視覚・聴覚以外の感覚提示デバイスも熱い! Tokyo VR Meetup #14レポート

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Tokyo VR Meetup」は、VR専門のインキュベーションプログラム「Tokyo VR Startups」とVR・パノラマ専門メディア「PANORA」が共催する連続セミナーだ。21日に行われた第14回では、「VR + 触覚・嗅覚の新世代へ」をテーマに、講演とデバイスの体験展示が行われた。昨今の消費者向けVRシステムは、提示できる感覚が視覚と聴覚にとどまるものが多いが、そこに嗅覚や触覚を加えると、没入間や実在感を得やすくなる。

 
2017年に入り、外骨格型の力触覚提示デバイス「EXOS」(エクソス)や、HMDに装着して使用する匂い提示デバイス「VAQSO」(バクソー)、両手両足に装着する触覚提示デバイス「Taclim」(タクリム)など、視覚や聴覚以外の感覚を提示するデバイスの開発発表が増えてきている。また、VRとは現状直接の関係はないが3月3日に発売予定の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」のコントローラー「Joy-Con」には「HD振動」と呼ばれる、今までのゲームコントローラーよりも精細な感触を得られる機能が搭載される(関連記事)。これらの感覚提示デバイスがVR体験にどのような可能性をもたらすのだろうか。講演で語られた内容をまとめていこう。

 
 

鉄の床や雪を踏みしめる感覚などを再現

 
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まずはCerevoより、Taclimプロジェクトマネージャーの舌(ぜつ)佑樹氏が登壇。Taclimの特徴と開発状況、CES 2017に出展した経験談が語られた。

 
Taclimは、靴とグローブの形をしたVR向け触覚提示デバイス。両手に1つずつ、両足に3つずつ配置されたタクタイル・デバイスによって、物を触る感覚や歩いたときの足裏で感じる地面の質感を提示できる。

 
舌氏は、足への感覚提示について「メインの衝撃だけでなく、それに付随する感覚も再現してやるといい。」と述べる。Taclimでは音を元に振動を作り出せるが、調整によって鉄の床の上を歩いている感覚や、雪を踏みしめながら歩く感覚、はたまた踏むと痺れる電気床のようなものまで作り出せるという。筆者も今回のTokyo VR Meetupデモブースで体験することができたが、本当に床の材質の違いを感じることができて驚いた。

 
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開発状況については、10、11月からB to Bとして量産・出荷予定だとしている。商業施設のテナントとして入るVR体験店舗での採用などを想定しており、身体につけて触覚を得られる特徴からゲームだけでなく、不動産やヘルスケア業界での展開も視野に入れている。

 
また、CES 2017に出展した際に感じたこととして「日本だと、VRの盛り上がりを肌で感じることはなかったが、海外では熱狂的だった。製品は海外にも持っていくのがいい。海外での展示では体験者の多くが楽しんでいるのに対し、日本で展示したときには調べたり試す人が多い傾向があるように感じた」とのことだった。なお、PANORAではCES 2017期間中にCerevo社岩佐氏にインタビューしているので、そちらもお読みいただきたい。

 
 

麻痺肢のリハビリにも応用できる

 
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EXOSを開発するexiii社代表の山浦博志氏。オープンソース義手「HACKberry」の開発で得た知見なども活かしながら開発を進めており、将来的には麻痺肢のリハビリテーションへの応用なども視野に入れているという。

 
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山浦氏は開発に至った経緯として、2010年頃に構想はしたものの、当時はポジショントラッキングなどの技術が高価で、VRも普及していなかったため製品としては用途不明瞭だった。さらに研究レベルでは外骨格型触覚提示デバイスは珍しいものではなかったということでしばらく手を付けていなかったものの、近年になりVRが盛り上がってきて、ポジショントラッキングも安価に実装でき、まだ同様のデバイスの製品化もされていないため大きな可能性を感じたためだという。

 
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EXOSの設計の特徴は、モーター数を極力減らした、ミトンのような構造だ。これによって、コストを削減できるうえ、各関節にモーター数があるようなデバイスと比較して、個人の手の大きさ違いを吸収しやすいという。ただし、実際に製品化する際は複数サイズ用意するほうが無難かな、とも述べていた。ポジショントラッキングにはVive Controller使用しており、Vive Trackerにも対応予定だという。

 
exiii社では用途開拓として、EXOSを活用したい企業を探しているほか、事業開発や各種エンジニアも募集しているとのこと。

 
 

同じコーヒーでも、挽きたてとそうでない匂いを再現

 
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様々な匂いを提示できるデバイス、VAQSO VRを開発するVAQSOのCEO川口健太郎氏。デバイスはスナックバー程度の大きさで、クレイドルを利用して磁力でVRゴーグルに装着する。

 
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再現できる匂いは実に多種多様で、食品や飲み物、土の香り、お風呂上がりの女の子の匂いなどが挙げられた。また、コーヒーと言っても「挽きたて」のものと、そうでないものの違いまで再現できるという。B to Bでは顧客の目的に合わせて匂いをブレンドするので、人気アイドルの香りの再現や、災害のシミュレーションにおける火災の匂いなども作る。なお、ユーザーがカートリッジの自作をできるようにするかは検討中だとのこと。

 
PANORAでは開発発表会体験展示を取材しているので、そちらの記事もお読みいただきたい。

 
 

「会うだけでは物足りなくて触りたくなる」

 
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最後にGOROman氏とPANORA編集長の広田によるトークセッション。

 
GOROman氏は2013年、Oculus Riftの初代開発キット(DK1)と、触覚フィードバックデバイス「Novint Falcon」を改造した機器を用いて、初音ミクと握手ができる「Miku Miku Akushu」を生み出した。その開発理由として、「昔からミクさんに会うものつくっていたが、そのうち会うだけでは足りなくなって。やっぱり触れたい」と開発談を交えながら触覚を提示することへの重要性を述べた。

 
また、氏が携わった東京ゲームショウ2016での「刀剣乱舞VR」ブースについても振り返り、細部までこだわって用意された座布団の座り心地や本物の畳の香りが、VR体験と体感の不一致を無くすことにつながったとしている。

 
最後にGOROman氏からの告知で、VREXPO 2017(韓国)で1時間の講演をする予定だが、その時に韓国勢に広めたいことがある方はTwitterでコンタクトしてほしいと語っていた。また、3月末に米国サンフランシスコで開かれるイベント「SVVR」でも登壇するという。

 
次回、Tokyo VR Meetup #15 は4月25日にデジタルハリウッド大学駿河台キャンパスで開催予定だ。時間帯は従来より1時間繰り下げとなり、19時30分会場、20時から22時の講演と懇親会となる。内容は未定だが、ぜひ告知されたら参加してみよう。

 
 
(取材・文:久道響太

 
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●関連リンク
Taclim
EXOS
VAQSO VR
GOROman氏(Twitter)
Tokyo VR Meetup #14 VR+触覚・嗅覚の新世代へ (Peatix)

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