VRクリエイターが見るHololens(その4) 手書き&撮影の空中メモが便利
邂逅編、日常編、キーボード使い編に続いて、NPO法人オキュフェス、および株式会社桜花一門の代表である高橋建滋氏にマイクロソフトのMRゴーグル「HoloLens」をレビューしていただく。
1週間借りていたHololensもついに返すときがきました。今回はやり残したHololensの使い方の試し、やれなかった空間シェア、そしてこれから出るであろうHololens2に対する期待を書いていきます。
Hololensでメモを取ろう
Hololensで空中にメモを取りたい。付箋をモニターにペタペタはって、モニターがライオンみたいになるのを避けたい。そう思って何かいい無料ソフトがないかと思ったら、「CRAYON」というソフトがあったので試してみました。
HTC VIVEで有名な「Tilt Blash」のように空間に絵や文字を書けるツールで、エアータップ&ドラッグで操作します。ただし、かなりエアータップの制度が悪いようで、指を放しても(エアードラッグを解除しても)線が書き続けられ、思ったように文字がかけませんでした。
これは「12時 広田」と12時半にHololensを返すために広田さんと会うのを忘れないためのメモです。
横から見るとこんな感じです。
文字を書く精度の低さからこのやり方はあかん、と次に考えたのが付箋で実際にペンで文字を書き、次にそれの写真を撮る。最後にその写真を空中に貼り付けるというものです。
これらの写真を空中にこんな風に貼り付けます。
文字入力のストレスがなく、簡単に空中に付箋が貼れました。もう少し写真の範囲を指定できるといいかもしれません。そして株式会社清和ビジネスさん、なんの会社か知りませんが良い宣伝になったと思います。
やっておきたかった空間シェア
空間シェアは是非試してみたかったのですが、そもそもHololensが近くに2台なく、残念ながら試すことができませんでした。
でもTwitterを見ると、アラフォーのおっさんたちが魔女っ子アニメのマスコットキャラみたいなのを周りにはべらせ、みんな楽しそうにしているのを見ると羨ましかったです。自分もモコナを出して、常に周りを飛び跳ね回らせ、しかもそれが他人からも認識できる日が来ることを祈っています。
Hololens初期化
借り物のHololensだったので返す時は工場出荷状態に戻す必要がありました。戻し方は簡単で、まずSettingの所から、「Update」を選びます
続いて左側から「Reset」を指定すると、工場出荷状態に戻すボタンが出ます。これをクリックしてもらうと初期化することができます。
ただし初期化には電池容量40%以上必要です。自分はこのとき10%くらいしか容量がなく、初期化せずに広田さんへお返すすることとなりました(編集註:ちょwww)。
今後のHololensにこれを期待
現段階のHololensは、やはりまだ「未来の可能性」だと思います。その可能性があまりに巨大なため、Oculus RiftのDK1のときのような盛り上がりを見せていますが、「未来の日常」になるためにはまだまだ超えるべきハードルがあるでしょう。個人的にHoloLens 2に希望するものは以下のような形です。
●ハンドトラッキングの範囲拡大
今回、Hololensで一番しんどかったのが、ハンドトラッキングの範囲に手を置くために、常に腕を上げ続けなければいけないことでした。現状、目線の高さを中心に上下30cm弱くらいなので、この範囲をもっと大きく、それことトラッキングカメラの画角を180度くらいにまで上げてもらえないかと思っています。
そうすると、普通にキーボードを打つような姿勢でハンドトラッキングできるうえ、テーブルを叩くことでエアーキーボードやエーアマウスの操作が実現できるわけです。その3で触れたような物理キーボードすら必要なくなり、Hololensのみであっちこっちで好きな場所で仕事ができるようになります。
●電源効率
電源効率ももう少し上昇してくれるとありがたいです。今現在数時間しか持たないので、一日ずっとHololensで仕事……というのは厳しい状態です。
●重さ
最後に重量です。これだけのスペックをこれだけの内容と重さにまとめたのは驚愕ですが、それでもまだHololensの重さはわれわれの首には重すぎると感じます。長時間運用はかなり酷で、頭が痛くなったり首が痛くなったりもします。
このあたりは時間と技術が進めばどんどん小型化される領域なので心配していませんが、はやく50%くらい軽いHololens 2が出ることを願ってやまないです。
以上が一週間に渡る自分のHololens体験でした。「桜花さんはこれからARもやるの?」と言われたりしてますが、向こう半年は今作っているVRゲームの制作作業で火の車ですので、すぐHololensをやる予定はありません。
しかし、今回得られた知見はVRでも使えるものが多く、今後のVRゲーム開発や、次の「オフィスでサラリーマンが使うVR」のための知見として有益に使わせてもらおうと思っております。
(TEXT by 桜花一門)
●関連リンク
・高橋建滋氏(Twitter)
・株式会社桜花一門
・HoloLens