1月22日、ソーシャルVRプラットフォームの「VRChat」にて、バーチャルタレント事務所・Re:AcTの公式ワールド「Re˸AcT VTuberWorld」が公開された。同事務所所属のVTuber・水瓶ミアさんがワールド制作を手掛け、Community Labsにて公開されている。
Re:AcTは、2018年に設立された「KAGAYAKI STARS」を前身とするバーチャルタレント事務所である(同年12月に現名称へ変更)。2022年1月現在、所属タレントは17名。それぞれが多種多様な活動を展開しているほか、「レーベル」という単位でタレントをグルーピングする試みを2021年11月より開始し、現在はコンセプトの異なる「ReAliz」「Kaleidscope」「sinkirow」「Parfait」の4レーベルが展開中だ。
こうした事務所としての特色や、なによりどのようなメンバーが所属しているかを、その魅力とともに伝えるのが本ワールドとなる。入口より順を追って紹介していこう。
ワールド入口には、Re:AcTに関するキャプションと、ワールドのクレジットが記されているほか、所属タレントの歌ってみた動画が流れるモニターが設置されている。Re:AcTについての説明は英訳も記載されており、VRChatに多い英語圏ユーザーにもやさしいエントランスだ。
1階の左右の壁には、所属タレントを紹介するポスターが掲示されている。普段の活動や魅力などを記した文章に加え、YouTubeとTwitterのQRコードも載っているため、気になったタレントがいればすぐにチャンネル登録とフォローができるようになっている。
フロアの中央と奥の窓側には、オリジナル曲やグッズの画像が配置されている。これらは購入ページへのリンクも兼ねており、VRChatの中にいながら気になった楽曲などの購入ページへアクセス可能だ(リンクをブラウザーにて開くには「VRChat OpenBrowser」の導入が必要)。「この子推しなんだけど、このオリ曲がよくってさ……」という流れで、その場で布教することもできるだろう。
階段を登った先は、青空広がる屋上のような空間につながっている。こちらのフロアは、あちこちに遊び心があふれている。
現在のRe:AcTの特徴であるレーベル制度については、こちらのフロアに説明がある。さらに、レーベルごとのキービジュアルスタンドが設置されており、自由に撮影が可能だ。推しのメンバーやレーベルと一緒に、記念の一枚を撮影しよう。
また、メンバーをイメージしたドリンクが出てくる自動販売機や、メンバーをイメージしたカクテルを作れるコーナーなど、遊べるギミックも設置されている。おしゃべりや推し語りのきっかけになるほか、カクテルは出来栄えを採点してくれるので、「誰が一番うまくカクテルを作れるか!」と競って遊ぶこともできる。「推しのカクテル」ともなれば気合も入り、楽しいコミュニケーションが広がるだろう。
メンバーの歌ってみた動画や、オリジナル楽曲動画を再生できるプレイヤーも設置されている。プレイリストから選択すればすぐに再生されるので操作は簡単。メンバーごとに整理されているため、探しやすい。このワールドで初めてRe:AcTを知った人でも、気になったメンバーの歌声をその場で聴けるのはうれしいところ。このワールドで初めて聴いた歌声が、推し始めるきっかけになった……という人が出てきても不思議ではないだろう。
VTuber事務所やグループの公式ワールドをVRChat上に設立する動きは、直近で一気に萌芽している。2021年12月にはホロライブEnglishの公式ワールド「Hololive English Smolverse」が、2022年の元日にはにじさんじENの公式ワールド「NIJISANJI Express」が公開された。「Re˸AcT VTuberWorld」も、この系譜に連なるVRChatワールドのひとつといえる。
その上で、本ワールドで特筆すべきは、所属タレント自らが制作まで担当している点だろう。「所属する事務所の魅力を伝える」という目的のために、所属VTuberが自らUnityを勉強して、公式ワールドの立ち上げに至るというのは、業界全体で見てもレアケースに入る。
水瓶ミアさんは、2021年10月からVRChat上での配信も実施しており、その際にはいわゆる改変アバターを使用している。もともとLive2Dアバターを持つVTuberが、VRChat向け販売アバターを利用して配信を行うというのも比較的珍しいが、加熱が続くメタバースブームにおける、VTuberの新しい活動スタイルになり得るだろう。
本ワールドは、公開が始まってからもこまめにアップデートが続いている。水瓶ミアさんはさらに「Blenderモデリングを教わっている」ともツイートしており、今後さらなるアップデートにも期待がかかる。
「Re˸AcT VTuberWorld」は、VR版はもちろん、無料でダウンロードできるデスクトップ版でもアクセス可能だ(※2022年1月時点ではQuest単体ではアクセス不可)。一人のタレントが作り上げた、 Re:AcTの魅力をギュッとつめこんだ公式ワールドに、ぜひ足を運んでみてほしい。
なお、ワールドの感想やバグ報告は、ハッシュタグ「#ReAct_VRCw」にて募集中だ。
(TEXT by 浅田カズラ)
●関連リンク
・Re˸AcT VTuberWorld(VRChat)
・Re:AcT(公式サイト/YouTube/Twitter)
・水瓶ミア(YouTube/Twitter)