
STYLYとKDDIは7月28日、不動産デベロッパー、鉄道、メディア、金
融など業界横断で25社が参画するコンソーシアム「Location-Based Experiences Consortium
(ロケーションベースド・エクスペリエンス・コンソーシアム)」を発足することを発表した。発足時点で25社が参加。施設の広さや天井高、電源、通信環境など、導入に必要な条件を共通化し、施設とコンテンツのマッチングを進める。
最近、PANORAでも取材が増えている施設でのフリーロームVRやロケーションベースARなどのLBEコンテンツ。各イベントの盛り上がりを取材すると、XRであること以上に一つのレジャーとして、体験として注目されていることが窺える。そんなLBEコンテンツのコンソーシアムが発足するというのは業界的にも大きなニュースだろう。
XRプラットフォーム事業者のSTYLYと、通信大手KDDIとして事業を行ってきた二社が共同で運営事務局となり、LBEを展開してきたさまざまな企業25社が一貫となって、施設ごとのロケーション上の課題の解決や、日本から世界へのコンテンツ輸出も視野に入れた取り組みを目指していく。

LBEコンソーシアム発足について語ったのはSTYLY COO渡邊信彦氏。
「今までの音声や映像を配信することから、体験を配信するという新しいフォーマットに移行しようとしている。パソコンからスマホに変わったように、体験を配信できるという局面に来ているということになる」と前置きした上で、日本にはいろいろなコンテンツを持っているにも関わらず、グローバル展開が進まないのはフォーマッティングがきちんとしていないからではないか、という課題を挙げた。
「映画館がフォーマットを作って、世界中に、日本中に同じコンテンツを体験できるようになったように、私たちはこれから様々な体験を世界中にきちんと配信していく。それによって、日本のクリエイターが作ったコンテンツを世界に配信していける。そういう思いで立ち上がった25社です」と語った。

LBEコンソーシアムが取り組む内容について語ったのはSTYLY CMO渡邊遼平氏。
「LBE市場は海外で非常に伸びていて、その市場規模は2029年には約153億ドル、日本円で言うと2.5兆円のマーケットになると言われている」とした。また、コロナ禍以降は日本でも施設型のエンターテインメント施設への消費額が増えており、高くても、より良い体験を求めているユーザーが多い現状がLBE市場における追い風と説明した。
一方で、現状は個別調整のコストがのしかかる。コンテンツごとに必要な条件が異なり、高さや広さなど、一つひとつ確認作業を進めた結果、2~3ヵ月後に導入できないことが判明するケースもあるという。

そこで、LBEコンソーシアムは業界共通のガイドラインや基準を整備することで、調整コストを削減し、コンテンツの流通を促進するのが目的だ。

「LBEコンテンツ」と一口に言っても、VRやARだったり、歩き回って体験するものも、座ったまま体験するものもある。「ロケーションベースド」、つまりある場所(ロケーション)に紐づいた体験という幅広い意味合いを持つだけに、可能性の大きさとともに、できることの範囲も幅広い。
そうした様々なLBEコンテンツを体験形式ごとに分類し、各コンテンツに必要な施設条件を整理、ガイドライン化することを進めるという。
そうして将来的に、施設とコンテンツをマッチングし、複数拠点へ流通できる基盤を構築することがコンソーシアムの役割となる。

「LBEコンソーシアムの取り組みを通じて、ガイドラインを作って、流通基盤を構築する。これによって、今後は国内外のプレイヤーが様々なビジネス興行をやりやすい環境を整えていき、2030年頃までに流通総額150億円規模まで持ち上げていきたい」と数値目標も発表。

「LBEコンテンツを世の中へ流通させるためには、我々(STYLY)一社だけで何かをするのではなく、いろいろな方々のお力をいただきながら、しっかりと普及できるような礎を築いていきたい」と言うだけに、広い業界を横断し、錚々たる顔ぶれの企業が並ぶ「LBEコンソーシアム」。
現在は発足が発表されたばかりだが、ガイドラインのバージョン1が近日発表となり、その後、9〜10月にバージョン2の議論を進めるという。発足には参加が間に合わなかった企業もあるなど、今後さらに本格的に動いていく。
(TEXT by ササニシキ)
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