。

 
──今後は米国やそれ以外の国での出展の可能性もありますか?

 
そうですね、Imagine VRさんは米国企業ですので、米国でも可能性はありえますが、弊社が事業を始めている台湾で出展しても面白くなるかなと思っています。反応やリクエストを見つつ、機会があれば、ぜひ他の国にも進出できればと思います。

 
 
 
米国では、すでにVRによるエンターテイメントやゲームが進んでいる。日本でもPlayStation VRの予約がスタートして、これからもVRの認知が広がっていくだろう。

 
そんな中でアマチュアのクリエイターによるVR作品の発表の場を提供し、日米の市場での展開を目指しているDLsite.comも成長していくことで、ジャパニーズクリエイターによるVRコンテンツが世界市場でより身近なものになるかもしれない。そんな期待が高まるAXの出展であった。

 
 
(TEXT by Yoshi Sawa)

 
 
●関連リンク
なごみの耳かき
エイシス
Anime Expo 2016

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