2026年5月15日(金)に「にじさんじフェス2026」のスペシャルステージ「Uncharted Spheres」が、「幕張メッセ 国際展示場 展示ホール7~8」で開催された。出演者は、社築さん、ジョー・力一さん、町田ちまさん、戌亥とこさん、長尾景さん、東堂コハクさん、伊波ライさん、早乙女ベリーさんの8人。
2018年6月デビューの社さんから、2024年8月デビューのベリーさんまで、キャリアも普段の配信の内容などもさまざまだが、「音楽活動やステージでの表現に力を入れているライバー」(「ANYCOLOR MAGAZINE」スタッフインタビューより)が集い、「にじさんじ」史上最長の約3時間半の音楽ライブを披露した。
このレポートでは、日本語で「未知の領域」というタイトルを冠し「宇宙」や「太陽系」をコンセプトにした全31曲の公演をダイジェストで紹介していく。
記事に使用している画像は、一部の現地撮影画像を除き、配信アーカイブのスクリーンショット。なお、配信視聴チケットの販売期間は、2026年5月31日(日)の23時59分まで。視聴可能期間は、2026年6月1日(月)の23時59分までとなっている。
【ライブ本編】Uncharted Spheres / 無料パート #Uncharted_Spheres
ソロのトップはいつも元気な早乙女ベリー
8人の出演ライバーが太陽系の8つの惑星を1つずつ担当するというユニークなライブコンセプトが事前に明かされ、その内容が注目されていた本公演。会場に着くと前方のステージはまるで星空、開演前、会場に流れる音楽もクラシックの組曲「惑星」だ。
少しおごそかな雰囲気も漂っていた会場の空気を一気に和ませた8人での楽しい影ナレの後、ついにライブが開幕。ライブのキービジュアルにも描かれた丸椅子に座った8人がステージ下から登場。そのまま、ステージの上空へと上がっていく。そして、上昇が止まったところで、手のひらを上にかざすと、手のひらの少し上にそれぞれが担当する小さな惑星が現れた。
惑星を掌中に収めた8人が歌い始めたのは、アニメ「ソードアート・オンライン」の10周年記念テーマ曲「蒼穹のファンファーレ」。まるで、クライマックスのような荘厳な開幕曲で、8人の歌唱力の高さをありありと示すような楽曲だ。歌唱中、一旦、上空へと飛んでいった惑星は、8人がステージに降り立つと、再び現れて、上空を公転運動のように回っていく。途中、この公演が3Dモデル初披露となったベリーさんの可愛い姿が客席からはっきりと見えた瞬間には、大きな歓声も上がった。
椅子が下降し、ステージに並んだ8人が手のひらを上に向けると、惑星は再び主の元へ。そして、美しい歌声の余韻が残る中、8人はステージの奧へと消える。
開幕曲のすぐ後、ソロの1発目という大役を務めたのは、鮮やかな赤髪も印象的で火星担当がよく似合うベリーさん。真っ赤な照明やステージ前で扇状に伸びるリアル炎の光に照らされながら、キュートなビジュアルや普段の話し声からは想像できないほどの力強い歌声で、アニメ「幼女戦記」のエンディングテーマ「Los! Los! Los!」をカバー。デビュー配信で歌声を聴いた時、「想像よりカッコ良いな」と思った歌声は、その何倍もパワフルになっていた。広い会場全体に歌を届けるようなステージングも、この公演が初めてのライブ出演とは思えないほど堂々としている。喉への負担が気になるほどの熱く伸びやかな歌声で、満員の観客の心に火を灯し、会場を一気に熱くした。
ソロでは2人目、5曲目に登場したのは、歌の上手さが配信のネタになるほど異次元の歌唱力を誇る町田さん。スポットライトの柔らかい光に照らされながら、ステージ中央に現れると、宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ」をアカペラで歌い始める。その歌声に圧倒されたのか客席のファンたちは、ライトブルーのペンライトをゆっくり振るだけ。ホールには、町田さんの美しい歌声と、途中から合流したピアノの音だけが響いていた。
ダンス部の東堂コハクもソロで魅せる
6曲目、「蜜月アン・ドゥ・トロワ」では、天王星の力一さん、木星の戌亥さん、火星のベリーさんが、ワルツのリズムに乗った美しい歌声で魅了した。ここまで、ステージ上に複数の惑星が浮かぶ時、各惑星の大きさはほぼ同じだったのだが、この曲では、実際の惑星の大きさの対比に近いサイズ感で出現。太陽系最大の惑星である木星の大きさは、そのまま、このライブでの戌亥さんの存在感のようだった。ちなみに、2番目に大きいのは町田さんが担当する土星。やはり、歌唱力お化けユニットのNornisはデカいのか。
7曲目と8曲目も連続でソロ。ベリーさんと同じく初めてのライブ出演となるコハクさんが歌うのは、Superflyの「黒い雫」。4人のダンサーと一緒に登場すると、ステージの中央に立ち、最初は手振りメインで踊りながら、凜とした歌声を響かせていく。しかし、コハクさんは、「にじさんじダンス部」のメンバーでもあるダンサー。徐々に激しくキレのあるダンスでも魅せていき、歌とダンスの両方で鮮烈な印象を残した。
歌やダンスの技術だけではなく、ステージ演出を含めた自己プロデュースの高さでも毎回、話題になる長尾さんは、RADWIMPSの「オーダーメイド」をカバー。通常衣装姿の長尾さんと、にじさんじ共通衣装姿の長尾さんが同時にステージへ立つ1人デュエットでファンを驚かせた。こういったバーチャルだからこそ可能なステージを観られるのも、バーチャルライブの大きな魅力だ。
ショーマンシップあふれるソロパフォーマンスで会場を沸かせたのが、11曲目にSOUL’d OUT の「COZMIC TRAVEL」をカバーした力一さん。テンション高く滑舌も抜群のラップと、一言一言を丁寧に歌いあげるようなボーカルの緩急で、観客の感情を激しく揺さぶっていく。高層ビル群の中を疾走しているようなステージ奥の映像も、ここまでの曲とはがらりと違った雰囲気で、個性派ライバーのパフォーマンスにはぴったり。「あらためまして、ご機嫌よう。ジョー・力一でございます」から始まる間奏のMCもダンディだ。
13曲目にボカロ曲の「プラネテス」を披露したのは、伊波さん。天の川のように星が輝き、流星もきらめくステージで爽やかな歌声を響かせる。初の有観客ライブだった昨年8月の「WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!神戸公演」を配信で観た時にも強く感じたのだが、伊波さんがステージで放つ主人公オーラは強烈で、青春感もまぶしい。「幕張ー」というシャウトには黄色い歓声が上がり、黄色のペンライトの動きも激しさを増した。
18曲目のアレンジ版「VtL」で第1部が終了
14曲目と15曲目は、8人を2チームに分けたような編成でのステージ。社さん、戌亥さん、長尾さん、ベリーさんがReoNaの「ANIMA」、力一さん、町田さん、コハクさん、伊波さんがYOASOBIの「群青」を披露した。
その後は、再びソロのステージが続く。16曲目、EGOISTの「名前のない怪物」のイントロが流れはじめると、最初の一音で曲名が分かった観客の歓声が上がる。続いて、ステージ中央にゆっくりと通常衣装姿の戌亥さんが現れると、さらに大きな歓声が起こった。戌亥さんの「名前のない怪物」は、コンセプトカバーアルバム「Prismatic Colors」に収録されているが、ライブで聴くと、そのスケール感も倍増。木星が炎を上げて夜空を駆けるステージで、圧倒的な表現力と声量の歌声がホール中に響く。レーザー光もこれまでにない激しさで乱反射。サビに入る瞬間、光と共ににじさんじ共通衣装へと変わる演出でも会場を湧かせた。
戌亥さんと木星が去って無人となったステージに地球が降下し、社さんが登場してくると、会場を謎の安心感が包む。これが地球担当の存在感の大きさか。歌う曲は、ACIDMANの代表曲「赤橙」。歌詞に合わせたオレンジの照明に照らされながら、ステージ中央で歌い上げる社さん。客席では、青いペンライトも揺れている。デビュー当時は、異常に親近感の沸くオタクサラリーマンだったはずだが、その距離感は変わらないまま、いつの間にか、この広いステージの中央に立つ姿も似合うアーティストにもなっていた。
ここまでのステージの演出や一部の選曲にも惑星要素は関わっていたのだが、このコンセプトライブの「芯」が明らかになったのは、18曲目。ステージ上に浮かぶ8つの惑星の下、全員で「Virtual to LIVE(Classical Arrangement)」を歌っていると、惑星の中央に巨大な太陽が現れる。その太陽はステージに着陸するように下降し、歌い終えた8人は、太陽の中に入るかのように退場していった。
そして、太陽が再びステージ上の星空まで上昇すると、その下に「You are the sun itself. 太陽はあなた方です。」というメッセージが日本語と英語、二つの言葉で浮かび上がる。さらに、「我々をいつも照らしてくれ、見守ってくれる」と続き、配信やステージなどでまばゆい光を放つにじさんじのライバーたちを輝かせているのは、ファンなのだというメッセージが流れていく。「いつもありがとう」「そして次のステージへ」という文字が消えて、会場が暗転すると、大きな拍手が響く中、ステージ左右のサブモニターにライブのロゴが浮かび上がった。
余韻に浸っていた観客が多かったのか、演出的にアンコールの有無が判断しにくかったためか、少し遅れ気味に始まったアンコールの声は、だんだんと大きくなっていく。そして、ステージには、8人のライバーが通常衣装で再登場して、にじさんじ7周年記念曲「Arc goes oN」を披露。この時点ですでに公演時間は1時間30分を越えており、おそらく、観客の誰もがフィナーレ間近の気配を感じながらステージの8人を見守っていた。
ひたすら歌い続けた、このライブで初めてのMCが始まると、初ライブだったコハクさんとベリーさんがその喜びを言葉にする。ひたすらハイテンションなベリーさんと、感動して泣きながらも落ち着いた口調のコハクさんの対比も面白い。
そして、「みなさんにお伝えしなければならないことがあります」と話し始めた伊波さんが、衝撃の事実を告白。
「『Uncharted Spheres』、この時点で、前半終了です!」
驚きと喜びが入り混じる歓声が響く中、客席に向けて力一さんが「まだまだ燃えられますよね?」と問いかけると、太陽たちの歓声が聞こえてきた。
長尾景のオリジナル曲「怪談」に驚愕
コンセプトライブだった第1部が終わり、「いつもどおりのにじさんじのライブ」だという第2部がスタート。社さんの「若者のすべて」、力一さんの「M八七」、町田さんの「私が明日死ぬなら」と、ソロのカバー曲が続いた後の23曲目は、長尾さんとコハクさんのデュエット。「にじさんじダンス部」の2人が選んだ曲は、Da-iCEの「Clap and Clap」。3人のバックダンサーと一緒に踊りまくる2人。ダンスの激しさでいえば、この公演でもNo.1。全編がコンセプトライブだったとしたら、おそらくは観られなかったパフォーマンスだったはずで、2部構成の利点も感じた。
MCでコハクさんが観客とのコール&レスポンスを楽しんだ後、2人に「あのお方」と紹介されて登場した戌亥さんは、藤井風の「燃えよ」をカバー。バーチャルなステージの左右に伸びたリアルステージには6人のダンサーが登場し、戌亥さんの歌声と共に客席の太陽たちを熱くする。
続く25曲目は、この超長時間ライブの中で最も異彩を放った楽曲。5月2日に公開された長尾さんの最新オリジナル曲「怪談」。小さな机(見台)の向こう側に、講談師のように座った長尾さんは、扇子で机をぴしゃりぴしゃりと二度叩くと、まさに講談調で「人里離れた山奧に」と語りはじめた。取材の時点では「怪談」を未履修だったため、何事かと戸惑っている中、意地悪な鬼の物語は進んで行き、ステージは奥に襖と大きな巻物のある和室に変わり、巻物には、長尾さんの語りがそのまま記されていく。
同時に赤い鬼の面を被ったダンサーが登場。長い語りが終わり、長尾さんが座ったまま歌い始めると、長尾さんの後ろにある背景の中で踊り始め、物語の登場人物であるもう一人の男も青い鬼の面を被って登場。そして、長尾さんと2人の鬼が奇妙な「怪談」を歌い、演じきる。長尾さんの異才ぶりを改めて実感させるパフォーマンスだった。
この日2度目の「VtL」でついにフィナーレ
観客を幻惑しながら惹き込むようなパフォーマンスに続いては、社さん、伊波さん、ベリーさんの「ファイアダンス」。ゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」内のユニットVivid BAD SQUADが歌う、ストレートに盛り上がる楽曲だ。この曲でも、男性ボーカル2人にまったく負けてない格好良さを発揮するベリーさん。伊波さんは、伏線回収のように「幕張、まだまだやれるだろー?」と叫ぶ。そして、やはり、音ゲーマーの社さんにはプロセカ曲がよく似合う。
3人で観客とのコール&レスポンスを楽しんだ後は、コハクさんにバトンタッチ。コハクさんは「私の大好きを詰め込んだ」という「魔法のない世界で生きるということ」を披露。人型の黒い影をパートナーに、華麗なダンスも交えたミュージカルのようなステージだった。
続いて登場した伊波さんがラストスパートを宣言した後、米津玄師の「IRIS OUT」で観客をさらに盛り上げると、満面笑顔のベリーさんが登場。涙を堪えながら歌への思いやファンへの感謝を語ると、「みんなに今日、この歌でベリーのこと、もっともっと好きになってもらうから!」と宣言し、「学園アイドルマスター」の月村手毬が歌う「Luna say maybe」を熱唱。イントロの終わるギリギリまで、ステージを左右に走り回りながら自分の思いを叫び会場を煽る姿からは、初ライブを心の底から喜ぶ初々しさと、初ライブとは思えないステージングの巧みさの両方を感じた。
30曲目は、力一さん、町田さん、戌亥さんの「25時の情熱」。ゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」内のユニット「25時、ナイトコードで。」の楽曲だ。歌唱力の暴力のようなユニットは、高音から低音まで自由自在に伸びやかな歌声を響かせていく。
落ち着きがあって誰も泣きそうにはない3人がMCをしていると他のメンバーも合流し、告知コーナー。その後、にじさんじライブ恒例のARカメラによる記念撮影を実施。
続いては、一人ずつ順番に観客へのメッセージを語っていった。その最後に伊波さんが素晴らしい提案。開演前に舞台裏で8人が行った円陣を組んでの気合い入れをステージ上で再現してくれたのだ。伊波さんの「『Uncharted Spheres』、行くぞー!」という声に全員が「おー!」と応え、最後の31曲目を歌い始める。
約3時間30分ものライブを締めくくったのは、「Virtual to LIVE」。
驚きの連続だったスペシャルステージは、最後もまさかの2度目の国歌斉唱という驚きの展開で閉幕。そして、終演後、会場の外に飾られたキービジュアルには、巨大な太陽が追加されていた。
©ANYCOLOR, Inc.
(TEXT by Daisuke Marumoto)
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・「にじさんじフェス2026」公式サイト



































