8月23日〜25日に開催されたゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2022」。本稿ではソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)によるセッション「PlayStation VR2で拡がる世界」について、他セッションや既存情報を交えてレポートする。PS VR2がどのような機体なのかが語られた。
7月にPlayStation Blogで発表があった通り、ヘッドセットに搭載されたカメラを利用したシースルービュー機能やプレイエリアのカスタマイズが行えるほか、プレイ中の自分の姿を配信する機能があるなどPS VRから大きく向上した(関連記事)。
ゲームへの没入度を高めるフィードバック
PS VR2で特徴的なのが、HMDやコントローラーからのフィードバックだ。
HMDのヘッドバンドにモーターが内蔵されており、ゲームに応じて振動する。頭上を物が通過したときの衝撃や、車でスピードを出した際などの感覚をリアルに体験できる。
PS5用コントローラーにも搭載されているハプティックフィードバック、アダプティブトリガーといったDualSense機能が搭載されているほか、フィンガータッチ機能も搭載。親指、人差し指、中指の位置に触れるだけで認識されることで、直感的な操作が可能になっている。
アダプティブトリガーは動作に対する抵抗を感じられる機能で、例えば、弓を射る際に弦の緊張を感じて臨場感を与えることが可能になる。ハプティクスフィードバックはバイブレーションやパルスによって表現されるとのこと。ゲームのコントローラーの精細なバイブレーションをVRゲームのコントローラーで体験できるのはかなり楽しみだ。
解像度の性能向上と3Dオーディオが実現するリアル感
解像度はPS VRの約4倍の片目2000×2040ピクセルを実現。有機ELディスプレイならではの黒色の描写や幅広い色の表現を、高い解像度で楽しめる。
視野角も110度と、PS VRの100度から拡大した。また、レンズ部分には軽量なフレネルレンズを採用することで重量も抑えられている。
人気のMeta Quest 2は液晶ディスプレイかつ視野角は約100度なため、ハードウェアとしての性能の高さがうかがい知れる。
オーディオはPS5の機能であるTempest 3Dが搭載されており、プレイヤーのゲーム内での位置や向いている方向で音がリアルに変化する。
視線トラッキングとフォビエートレンダリングが支える鮮明な体験
PS VR2はHMD内部にカメラを内蔵しており、左右それぞれの視線をトラッキングしている。視線によってプレイヤーが選択するといったインタラクションも可能。
視線トラッキングはこのほか、PS VR2で使用される技術フォビエートレンダリングで使用される。これにより、視線が向いている方向の中心の画質を優先することが可能。人間の視覚認識に近い描画が期待される。
フォビエートレンダリングについては、Unityによる開発者向けのセッション「Unity上でのPlayStation VR2向け次世代ゲーム開発」でも詳しく語られるなど、PS VR2の注目の技術のひとつだ。
外部カメラなし、ケーブルは一本。ストレスレスなデバイスへ
PS VRで遊ぶには別売りのPlayStation Cameraが必須だったが、PS VR2では本体にカメラを搭載したインサイド・アウト方式でトラッキングを行うほか、PS5との接続もケーブル一本での接続で済むなど、使用面がかなり簡略化した。
HMDについては、重量バランスの最適化やレンズ間距離の調整ダイヤル、通風孔で内部を換気するなど、装着感が向上されているが、重量自体は先述のフレネルレンズの採用もあり、PS VRよりも軽量化したとのこと。
VR機器で長時間遊ぶ際、重量は気になるポイントなだけに嬉しいポイントと感じる。
Horizonシリーズの新作がローンチ! バイオハザード ヴィレッジはTGSで試遊も
6月3日に配信された「State of Play」で紹介されたPS VR2対応のタイトルの紹介もされた。Horizonシリーズの最新作「Horizon Call of Mountain」は、ハプティックフィードバックやアダプティブトリガー、フィンガータッチ機能などを活用したPS VR2の注目機能を盛り込んだタイトルとしてローンチされる。
このほか、「バイオハザード ヴィレッジ」、「The Walking Dead: Saints & Sinners – Chapter 2: Retribution」「NO MAN’S SKY」のローンチも予定されている。
「バイオハザード ヴィレッジ」は、2022 Tokyo Game Showで実際に試遊できるとのこと。3Dオーディオやフィードバックで表現される恐怖体験をいち早く体験するチャンスだ。
気になるPS VR2の発売日やPS5について
プレイステーション公式アカウントよりツイートがあった通り、発売日は現時点では2023年初頭とされている。
また、本日PlayStation Blogにて、PS VR2で遊ぶために必要なPS5自体の価格も、世界的な物価上昇に伴い値上げすることが発表されている。改定価格は9月15日(木)より適用され、以下の価格になる。
・PS5(Ultra HD Blu-rayディスクドライブ搭載版):5万4978円(税込) →6万478円 (税込)
・PS5 デジタル・エディション: 4万3978円 (税込) → 4万9478円 (税込)
(TEXT by ササニシキ)
●関連リンク
・PS VR2公式サイト
・PlayStation公式サイト