東京都・千代田区にある神田明神は8月11〜14日、「令和四年 納涼祭り」を開催中だ。
VTuber業界として注目しておきたいのが、15名の女性バーチャルe-Sportsプロジェクト「ぶいすぽっ!」とのコラボで、盆踊りや屋台など、あらゆる場所に彼女たちが進出していた(関連ニュース)。初日となる12日の夜に取材したので、写真を中心にレポートしていこう。
「ぶいすぽっ!」では初となるリアイベ
神田明神といえば、秋葉原に近いということもあってか、アニメ作品とのコラボも多い神社だ。
VTuberでも、過去に物販でホロライブとの「神社声援」をリリースしたこともあったものの、納涼祭りという大きなイベントとのコラボは今回の「ぶいすぽっ!」が初となる。さらに同じBrave groupである8人組の女性バーチャルアイドルグループ「Palette Project」(パレットプロジェクト)も、併設する神田明神ホールにてライブを行うことも発表していた。
「ぶいすぽっ!」は2020年に結成され、今では総勢15名という大きな次世代 Virtual eSports プロジェクトになった。メンバーによって差はあるが、2018年末頃からそれぞれVTuberとして活動を開始し、「ぶいすぽっ!」の立ち上げ以前から活躍していたメンバーも多い。
Palette Projectは2019年結成だが、前身となる「Alt!!」も含めると2018年のスタートとなる。リアルやオンラインでライブを重ね、着実にバーチャルアイドルのファンを集めてきた。
両グループとも普段はネットでの活動が中心だが、今回、秋葉原の町中に「ぶいすぽっ!」のポスターが貼られ、さらにお祭りという人が集まる場にも大々的に進出したことで、あまりネットを見ない人々にもPRする絶好の機会になったのではないだろうか。「ぶいすぽっ!」にとっては初のリアルイベントということもあり、年単位で長く追ってきたファンにとって、大舞台に「推し」がいるというだけでも嬉しい気持ちでいっぱいだったはずだ。
なお、両グループを語る上では、今年6月、ともにBrave groupに経営統合されたことも触れておかなければいけない(関連ニュース)。
6名の女性アーティストが所属するバーチャルミュージックプロダクション「RIOT MUSIC」、同じく6名でショート動画を中心に大きく伸びているVTuberグループ「あおぎり高校」を含めて4グループ(と遠坂ユラさん)、36名が一つの傘下に集まることになった事実は、VTuber業界に大きなインパクトをもたらした。神田明神納涼祭りは、そのグループ間コラボ第一弾ともいえる、記念すべきイベントなのだ。
予想外の人出にコラボ屋台は売り切れ続出!
さて、「お祭りという人が集まる場」と書いたが、今年の人出は尋常じゃないレベルだった。筆者が取材に訪れた19時頃は、境内が人でパンパンになっていて、場所によっては全然進まない場所もあった。おそらく多くの人が新型コロナウィルスによってここ2年ほどイベントに参加できず、ワクチン接種が進んだこのタイミングで、久しぶりにリアルイベントの楽しさを求めて集まってきたものと推測される。
神田明神納涼祭りは、2016年に開始した比較的若いお祭りなのだが、コロナ禍の煽りを受けて2020、2021年はイベントを中止にしている(そして、2020年はあつ森コラボに切り替えていた)。地域の人にとっても、久しぶりにお祭りの雰囲気を浴びたいという「引力」が発生したに違いない。ベビーカーを押す家族連れも見かけた。
そのおかげか、屋台には食べ物を求めて長蛇の列ができており、「ぶいすぽっ!」コラボゾーンの屋台では、特典の缶バッジがもらえるということもあってか売り切れも目立っていた。
そこに台風直撃も加わり、12日取材時の夜には雨も降ってきた。収まらない暑さの中でぐんぐん高まる湿度、雨と汗で内外から濡れる服、それでも絶え間ない人混み、そして祭り自体の熱狂。非日常がてんこ盛りな空間に、疲れながらも「これだよ!」と謎の楽しさを覚えた方もいたかもしれない。ちなみに台風のせいで、13日はPalette Projectのライブが中止となってしまったのは残念だった。
「ぶいすぽっ!」・Palette Projectも踊ったアニソン盆踊り
屋台に加えて、盆踊りも大きく盛り上がった。8月12日のコンセプトは「アニソン盆踊り」。「あんこう音頭」や「サンシャインぴっかぴか音頭」といった最近のものだけでなく、「クックロビン音頭」や「ダンシングヒーロー」といった令和とは思えない選曲もあるのが驚きだった。ヤグラに登った先生がその場で振付を教えて、みんなで動きを合わせて踊っていたのが印象に残っている。
その中で、このお祭り独自の「神田明神音頭」について、「ぶいすぽっ!」とPalette Projectも会場に飾られたLEDに登場して、踊る姿を見せていた。
取材していて印象に残ったのは、フルグラのハッピをきて、冒頭で紹介した巨大「ぶいすぽっ!」ロゴの近くに立って写真を撮っていたファンの方々の笑顔だった。
(TEXT by Minoru Hirota)
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