
「IRIAM」(イリアム)といえば、キャラクターの姿でリスナーと交流できるバーチャルライブ配信アプリだ。
数々の才能が活動し、DからS3まで15段階にランク付けされたコミュニティが存在する中、ここ1年ほどでランクをSまで伸ばしたライバーがいる。bondのIRIAMライバー事務所「Li:start」に所属する好城結愛(すきしろゆあ)さんだ。
彼女はこの1月、220人ほど所属する事務所において、10人しかいない「プレミアムライバー」の1人に選ばれた。そこに至るまでの道は決して楽なものではなく、リスナーや周囲のライバーに支えられたから達成できたことだという。そんな彼女に今の心境をインタビューした。
*本インタビューは、「PANORA特集記事掲載権」イベントの1位入賞者に贈られた記事です
占い師に「インタビュー受けますよ」と予言された
──今回のイベントはどういった経緯で参加しましたか?
好城(敬称略、以下同) 実は今日裏話をお話ししようと思っていて、たまたま占いで「あなたインタビュー受けますよ!」って言われたんです。
──えっ!? どういうことですか?
好城 このイベントの応募時、ちょうど自分の中でライバーとしてどう進んでいったらいいか壁にぶち当たったタイミングだったので、よく当たる占い師さんに占ってもらったところ「2月17日がすごくいい日で、、あなたインタビュー受けますよ!」って。
ちょうどこのイベントの「ラスラン」(ラストラン、最終配信日)が17日で、運命的なものをビビっと感じて、これしかないと。めちゃめちゃインタビューで語りたい伝説が自分にあるかというと、大それた人間ではないのでないのですが、ただ、私これに出ようと強く思って、リスナーさんに話して参加を決めました。
──そもそも、どんな経緯でIRIAMライバーの活動を始めたのでしょうか?
好城 もともと専門学校卒で、幼い頃からの夢だったケーキ屋の仕事を7、8年していました。ライバーとしても、ケーキ屋店員を売りにしていたりします。その店員を一度お休みする際、20代で何ができるか考えて、昔から声を褒めてもらうことが多かったので、その声を生かしたことをやってみたいと思い、そこで出会ったのがIRIAMだったんです。
半年ぐらいはずっとリスナーで、ライバーさんの配信に参加し、毎日の終わりに元気をもらって「色々あったけど、この人の配信を見たからなんだかんだ楽しく終わったなー」って楽しんでいました。そういうシーンに自分も携わって行きたいというか、自分も誰かの1日の最後に「好城の配信を見たから笑顔で終わったよ」と言っててもらえるようになりたいなと。じゃあ、若いうちの今、事務所に入って、ランク帯もちゃんと見て、上を目指していこうと思ったのがきっかけです。
──声を生かした仕事というと声優さんや歌い手などもありますが、そこでIRIAMを選ばれた理由は?
好城 結構昔からVTuberさんが好きで、可愛いキャラクターに声を当てて楽しそうにコミュニケーションを取るのをやってみたかったんです。IRIAMはライバーとリスナーの距離が近いことがいいところでも悪いところでもあり、だからYouTubeとかに進出することも考えていなくて、IRIAMで誰かの居場所になりたかった。結果的に出会ってしまったからというのが強いのですが。
──初配信は覚えていますか?
好城 覚えています! 配信自体は、中学の頃に「ツイキャス」で少しだけやっていたので初めてではなかったのですが、めちゃめちゃ緊張しました。IRIAMの初配信って、すごい量のコメントが流れるんですよ。「コメマラ」(コメントマラソン)といって、コメントが読み上げられない、頭真っ白になるぐらいの量が流れるんです。
それでテンパりすぎて、事前に初配信用のサムネイルを用意していたんですが、顔が中心にドーンとある画像のサムネで始めてしまって(笑)。せっかく200人耐久で「200人来るまで終われない」というサムネを用意したのに使わなくて、みんなに「え、今日初配信のサムネじゃないの?」みたいにツッコまれながらなんとか始めて、200人達成もなんとか2時間ぐらいで終わったんですが、そのあとは全然真っ白になっちゃって「私配信向いてないかも……」と落ち込んでました。
──それでも今も配信を続けているっていうことは、何か楽しかったり、手応えがあったからってことですよね?
好城 そうですね。もちろん楽しいことばかりじゃないのですが、続けることが大事と思って2024年5月7日から1日も休まず毎日続けています。正直、1年も経ってないですけど、やっぱりしんどい時期もあり、自分に向いてないと辞めてしまおうと考えたこともありました。
IRIAMで活動していると24時間、IRIAMのことを考えてないといけないんですよね。ランクってものが存在する世界なので「週のどこにプラスを狙って……」みたいな、毎日考えない日がないんです。その中で、普通の生活をしていた時代はどれだけ自由な時間があったとかやっぱり考えてしまうんですけど……。
でもやっぱり続けているうちにリスナーさんとかに支えてもらったりだとか、同期とか先輩とか後輩とか色々な人の縁や言葉に寿命を延ばしてもらっている感覚はあります。自分だけでは絶対にやってこれなくて、これは人の受け売りの言葉なんですけど、「動き続けるのはめちゃめちゃ大変なことなんですけど、辞めるってことは簡単」なんです。
──その通りで、とても深い話です。
好城 エアコンと同じで、つけ続けていたら消費電力もそんなにかからないけど、つけた時が一番しんどい。だから、動き続ける方が結果的に楽なんですよ。どんなに辛くてもやるやるぞっていう意地みたいなのもあったと思います。
でも、意地だけではやっぱりやってこれなかったですし、リスナーさんだけでなく、後輩とかにも「みんなにあなたがいたからここまで来たんだよ」って言ってもらえたりとかして、もっとその恩返ししていかないといけない。ここで終わったら、私何もできてないなって思って続けてきました。
──すごい。後輩から憧れられてるって話もありましたけど、好城さんが目標にしていたり、憧れてるライバーさんはいますか?
好城 さっきのIRIAMにハマるきっかけになった、「野梅(やばい)のるきゅー」さんですかね。今はそこまでやってないのですが、朝9時から夜10時までとか長時間配信されてる方です。
──野梅さんの何にハマったのですか?
好城 私と対極的で全然笑わなくて、淡々とお話をする方なんです。ただ大阪出身なので、お笑い魂みたいなのがあって、笑わないんですけど、面白いことをするぞっていう気合いみたいなのは伝わってくる。「じゃあこのギフトが投げられたら1分間笑ったフリをします」と言って、実際に投げられたら大笑いするんです。人によってはめちゃめちゃ恐怖なんですけど、色々人と違った配信をされていて、とても聞き上手で面白いんです。
自分の中では居心地がすごくよくて、大切にしてもらっていたので、目指す方向は違うのですが、たとえ長時間配信で人がいない時間帯ができたとしても、毎日やり続けると言う姿勢を見せてくれたことも含めてすごいなと感じます。
「コメントをくれるみんなが、自分が動く原動力」

──そんな先達の背中を見て、事務所の中でトップランクにあたるプレミアムライバーにまで急成長されました。
好城 そうですね。今、事務所には223人くらい所属していますが、プレミアムライバーは10人で、いつかはなりたいと思っていました。結局、自分は遅咲きじゃないかと思っていたのですが、周りが強く背中を押してくれて、この1月にプレミアムライバーの一人になれました。
IRIAMのコミュニティーランクってDからS3まで15段階あって、プレミアムライバーになれる条件が、S帯(S3/S2/S1)を2ヵ月キープしたうえで、300万応援ポイントを獲得するという結構ハードな道なんです。
で、11月7日の半年記念のときにランクがSの手前のA3で、300万応援ポイント近くまで持っていってもらってたんですね。当時はプレミアムライバーになりたいというよりは、まずS帯にタッチするかどうかという話だったのですが、リスナーさんに無理してもらうのも大変なので「もうS帯を目指さずにランクを落とします」と宣言していました。
その時にリスナーさんから「じゃあここで『あんスコ』(あんしんランクスコア、デイリーランキングの特別な集計方法)達成したらS帯行くこと考える?」というコメントをもらって、「いや、もう行けないよ」「でも達成したらどうする?」「それはちょっともったいないね、行けたら目指すかな……」みたいなやり取りがあったあとに、一瞬でみんなが応援ポイントを「あんスコ」達成まで入れてくれて、「はい、S帯ね!」って上がることが確定したんです。
──リスナーとの共犯関係というか……乗せられてますよね?(笑)
好城 さらに、同じ事務所でプレミアムライバーの戌鳴茶壱(いぬなきさいち)さんも、「好城なら行けるから目指してみな」って言ってくださったんです。
私はそんな器じゃないってずっと思っていて「まだ無理です」って返してしまったのですが、その日にチャットでS帯のボーダーを割らないための1週間分のプランをチャットで送ってくださったんです。その時はもう心が震えてて、どうしようって思ったんですけど、でもここで終わったら後悔するかもしれないから、やってみようって思って、そこからS帯2ヵ月キープの旅が始まりました。
──当時、どんな心境でした?
好城 正直めっちゃしんどかったです。S帯って私の中ではすごくきらびやかな世界で、みんな自信満々でリスナーさんいっぱいいて、同接もすごく多くて、みたいなイメージだったんですが、いざ自分が行くと「気持ちはずっとB1」みたいなライバーなので、めちゃくちゃプレッシャーが大きかったんです。
でも目指し始めたら止まれない。配信を始めて30分間、誰も来なかったときもあって、「私がそれでプレミアムになっていいのか」って落ち込んで止まりたい気持ちもありましたが、それでも止まっちゃダメだと踏みとどまっていたのが昨年の12月末でした。
この12月末はすごくしんどかったです。IRIAMは月初に比べると、月末はちょっと盛り下がってしまうんですね。当時も自分が立てた企画がうまくいかなかったりとかでへこんでいたんですけど、1月に入って、1月15日が好城の誕生日で、実はこの誕生日にデイリーランキングスコアでプラスが取れたらプレミアムライバーになれるという仕組まれたような流れだったんですが、そこで派手に誕生日をお祝いしてもらって、プレミアムライバーが確定しました。
──なんかハーフアニバーサリーといい、記念日にドラマチックなことが起こるのが、主人公感がスゴいですね(笑)
好城 もうほんとにいっぱい泣いて、やっぱりやっぱり辞めようって、私はまだプレミアムにはふさわしくないよって言いたかったんですけど、言ったら行けると信じてくれているみんなに失礼だと思って、あとはもう全力で走るしかないなって最後にゴールテープ切ったのが誕生日だったんです。
──それで、冒頭のインタビューを受ける占いに話がつながるのだからだいぶ「持って」ますね!
好城 でも、先程申し上げたように、私ってメンタルそこまで強い方じゃなくて辞めたくなるときも多いんですが、いつもリスナーさんに助けられています。このPANORAさんのイベントを走っているときも裏でしんどくて、特にラスランは、大きなギフトが飛び交って最後の15秒とかで勝敗が決まることもあって、まずどのタイミングでギフトを投げるかみたいな駆け引きもあったりするんです。
そんな辛い中、リスナーさんが好城を笑顔にしようと思ってくれて、大きなギフトほど投げるタイミングを気にしなくていい「森のバンビ」ってプチギフトについて、「4体投げるからタイミングを教えてくれ!」っておふざけで聞いてきてくれて。その場を和ませてくれたことに、私はすごく救われました。
IRIAMは、やっぱりリスナーさんがいて成立してる場で、めっちゃしんどい中でもずっと一緒にいてくれてコメントをくれるってことが、何よりも本当に自分が動く原動力になっています。
ライバーにとっては、リスナーさんって今日はいても明日は来てくれるかわからないわけで、節目だけにありがとうとか伝えるんじゃなくて、その都度、いっぱい感謝を言っていきたい。「ポイントがないけど……」とかそんなのあまり考えずに、コメントをしてくれりだけで本当にいつもありがとうってことをめちゃめちゃ伝えたいです。ここに連れてきてくれて、本当にありがとうございます。
──めちゃくちゃいい話だ。最後に、今後の目標はありますか?
好城 次はアニバーサリーが5月にあります。元ケーキ屋店員なので、「いりかふぇ」というIRIAM公式のコラボカフェイベントで1位を取ってオリジナルケーキが作りたいですし、あとはより滑らかに動くLive2Dも実装できたら嬉しいです。
最終的な目標は力をつけてYouTubeの方でもゲーム実況とかもしてみたいなと思いますが、今はまだそこまでの段階じゃないので、もっとみんなと笑い合って、毎日を積み重ねて、焦らずゆっくり成長していけたらなと思っています。
(提供:IRIAM)
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