9月19日(土)~22日(祝)の4日間にわたって開催した史上最大規模のバーチャルアイドルオンラインライブフェス「Life Like a Live!」、通称「えるすりー」。
リアルライブのフェスのように、複数のステージで異なるライブを並行して展開。音楽ライブのメインステージなどは基本的に有料だが、冒頭の一部やバックステージ&企画ステージ、同時視聴などは無料でも楽しめる。
また、アイドルフェスの特典会のように、Zoomアプリで1対1のトークもできる「ネットおしゃべりフェス えるすりー編」や、出演タレントが火花を散らす「Vアイドルガチ運動会!!!」なども同時開催。リアルでは大規模フェスの開催が難しい情勢の中、バーチャルアイドルだからこそできる新しいオンラインライブに挑戦した内容だった。
前夜祭が行われた初日に続く2日目からは、総勢20組67名のバーチャルタレントが登場するメインステージでの音楽ライブを5回にわたって開催した。レポートがあまりに長くなりすぎたので、本記事ではまず20日の昼公演からレポートしていく。
●えるすりー全レポート
・32人同時パフォーマンスのOPに一撃で魅了された! 「Life Like a Live!」20日昼公演レポート
・AZKiや「ユイしあ」、VALISなどバラエティーに富んだ出演者にも注目 「Life Like a Live!」20日夜公演レポート
・Palette Project全員集合に全ファンが感涙「Life Like a Live!」21日昼公演レポート
・ラジオ発、事務所をまたいだ夢のユニットも登場! 「Life Like a Live!」21日夜公演レポート
・最後はやっぱり32人集合で完全燃焼! 「Life Like a Live!」22日夜公演レポート
32人が同時パフォーマンスしたオープニング
昼公演は朝11時に開幕。初お披露目となる特設の屋外ライブステージ上には、いきなり「えのぐ」、「GEMS COMPANY」、「Palette Project」、「まりなす(仮)」のメンバーが全員登場し、このフェスのテーマソング「Life Like a Live!」を披露した。「リブドル!」の6人のパフォーマンスはステージ奧と横に設置された大型パネルに映される形ではあったが、32人のアイドルが同時に生き生きと歌い踊る姿は圧巻の一言だ。
一人一人のアイドルたちが放つ魅力はもちろん、鏡面反射も描写される円形の床、7枚の大型パネルなどステージの規模とクオリティーにも驚かされ、たった1曲でこのライブへの期待感が一気に跳ね上がる。
オープニングに続く1組目のアイドルは、奏天(かなめ)まひろさん、燈舞(とうま)りんさん、音葉(おとのは)なほさん、鈴鳴(すずな)すばるさんの4人による「まりなす(仮)」。「えるすりー」主催のエイベックスに所属するヴァーチャルアーティストユニットで、7月にエイベックスが立ち上げたバーチャルアーティストプロダクション「AVALON」のゼロ期生として所属することも本イベントで発表した。
メンバー全員が歌って踊れるハイスペックユニットは、SF感のある新衣装で登場。1曲目から1stオリジナルソングであり代表曲の「WONDERLAND」を持ってきて、安定したパフォーマンスを見せつけた。
MCでは2曲目が新曲であることを予告し、「披露するには皆さまの応援がどうしても必要なんです」とアピール。大量の「まりなす」コールに力を得ると、ステージが光に包まれて衣装が進化する。各部にパーツも追加され、戦闘力高めなアニメヒロインのような姿のまま新曲「GIMME! GIVEU!」を初披露。
「まりなす(仮)」最後の曲は、2ndオリジナルソング「JUST IN MY HEART」。1st&2ndに初披露の新曲というセトリとなり、デビューからの約1年9か月を凝縮させたようなステージだった。
2組目は、エイベックスがプロデュースする「言霊少女プロジェクト」の女子高生4人組バーチャルラップユニット「Microphone Soul Spinners」(ソウスピ)から向田らいむさん、川端ひまわりさん、与謝野詩歌さん、ヴィルヌーヴ千愛梨さんが登場。
人気アニソンアーティストでラップ曲にも定評のあるZAQさんが作詞・作曲・編曲を務めた「BATTLE ON THE T.O.P」でパワフルなパフォーマンスを見せて、ライブの空気を一変させる。
一方、その後のMCでは、さっきまでの熱いパフォーマンスからは想像できないほど、ほんわかとした空気に。このギャップも4人の魅力なのだろう。2曲目のユニット名を冠した「Microphone soul spinmers!」は、1曲目とは違ってゆったりと聴かせるラップ曲。短い出演時間の中でも、さまざまな顔を見せてくれるユニットだった。
王道だけでなく、意外なアイドルも登場
3組目は9月27日に待望の1stアルバムをリリースする「えのぐ」で、鈴木あんずさん、白藤環さん、日向奈央さん、夏目ハルさんの4人がステージに姿を見せた。前身となる「あんたま」時代から、さまざまな経験を積み重ねながらパーチャルアイドル界とともに成長し、中心的な位置に立つまでになった「王道」的な存在で、歌もダンスもさすがの安定感だった。
まずは、「e・n・o・g・u! えのぐ!」などのコールが楽しく、明るく可愛い4人の魅力が詰まった「e☆Jump!→Dream!!」を披露。2曲目「ギザギザコミュニケーション」は、ユニークな歌詞のラップパートとエモさのあるサビが印象的だ。
4組目は、人気VTuberグループ「有閑喫茶あにまーれ」から、因幡はねるさん、宗谷いちかさん、日ノ隈らんさんが登場した。
「えるすりー」への参戦発表時、普段の活動内容をよく知るファンからは「あにまーれがアイドル?」と困惑の声も上がっていたものの、一発目で歌ったAKB48の名曲「会いたかった」のカバーでは、そんな声も静まるようなアイドルらしく可愛いパフォーマンスを披露。しかし、その後のMCでは、芸人のように安定したフリートークでコメント欄を大いに湧かせた。
「(2曲目は)すごい意外な曲です」とアピールした後、グループ唯一のオリジナル曲「ふぁんふぁーれ!」を期待通りに披露。そのパフォーマンスでもさらに盛り上げて、アイドルとしての初ステージを終えた。
5組目は、バーチャルアイドルプロジェクト「Palette Project」(パレプロ)のプロジェクト内ユニット「Altimate!!」。七海ロナさん、藤宮コトハさん、神菜コハネさんが、白い衣装に身を包み清楚オーラ全開で現れて、バーチャルアイドルの思いを歌ったポジティブな楽曲「StAlt!」を披露。まさにこのステージにぴったりの曲で、集まったファンの心を揺さぶる。
2曲目は少し切ない歌詞も印象的なユニットの最新曲「Summer is Over」。3曲目の「たのしむーぶ」は、合いの手が楽しく、コメント欄の勢いも加速した。
国際的アイドルも個人勢アイドルもステージで輝く
6組目は、中国と日本を拠点に活動している国際的バーチャルアイドル「ReVdol!」(リブドル!)で、李清歌さん、モーシィさん、カティア・ウラーノヴァさん、ローズ・バレットさん、神宮司玉藻さん、イザベラ・ホリーさんが登場。
屋外ステージとは別の屋内ステージで、夏らしい楽曲「Cool Girl」と「Pre-STAR」の日本語verを披露した。筆者は、リブドル!のライブを観るのは初めてだったのだが、メンバー個々の歌唱力やダンスのキレだけでなく、綺麗にシンクロしたフォーメーションダンスにも驚かされた。
7組目は、天使(あまつか)リリエルさん。「えるすりー」への出場権をかけて、スマホ向けバーチャルライブ配信アプリ「REALITY」で開催したイベントを見事突破し、この大舞台へとたどり着いた個人勢VTuberだ。
登場してすぐのMCでは、このステージにかけた想いが語られた。約2年前にVTuber活動を始め、1年前からライブステージに立つことを目標に活動してきたが、選考イベントなどで何度も負けてしまったこと。そして今日、ついに夢が叶ったことを口にして大はしゃぎした後、ステージ上で得意の腹筋も披露した。心の底から嬉しそうな様子が微笑ましい。
天使らしく人間たちへの応援歌になっているオリジナル曲「Angelic Lily」を披露する前には、自分でデザインしたという新衣装にチェンジ。初めてのライブステージとは思えない安定した歌声で、大舞台にしっかりと爪痕を残した。
8組目は、天使リリエルさんと同じくREALITYの「えるすりー」出場イベントで優勝して出場権を獲得したバーチャルシンガー・HACHIさんだ。
登場直後のMCから落ち着いた雰囲気を放っていたが、オリジナルデビュー曲「光の向こうへ」を歌い始めると、視聴者はその歌声に驚いてどんどん引き込まれていった。AメロやBメロではネット越しでもあふれ出す声量ときれいに澄み切った声を、サビでは低音から一気に高音まで広がっていくその音域の広さに魅了される。
ビジュアルやMCでの話し方などアイドル的な可愛さももちろん十分にあるのだが、おそらく今後は、本格的シンガーとしての活躍の方が目立っていく予感がするほどの実力を実感した。
シャッフルユニットのオリ曲も超名曲!
9組目は、スクエアエニックスプロデュースのアイドルユニット「GEMS COMPANY」の出番だ。メンバーは、星菜日向夏(ほしなひなか)さん、奈日抽(なにぬ)ねねさん、有栖川(ありすがわ)レイカさん、音羽雫(おとわしずく)さん、水科葵(みずしなあおい)さん、城乃柚希(しろのゆずき)さん、長谷みことさん、赤羽ユキノさん、一文字マヤさんの9人だが、まずは、奈日抽さん、有栖川さんによるグループ内ユニット「ERINGIBEAM.」が出演。独特のリズムとダンスが楽しい「しゃかりきマイライフ!」でガラリとステージの空気を変えた。
2曲目は全員曲「ゴールデンスパイス」。ビジュアルだけでもかなり個性の強そうな9人がステージを目一杯使って見せる一糸乱れぬフォーメーションダンスは、昼公演のラストスパートに相応しいゴージャスなパフォーマンスだった。
昼公演のトリを務めたのは「えるすりー」のために、グループや企業の垣根も越えて結成されたシャッフルユニット「#BESPHERE」だ。メンバーは、「まりなす(仮)」の奏天まひろさん、「えのぐ」の鈴木あんずさん、「Palette Project」の七海ロナさん、「GEMS COMPANY」の水科葵さん。
この日のために作られたオリジナルソング「Blue Hearts」も、奏天さんの振り付けによるダンスも、このステージ限りにするのはもったいないクオリティーの仕上がりだった。サビや大サビは、バトルアニメのクライマックスに流れてきそうなほどに盛り上がりを見せた。
MCでは、今回のためのシャッフルユニットとは思えないほど息のあった掛け合いも見せる。水科さんが、鈴木さんのハイトーンボイスを絶賛し、他の二人もそれに同調すると、鈴木さんは照れまくってあたふた。「次に進もう!」と話題を変えようとする姿も可愛かった。
最後は、オープニングでも歌った当フェスのテーマソング「Life Like a Live!」を4人で披露。ハイレベルなパフォーマンスが続いたメインステージ最初の公演を綺麗に締めくくった。
●9月20日(日)昼公演セットリスト
M1. Life Like a Live/まりなす(仮)、えのぐ、Palette Project、GEMS COMPANY、リブドル!
M2. WONDERLAND/まりなす(仮)
M3.GIMME! GIVEU!/まりなす(仮)
M4. JUST IN MY HEART/まりなす(仮)
M5. BATTLE ONE THE T.O.P/Microphone soul spinners
M6. Microphone soul spinners/Microphone soul spinners
M7. e☆Jump!→Dream!!/えのぐ
M8. ギザギザコミュニケーション/えのぐ
M9. 会いたかった(AKB48カバー)/あにまーれ
M10. ふぁんふぁーれ!/あにまーれ
M11. StAlt!!/Altimate!!(Palette Project)
M12. Summer is Over/Altimate!!(Palette Project)
M13. たのしむーぶ/Altimate!!(Palette Project)
M14. Cool Girl/リブドル!
M15. Pre-STAR/リブドル!
M16. Angelic Lily/天使リリエル
M17. 光の向こうへ/HACHI
M18. しゃかりきマイライフ/ERINGIBEAM.(GEMS COMPANY)
M19. ゴールデンスパイス/GEMS COMPANY
M20. Blue Hearts/#BESPHERE(奏天まひろ、鈴木あんず、七海ロナ、水科葵)
M21. Life Like a Live/#BESPHERE(奏天まひろ、鈴木あんず、七海ロナ、水科葵)
(TEXT by Daisuke Marumoto)
*20日目夜公演のレポートはこちら
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